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法律ができるまで8

2005年4月14日   岡本全勝
5日は、衆議院総務委員会で、郵政事業に関する一般質疑が行われる予定でした。しかし、質問通告を受けていた竹中郵政民営化担当大臣が、「法案提出準備で忙しい」という理由で出席しなかったため、委員長が延期を宣言し、質疑に入りませんでした(日経新聞夕刊など)。
省庁改革以来、大臣はそれぞれの所管委員会と、要求があった場合の予算委員会・決算委員会・特別委員会に出席し、他の委員会には副大臣か大臣政務官が出席することとなっているようです。ただし、与野党の理事が合意すれば、この限りにありません。
今回の場合は、やや複雑です。竹中大臣は、法律上は経済財政担当大臣です。特命担当大臣として内閣府に属し、その点では内閣委員会になります。金融担当大臣のときは、財政金融委員会も所管でした。
郵政民営化担当大臣は、法律上の「特命担当大臣」ではなく、総理が任命しただけです。この肩書きも、官報には記載されていますが、法律上の特命担当大臣とは異なります。すなわち、特命担当大臣に2種類あるのです。麻生総務大臣も、後者の担当大臣として、国民スポーツ担当大臣でもあります。
郵政事業は総務大臣の所管であり、総務委員会の所管になります。「郵政民営化」は内閣が作った「事務範囲」なので、国会で、どの委員会に所管させるか、あるいは特別委員会を作るのかは、決まっていません。
ただし、竹中大臣が委員会出席を拒否した理由は、「所管外委員会」ということではなく、「多忙」であったようです。この理由では、これまでの国会の慣例では、与野党を問わず「国会軽視」と反発すると思われます。ただし、その後開かれた本会議では、「所管外委員会であり、理事の合意がなかったため」という趣旨の発言をされています。
ということで、次の法案の審議に入れない状態になっています。なお、総務委員会は、総務省だけでなく人事院も所管しています。逆に、選挙制度は倫理及び選挙特別委員会の所管になっています。(4月5日)
今日、衆議院総務委員会理事懇談会が、断続的に開かれました。昨日の「竹中大臣委員会欠席問題」をめぐってです。委員長から議院運営委員長あての「問題究明申し入れ書」が出されました。委員会開会の目処は立っていません。(4月6日)
今日は、衆議院本会議で、野党が竹中大臣の釈明とお詫び・辞職を求めました。民主党によれば、現憲法下で、国会から出席要求があったのに大臣が拒否したのは、昭和29年に吉田総理が「仮病を使った」と批判されたことを含めて、2度目だそうです。憲法第63条は、大臣は議院から「答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」と定めています。
総務委員会は開かれませんでした。参議院総務委員会では、議員立法の「プリペイド携帯電話規制法改正」が可決されました。(4月7日)
衆議院では、竹中大臣問題で、民主党が審議を拒否していて、審議の目処が立ちません。(4月11日)
(委員会審議復旧)
竹中大臣の総務委員会欠席問題は、与野党間で合意ができ、衆議院は「復旧」しました。総務委員会も開かれ、郵政事業に関する一般質疑が行われました。今回は、次のような処理が行われたとのことです。
12日:官房長官が議院運営委員会に出て、お詫び。その概要は、「国会にご迷惑を掛けたことのお詫び」「官房長官から竹中大臣に注意」「衆議院議長に対し、官房長官がお詫び」「竹中大臣が総務委員会に出席して、質疑に応じるとともに、弁明すること」だったそうです。
13日:総務委員会理事懇談会で、14日に竹中大臣を呼んで質疑をすることを合意。
14日:総務委員会冒頭で、杉浦官房副長官が経緯を説明(官房長官のお詫び等)。竹中大臣がお詫び。その後、質疑。質問者の要求に応じ、竹中大臣も出席し答弁(結果として、質問者全員の質疑に出席)。
今回の論点は、事情通によれば、次の通りだそうです。
1 大臣の国会出席について
→憲法に出席義務が書かれており、特段の事情がない限り、出席は拒否できない。よって、今回の問題は、与野党間や総務委員会の問題でなく、国会対内閣の問題になった。そこで、議院運営委員会と官房長官の出番となった。
2 竹中大臣側が「所管外の委員会なので、与野党の合意がなかったので出席しなかった。副大臣でお願いする」旨を主張したことについて
→総務委員会が、竹中大臣にとって所管外かどうかは、かならずしも明らかでない。経済財政担当大臣としては、内閣委員会となっている。しかし、郵政民営化担当大臣としては、どの委員会か、今のところ不明である。郵政民営化という事務は、法律や衆議院規則に出てこない。どの委員会かは、国会が決めること。
なお、「郵政事業の企画立案に関することは、総務省の所管と法律に明記されている。郵政民営化はその事務の一部であるから、当然、総務委員会である」と主張する議員もいる。
→与野党の合意がなかったという弁明をされているが、ここは次のようなことだろう。仮に所管外の大臣としても、大臣の出席を決めるのは、正式には理事会である。通常は、委員会に先立つ理事会で決定する。事前に通告があれば、理事会の結果を待つべく、委員会に出席できるように待機しておくべき。今回の場合は、前日に質問通告はしてあり、事務方も質問取りに来たのだから。
通常は、前日までに、理事懇談会なり与野党の筆頭理事間で事実上合意しておくが。
→理事会で郵政民営化準備室事務方が「大臣は法案提出準備で忙しく、委員会答弁は副大臣でお願いしたい」と主張したことについては、野党を含め国会は納得しないだろう。国際会議のために海外出張する際も、国会への説明が必要だ。国会を欠席するためには、それなりの理由が必要だろう。(4月14日)

法律ができるまで7

2005年3月31日   岡本全勝
今日も、総務委員会理事会が開かれましたが、進展はありませんでした。明日、交付税法の提案理由説明が行われるところまでは、決まっていますが。(2月23日)
今日の衆議院総務委員会は、地方財政計画の説明、地方交付税改正法案の提案理由説明が行われました。与党は、引き続き交付税法の質疑を求めましたが、野党は拒否し、与党のみで質疑が行われました。
財務金融委員会では、国税関係法案が同じ状況になっています。予算委員会は、通常どおり審議が進められています。(2月24日)
今日1日は、衆議院予算委員会では、午前に総理が出席して、三位一体関係の集中審議が行われました。午後は一般質疑があり、それとの時間の重複を避けながら、総務委員会が開かれ、地方交付税法案の審議が行われました。(3月1日)
今日2日は、衆議院予算委員会で締めくくり総括質疑と採決、その後、総務委員会で交付税法の質疑と採決、総理を呼んでの地方税法の質疑が行われました。そして、本会議で予算と交付税法が採決されるました。
例年と違い、地方税法と交付税法が別々に採決されることとなりました。もっとも、前例がないわけではなく、平成15年度地方税法改正がよく似た経過でした。(3月2日)
今日から、参議院予算委員会で質疑が始まりました。参議院予算委員会終了後(いわゆる夜なべで)、衆議院総務委員会で、地方税法の質疑が続けられました。(3月3日)
今日、衆議院総務委員会で地方税法が審議・採決され、午後の本会議で可決されました。参議院予算委員会が開かれているので、その合間を縫ってです。(3月8日)
参議院で、予算委員会が続いています。その合間を縫って10日には、参議院総務委員会で大臣所信に対する質疑、衆議院総務委員会では恩給法改正の提案理由説明がありました。
11日には、参議院本会議で、地方財政計画・地方税法・地方交付税法の趣旨説明と質疑がありました。衆議院とは違い、国税法案と切り離し、重要広範議案とされなかったので、総理大臣の出席はありませんでした。一方、総理は、三位一体改革に関連し、衆議院文部科学委員会に出席しました。(3月11日)
参議院で、予算委員会が続いています。その合間を縫って15日には、参議院総務委員会で地方税法の提案理由説明、衆議院総務委員会ではNHK予算の質疑が行われました。順番では、既に提案理由説明を読んだ恩給法改正の質疑ですが、今日は参議院では公聴会があり、大臣の時間がゆっくりとれるので、順番を変えて、NHK予算を審議しました。
不祥事が続いたこともあり、NHKの審議の模様(午前中の各会派一巡)は生中継され、午後の質疑は例年通り録画して後日放送されます。私は、いつもは、大臣の後ろに座っていることが多いのですが、今日はテレビに映らないように、隣の控え室(テレビでいうと、委員長席の後ろのついたての後ろ)にいました。といっても、理事との打ち合わせもあり、時々、入りました。カメラを避けたのに、打ち合わせをしているうちに、答弁しておられるNHK会長の後ろに立っていて・・。NHK予算は、野党は反対、与党の賛成で可決されました。(3月15日)
今日17日は、衆議院総務委員会で恩給法改正の質疑採決、本会議でNHK予算の採決、参議院総務委員会で地方税法の質疑採決が行われました。(3月17日)
18日は、衆議院本会議で、恩給法の採決が行われました。参議院本会議では、義務教育国庫負担法の質疑と地方税法の採決が、総務委員会では予算の委嘱審査と恩給法のお経読みが、行政監視委員会では行政評価の状況説明が行われました。恩給法は衆議院本会議可決後、直ちに参議院に送られ、「吊し」も降ろしてもらって、総務委員会に付託されて、お経読みをするという、「離れ業」でした。麻生大臣は、このほか、連日続けられている郵政民営化の政府与党協議にも出席され、大変な毎日です。(3月18日)
今日22日の参議院総務委員会で、恩給法が審議採決され、交付税法のお経読みがされました。審議は29日と決まりました。日切れ法案の処理に向けて、審議が進められています。(3月22日)
今日23日に、予算が参議院本会議で可決されました。恩給法も成立しました。(3月23日)
24日は木曜日で、総務委員会の定例日でしたが、審議は29日になりました。その分、22日に交付税法のお経読みをしてしていただきました。25日は参議院本会議で国民健康保険法が審議され、総務大臣には、三位一体改革の評価などの質問がありました。地方の自由度拡大や、事務量の軽減についてです。胸を張って答えることができます。(3月25日)
今日、参議院総務委員会で、交付税法の審議採決が行われました。明日、参議院本会議で可決される予定です。今年も、地方税法と交付税法は、年度内に成立することとなります。地方団体も、安心して新年度から仕事ができます。関係者の方々に、感謝します。(3月29日)
朝日新聞が29日から、「国対4話」という解説を始めました。今日第1話は、「法案あげるてんぷら屋」です。天ぷら屋(国対)さんに、天ぷらの具(法案)を持ち込む私たちは、出入りの八百屋か魚屋ですかね。しかも、天ぷら屋さんに「早く揚げて下さい」とお願いする、厚かましい魚屋です。国対については、国会というところその3もご覧ください。(3月29日)
今日31日、NHK予算が参議院本会議で成立し、総務省所管の日切れ法案は、すべて成立しました。ありがとうございました。引き続き、残る5法案を審議してもらいます。(3月31日)

三位一体改革44

2005年3月27日   岡本全勝
中央教育審議会の委員問題について、地方6団体は、4日「このまま議論に参加しないわけにはいかない」として、審議会の本委員会への委員推薦はしないものの、特別部会に委員3人を推薦することを決めました。そして、「最終的な結論は、国と地方との協議の場で出す」よう、官房長官に申し入れました。
地方側の不信は、理解できます。このHPでも何度か書きましたが、中教審は文部省の機関です。文部大臣の意向に反する答申が出ることは、期待できません。しかも、会長が審議入りする前から、「国庫負担金堅持」を公言しておられるのです。「とほほ・・」ですよね。
審議会は「広く専門家の意見を聞く」という建前ですが、多くの場合、原案は官僚が書きます。「官僚の隠れ蓑」との批判は、当たっているのです。
このあと、どのような審議がされ、答申が出るのか。新聞もきっちり報道してくれるでしょうから、日本の政治過程の実例として、ご覧ください。そういう観点から見ると、国民が「審議会とは何か」を勉強する、良い機会です。(3月5日)
7日の日本経済新聞には、中西晴史編集委員が、世論調査をもとに、「三位一体改革わからない8割。分権の利点、地方に説明責任」を書いておられました。
三位一体改革を、「急ぐべき改革とは思わない」という人が52%、「早期に断行すべきだ」が38%です。前者は、「地方に権限を移しても、行政が良くなるとは思わない」「国と地方がお金の奪い合いをしているだけだから」という理由が多いです。
ただし、「地方より国の人材の方が優秀」の回答は3%しかありません。「税金の使い道を国、地方いずれで決めるべきだと思いますか」という質問に対しては、地方が43%、国が12%でした。
「既得権益を握る者が、自ら手放さないのは古今東西共通の現象だ。ならば、国民が追い込む以外にないが、盛り上がりに欠ける」「税金の無駄遣い排除に三位一体改革が役立つのかどうか。地方側が分権の利点を国民にわかりやすく訴える必要がある」という主張です。
毎日新聞は「知事たちの闘い、地方分権は進んだか」連載3「新段階へ発言と行動」を、載せていました。(3月7日)
3月11日、小泉総理大臣は、衆議院文部科学委員会に出席しました。これは、義務教育費国庫負担金改革についての、総理のこれまでの発言に対し、野党が真意を質したいと要求したもので、異例のことです。NHKニュースによると、次のとおりです。
〈総理は、「わたくしは、地方に裁量権を拡大しても教育の軽視にあたらないと思っている。全国知事会など地方団体も『任せてもらえばできる』と言っており、その考えは今後も尊重していきたい」と述べ、平成18年度以降も、国の負担を削減し、地方に移譲すべきだという考えを示しました。ただ、小泉総理大臣は、「この問題で、意見の対立があっておかしくない」と述べ、中教審での議論に加え、国と地方の協議の場での意見も聞いて、結論を出していく考えを示しました。〉
総理は、ぶれておられません。心強いことです。一般財源化反対論者からすると、総理を呼びだしたのは、やぶ蛇でしたね。(3月11日)
新聞記者さんとの会話
記:最近、三位一体の話題がなくって。
全:そうだね。3月いっぱいは、知事さんも議会があるし。
記:でも、今からいろいろ仕込んでおかないと、これからの戦いに勝てませんよ。
全:新知事会長も、いろいろ考えておられると思うよ。
(3月15日)
21日の毎日新聞は、連載「知事たちの闘い・地方分権は進んだか」4を載せていました。三位一体改革のスタート時に、地方自治体が参加していなかったことが取り上げられています。このような検証は、どんどんしてほしいですね。(3月22日)
26日の日経新聞は、「三位一体改革、国と地方対立再燃」を書いていました。4月から新たな議論が動き出すことや、義務教育・生活保護・公共事業についての国と地方の対立を解説していました。(3月26日)
27日の日経新聞は、「義務教育費国庫負担、堅持へ与党攻勢」を書いていました。負担金維持派の主張は、相変わらず、「教育水準と教職員の質を維持するため、負担金が必要」ということです。しかし、ここで何度も解説したように、またこの記事も書いているように、「国庫負担金は教員給与の問題で、教育論とは関係がない」のです(三位一体改革17三位一体改革26)。
こんな主張をされたら、負担金を受けていない高校の教員や私学の先生は、怒るべきです。いつまで、こんな「変な理屈」を主張し続けるのでしょうか。(3月27日)

目次分割

2005年3月22日   岡本全勝

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