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三位一体改革50

2005年6月23日   岡本全勝
20日の毎日新聞は、連載「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」15回「新潟会議」を載せていました。国から意見を求められ、補助金廃止案を打ち返した際の議論の検証です。
中央教育審議会で義務教育費国庫負担金一般財源化議論が続いています。私の主張は、何度も書いたとおりですが、記者さんの問い合わせが多いので、改めてかいつまんで、私の意見を述べましょう。もっとも、政治学的な観点からの意見です。
1 審議の場の設定間違い
①中教審は教育内容を議論する場
まず、中教審で「教員の給料の財源」を議論することが、間違いです。中教審は、教育の内容とか質を議論する場所でしょう。教育条件なども議論することは良いと思いますが、今回は教育条件を議論しているのではありません。教員の給料を減らそうとかを、議論していないのです。その財源を議論しているのですから。そして、総務省も地方団体も、一般財源化しても、ちゃんと財源を確保すると言っているのです。
義務教育に関しては、もっと議論しなければならない重要なテーマがあるでしょう。それは教員の給与の財源でなく、教育の質の低下であり、学級崩壊などです。重要なテーマを放っておいて、優先順位の低いことを議論していると、国民はあきれてしまい、審議会への信頼が落ちると思います。
②審議会は、官僚の隠れ蓑
次に、中教審は文科大臣の諮問機関です。大臣は「国庫負担金堅持」を言っておられます。大臣に選ばれた委員が、それに反する答を出すと思えません。会長も早い段階で、「負担金堅持」を言っておられました。
教科の内容など専門的なことについて、専門家の意見を聞くのは、まだ意味があります。しかし財源は、大臣が決めればいいことです。財務大臣と総務大臣と協議すればすむ話です。審議会は、責任の所在がはっきりしない「隠れ蓑」であり、政治主導の対極にあるものです。
この問題を中教審で議論することが、間違っています。政治的な議論の過程でこうなったのですが。まあ、あまりにひどい過程を見せると、国民が「審議会はだめだ」と勉強する機会になるとはおもいます。委員の方には、申し訳ありません。日本の政治を、官僚主導から政治主導へ転換する、教材です。
2 議論の内容の間違い
次に、一般財源化反対論者の議論は、「交付税にすると、将来総額が減るので心配だ」「一般財源化しても、自由度は高まらない」に集約されるようです。
①地方税と交付税より、国庫負担金の方が先細り
地方財政より国家財政の方が赤字幅は大きく、より心配なのは国家財政なんですよ。財務省も、文教費を削りたいと思っているのですから。
②一般財源化しても教育の質は落ちない
「一般財源化しても自由度が高まらない」という主張に対しては、「じゃあそれでも良いですよ」と答えましょう。自由度を高めるかどうかは、文科省が縛りをゆるめるかどうかにかかっています。縛りをゆるめたくない文科省が言うべきことじゃないですよね。
それよりは、「高校は国庫負担金なしでうまくやっている」という主張に対する、反論を聞きたいものです。
一般財源化しても、教育の質は落ちません。国庫負担金を配っている文部官僚は、数を減らすことができます。その人たちは、お金ではなくもっと教育の内容を考えることができるようになるのです。一方、地方団体の職員も、補助金申請作業がなくなり、減らすことができます。
(失業のおそれ)
20日に香山総務次官が「三位一体改革のために、何が何でも国庫負担金の一般財源化を実現したい」述べたことに対して、文科省の課長がコメントを発表した、との報道(21日付読売新聞、日経新聞)がありました。以下、記者さんとのやりとりです。
記:他省の意見が自分の考えと違うからといって、いちいちコメントを出すのですかね。
全:うーん、そんなことしていたら、経済財政諮問会議の原案や予算原案がでたら、各省は何百もコメントを出さなければならないね。各省の審議会も、他省庁の気にくわない意見も言うしね。忙しいぞ。
記:また、次官の意見に対し、課長がコメントを出すのですか・・。
全:聞いたことがないね。僕が、よその省の次官の記者会見についてコメントを出したら、記事にしてくれるかい?
記:考えときます(笑い)。まあ、国庫負担金を配ることが仕事の課ですから、一般財源化されると失業するからでしょうがね。(6月21日)
21日に、政府税制調査会が「所得税と個人住民税に関する報告書」を出しました。その中で、「三位一体改革による国から地方への本格的税源移譲を、2006年度に行う必要がある」と明記しました。着実に準備が進んでいます。
21日には、「骨太の方針2005」が閣議決定されました。三位一体改革については、特に目新しいことはありません。地方6団体は「全体として評価できる内容だ」と好意的です。
22日の読売新聞では、坂田真記者が「地方の自立ー課題突きつけた骨太の方針、住民が納得する具体案を」を解説していました。(6月23日)

サイト内検索

2005年6月19日   岡本全勝
昨日、「どこに何を書いたか、忘れてしまいます」と書いたら、玉岡雅之神戸大学助教授から、グーグルの「サイト内検索」とその貼り付け方法を教えてもらいました。ところが、50歳のデジタル・デバイドおじさんには、その貼り付け方法が難しく、うまくいきません。
先生からメールで指示をいただき、神戸からの「遠隔操作」で、貼り付けることができました。このページの下部をご覧ください。玉岡先生、ありがとうございました。ちなみに「地方交付税」で検索したら、90件もでてきました。検索語彙をうまくやらないとだめですね。「夏服」だと3件でした。

ホームページ、260ページに

2005年6月18日   岡本全勝
いつの間にか、このホームページが、260ページを超えました。もっとも、下宿人もいるし、ほとんど見なくなった記録のページもありますが。どこに何を書いたか、忘れてしまいます。もう少し、目次を整理しなければなりませんね。最初から系統だって書いているのでなく、いろんな分野について、次々思うことを書くので、分類は簡単ではないのです。適当な時期に、分野別整理をするしかありません。
ページが増えて困るのは、作成に時間がかかることです。画面の立ち上げと、保存、転送、終了に、えらく時間がかかるようになりました。こうなると、「おもちゃ」と言ってられなくなります。でも、毎日たくさんの人が見てくださると思うと、「また書こう」と思って、元気が出ます。

法律ができるまで9

2005年6月16日   岡本全勝
【大臣の種類】
先日、竹中大臣の特命担当大臣には、2種類あると書きました。14日の質疑でその問題が出たので、職員が整理をしてくれました。大臣には、事務の所管から分類すると、次の3種類があるとのことです。
①行政事務を分担管理する「各省の長」
 総務大臣、法務大臣など
②法律上の事務を分担する大臣
ⅰ防衛庁長官、国家公安委員会委員長
ⅱ特命担当大臣(内閣府設置法第9条)
 例:金融担当大臣、経済財政政策担当大臣
③その他の担当大臣(内閣法第3条第2項)
 例:郵政民営化担当大臣、行政改革担当大臣、国民スポーツ担当大臣
なるほど。ありがとう、北原君。この大臣の種類といい、大臣の国会出席ルールといい、本に書いていないことを解説し、役に立つHPです(自画自賛、笑い)。(4月17日)
今日、衆議院総務委員会では、「迷惑メール規制法改正案」の提案理由を読みました。質疑は26日の予定です。総務省提出法案は、あと5本残っていましたが、「外資の間接支配規制のための電波法改正案」を19日に国会に追加提出したので、あと6本です。そのうち、公職選挙法改正案は、政治倫理と選挙特別委員会で審議されるので、総務委員会では5本です。
本来なら、予算関連である電波法改正(当初提出分)の審議が先なのですが、電波法改正を追加提出したので、電波法審議は後にして、まず迷惑メール規制法を審議していただけることになりました。(4月21日)
26日は、衆議院総務委員会で、「迷惑メール規制法改正案」を質疑採決、本会議に緊急上程して、可決していただきました。審議の冒頭、麻生大臣が、昨日の尼崎での列車事故について、消防の救出活動状況などを報告しました。消防の緊急援助隊が活躍していますが、列車事故に出動したのは初めてだそうです。
残る法案審議は、連休明けになります。(4月26日)
明日10日から、国会審議が再開されます。参議院総務委員会で、迷惑メール法のお経を読みます。(5月9日)
10日の衆議院議院運営委員会で、与党が「郵政民営化法案を審議するために特別委員会の設置」を提案しましたが、野党は応じず、物別れになりました。別途、総務委員会の理事懇談会が開かれましたが、野党は「議運で特別委員会設置が提案されているが、郵政民営化は総務委員会で議論すべきもの。どのように考えるのか」と問題を提起し、次の審議日程の協議に入れませんでした。
参議院総務委員会では、迷惑メール規制法の提案理由説明を読み、12日に審議していただけることになりました。(5月10日)
今日も、衆議院総務委員会の理事懇談会が開かれましたが、進展はありませんでした。(5月12日)
衆議院本会議で、郵政民営化特別委員会設置が可決されました。民主党・社民党がその他の委員会も含めて、審議を拒否しています。それで、総務委員会の目処は立ちません。(5月20日)
郵政民営化特別委員会が開かれ、与党のほか共産党が出席して、委員長と与党理事を決めました。民主党と社民党は出席しませんでした。(5月23日)
衆議院本会議で郵政民営化法案の趣旨説明と質疑があり、引き続いて郵政民営化特別委員会で提案理由が読まれました。与党のほか共産党が出席しましたが、民主党と社民党は、その他の委員会も含めて審議を拒否しています。依然として、総務委員会の目処は立ちません。(5月26日)
衆議院郵政民営化特別委員会で質疑が始まりました。民主党と社民党は、審議を拒否しています。(5月27日)
国会が正常化しました。民主・社民両党が要求していた項目のいくつかを、政府与党が回答し、明日から全党がそろった審議が行われます。まず、今日は郵政特委で、野党理事が選ばれ、もう一度竹中大臣が提案理由(と同じもの)を読みました。要求があった本会議の再度の開催はしない代わりに、明日、総理出席の予算委員会が開かれます。そして、明後日には、全党そろっての郵政特委が開かれる予定です。(6月1日)
国会が正常化したことを受けて、衆議院総務委員会理事懇談会が開かれ、来週の審議日程が協議されました。(6月2日)
2日は総理出席の予算委員会、3日は総理出席の郵政特委が開かれました。この後も、郵政特委は開かれますが、日程は前日にならないと決まりません。これを「日めくり」というのだそうです。毎日、毎日、翌日のことを決めていくからだそうです。麻生総務大臣は、郵政特委に常時出席することが要求されているので、総務委員会との日程調整が難しくなります。(6月4日)
7日は、午前中は参議院決算委員会が開かれました。午後は、本会議と郵政特委の合間を縫って、衆議院総務委員会が開かれ、行政手続法改正のお経が読まれました。質疑の日程は、協議中です。(6月7日)
8日は、午前中に参議院本会議が開かれ、郵政特委が開かれませんでした。そこで、衆議院選挙特委が開かれ、公職選挙法改正が審議・採決されました。9日は衆議院総務委員会が開かれ、行政手続法改正案が審議されます。(6月8日)
10日には、衆議院本会議で、行政手続法改正と公職選挙法改正が可決されました。来週、参議院で審議していただくことになります。今国会の会期は、6月19日までです。早いもので150日、約5か月が経つことになります。もっとも、新聞で報道されているように、郵政民営化法案を審議するため、国会は延長されそうです。総務省も、あと6本法律が成立していません。(6月10日)
14日には、参議院総務委員会で行政手続法のお経を読みました。(6月14日)
16日には、参議院選挙特委で公選法のお経読み・質疑・採決が行われ、総務委員会で行政手続法の質疑・採決が行われました。通常だと、明日の本会議で成立しますが、今日、与党が会期の延長を申し入れ、野党が反発しているので、見込みが立ちません。(6月16日)

三位一体改革49

2005年6月14日   岡本全勝
7日の読売新聞には、青山彰久解説部次長が「中教審、議論迷走」「義務教育国庫負担金で対立、公立校活性化の視点必要」を書いておられました。
「これまでの審議で見ると、論点の一つは『全国的な教育の水準と質をどう確保するか』であり、もう一つは『確実な財源保障をどうするか』になってきた」「だが、この(財源)論点だけでは、『財政再建に迫られる国の負担金制度と、改革が必要な地方交付税制度のどちらが安定的か』という水掛け論になる可能性もある」
「多くの国民が知りたいのは、どちらの方法なら、学力低下や不登校などの様々な問題を抱える公立小中学校がよくなり、現場の学校が活気づくか、という点だろう」
「地方側にしても、分権を言うなら、国庫負担金を地方税に変えるとどんな教育が今以上に実現するのか、最終的に市町村や学校の権限拡大につながる『都道府県内の分権』の制度設計案まで示されなければ、観念的な主張になりかねない」
指摘の通りです。
1 財源議論なら、一般財源化しても問題ない。いいえ、一般財源化すべきです。
負担金護持派の主張は、「交付税総額の先行きが不安」ということです。でも、かつて解説したように、地方財政より国家財政の方が赤字である=国家財政(国庫負担金)の方が心配なのです。
この主張なら、もし水掛け論になっても、国庫負担金を廃止した方がよいのです。なぜなら、国庫負担金をもらうために、あるいは配るために、膨大な人件費と事務費がかかっているのです。負担金制度を廃止すれば、それだけで大幅な経費削減になるのです。
もっとも、文科省は「職員がいらなくなる」から、一般財源化に反対しているのすが。
2 負担金がなくても、教育水準は変わらない。
どうやら、この点は理解されてきたようです。国庫負担金がない高等学校が、問題なく運営されていることについて、中教審の委員の方々は反論されませんね。
3 地方は、国庫負担金がなくなったら、今以上に教育がよくなることを示すべき。
そうです。一般の人が、三位一体改革を理解しにくいのは、「教育がこれだけよくなりますよ」という、説明が足らないからでしょう。
もっとも、1で述べたように、教育が今まで通りであっても、事務費と人件費が減って、日本にとってはプラスなんです。(6月7日)
月刊「地方財政」(地方財務協会)6月号に、遠藤安彦元自治事務次官の講演録が載っています。前に紹介した矢野浩一郎さんの講演の続きです。バブル期前後から現在までの交付税の歴史を語っておられます。交付税に関心のある方は、必読です。議論のある事業費補正についても、拡大のいきさつなどを知ることができます。私は、交付税課補佐として、財政担当審議官である遠藤さんにお仕えしました。
また、同号には、青木宗明神奈川大学教授が、フランスの地方分権を日本と比較して考察しておられます。「ともに単一制の国家形態をとりつつ、中央集権と官僚主導の代表国家、ワールド・チャンピオンとして名を馳せた末に、今や地方分権に向けた改革を進めている」「ところが、内面を凝視すると、両国の状況はまったくといって良いほど異なっている」「フランスからみて、昨年夏に我が国で繰り広げられた補助金削減をめぐる騒動はまったく理解できない。一国の総理大臣から要請され、地方が苦労の末に削減案を取りまとめたにもかかわらず、最終的には地方の意に反した政府決定がなされるというのは、フランスでは想像すらできない事態なのである」。
その他、井手英策横浜国大助教授の「義務教育費国庫負担金制度をめぐる政策論争史」、平嶋彰英地方債課長による「最近における憲法論議と地方自治、地方財政」なども載っていて、内容が濃いです。(6月13日)
「骨太の方針2005」の策定作業が、行われています。昨年この時期には、「3兆円税源移譲目標を書き込むか」が大争点になりました。また「補助金削減案は地方団体に考えてもらう」という「小泉・麻生ウルトラC」が提案され、すごく盛り上がりました。去年と違い、今年は地方財政・三位一体改革については、争点になっていません。
記者さんたちが、残念そうに「今年は静かですね」と、愚痴を言いに来ます。彼らは「記事を書いてなんぼ」ですから、活躍した去年が懐かしく、今年は力のふるいようがないのです。
今年が静かなのは、三位一体改革の目標数値は昨年すべて決めたこと、また18年度までの「全体像」を去年11月に政府与党で決め、実行中だからです。もちろん、全体像には積み残し(残る6,000億円の補助金廃止、義務教育国庫負担金の扱い)がありますが、これも別途作業がされているので、今回は新しく書き込むことがありません。
もっとも、三位一体改革は、地方団体が「口やかましく騒がないと」前に進みません。静かになって、先送りできたら、守旧派の勝ちですから。その点について、記者さんたちはみんな心配してくれています。「こんなに静かだと、火が消えますよ」。「6団体は何をしているんでしょうか」と。(6月14日)