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三位一体改革47

2005年5月26日   岡本全勝
18日の読売新聞は、青山彰久記者が「三位一体、税源移譲・交付税改革、見えぬ決着点。最終年度に問われる小泉政権の力」を解説しておられました。
「改革のヤマ場は越えたかのような空気が漂う。だが、補助金を削って税源を移し、地方の自由を広げて歳出構造を変え、交付税をスリムにするのがゴールとすれば、現状は遠い」。
ご指摘の通りです。(5月18日)
18日の経済財政諮問会議で「三位一体改革の議論」が再開されました。麻生大臣は、「地方税財政改革の推進」を説明されました。
19日の日本経済新聞は「三位一体改革攻防再び」「義務教育争点に」を書いていました。「『6000億円の税源移譲に結びつく補助金改革を確実に実施すべきだ』会議では麻生太郎総務相がこう述べ、公共投資関連の施設設備の補助金などを削り税源移譲するよう主張した」。朝日新聞は「財務・総務省対立再び」「地方交付税改革、抑制・維持、深い溝』と書いていました。
財務省は、地方の歳出削減ばかり要求していますが、平成13年度(小泉内閣発足時)を基準に取ると、平成17年度では、国の一般歳出は1.4兆円削減なのに対し、地方の一般歳出は6.6兆円もの削減です。しかも、国の予算は、この間の国庫補助金の一般財源化での減も含めてです。これを考慮すると、横ばいです。交付税総額も3.4兆円削減しました。この点は、拙稿「続・進む三位一体改革」をご覧ください。(5月19日)
18日の経済財政諮問会議での麻生大臣が説明した「地方税財政改革の推進」のうち注目すべきは、情報公開です。今までも各団体の財政状況や職員給与の状況は公表されていましたが、住民によりわかりやすくするため、全団体について同じ様式で公開することを進めます。インターネットで見ることができます。これによって、他団体との比較が簡単にできます。「地方税財政改革の推進」のp10です。(5月21日)
月刊「地方財政」5月号(地方財務協会)に、坪井ゆづる朝日新聞論説委員が「3年目の三位一体改革、民意の追い風が要る」を書いておられます。
「だれのための何の改革なのか、がはっきりしない。改革がうまくいけば、主権者である国民、住民が恩恵を受けるはずだが、その具体的な中身がなかなか見えてこない。だから、論議が3年目を迎え、いよいよ決着が図られるというのに、住民の生の声はほとんど聞こえない」
「国民、県民、市民といった、さまざまな立場を併せ持つ住民が主役である以上、個々の自治体が担う役割は大きい。住民がそれぞれの場面で主権者として発言し続けなければ、この改革は進まない。今こそ民意をまとめ、それを追い風にする工夫が自治体に求められている。」
また、矢野浩一郎元自治省財政局長の講演録「高度経済成長から安定成長へ~地方交付税の成長と質的転換」が載っています。交付税の歴史に関心のある方は、是非お読みください。昭和30年代から50年代の間の、交付税改革の歴史、交付税が果たした役割などが、コンパクトにまとまって、またポイントが的確に解説されています。長い論文より、わかりやすいです。
矢野さんは、交付税創設期、充実期、投資的経費算定改革期に担当された方です。また、その後も財政局幹部として、交付税に携わってこられました。私もご指導を受け、矢野さんを「交付税の生き字引」と尊敬しています。(5月23日)
25日の毎日新聞社説は、「三位一体改革-地方分権推進が出発点だ」でした。「既得権益や省益をからませてはいけない。地方財政改革といいながら、自らの権限を維持しようという思惑が見え隠れするのでは、住民自治に反する。」
「その観点からすれば、今秋までに中央教育審議会で結論を得ることになっている義務教育費8500億円の扱いは、補助金削減、税源移譲が当然である。文科省や自民党文教族の主張は、義務教育には国が責任をもつべきだという論理のもと、地方への関与を継続しようという意図が明白である。」(5月25日)
25日に中央教育審議会義務教育特別部会で、国庫負担制度の本格的な議論が始まりました。今朝の各紙は、大きくその様子を伝えていました。「制度堅持派と廃止を主張する地方側との間で、激しい応酬となった」と。(5月26日)

三位一体改革46

2005年5月16日   岡本全勝
22日の日本経済新聞は、「三位一体改革最終攻防・下」を解説していました。朝日新聞は「失速小泉改革・中」で、官僚任せでは改革は進まないことを解説していました。その中で、三位一体改革が取り上げられていました。(4月23日)
25日の毎日新聞は、連載「知事たちの闘い-分権は進んだか」第8回「茹でガエル」を載せていました。「族議員や官僚が既得権益にしがみついているから改革が進まないとよく言われるが、当の本人らにその認識は全くない。中央による補助金行政は国民のためだと、大真面目に反論する。官僚のこの真面目なかたくなさが、改革遂行にはやっかいなのだ」(4月25日)
28日に、今年初めての「国と地方の協議の場」が開かれました。麻生大臣の「残り6,000億円の補助金削減について、地方6団体が考えを示していただければ、参考になる」との発言に対し、麻生渡・全国知事会長は、「地方6団体が昨年まとめた補助金廃止案を元に、6,000億円分の削減策を7月までにまとめ、政府に提示する」と応えました。
「地方団体が案を考え、政府が実行する」という仕組みが、今年も機能を発揮しそうです。(4月29日)
3日の朝日新聞は、「国vs地方攻防再燃へー連休明けに協議本格化、見えぬ税源移譲」を大きく解説していました。「地方側は『政府も与党も三位一体改革への熱意が冷めている』との危機感を背景に、補助金削減の具体案を突きつけて、政府の対応を促そうとしている」。
そうです。与党側は昨年秋の「疲れ」が残っています。郵政民営化という大きな争点もあります。霞が関は、このまま冷めたままで逃げおおせたら、勝ちです。地方団体が熱くなるしか、進まないのです。マスコミや国民の理解を得て、政治家を動かすしかないのです。
第2期についての「足並みの乱れ」も、指摘されていました。ありがとうございます、内田記者。
麻生大臣と麻生知事会長の写真が並んで載っていました。余談ですが、お二人は親戚ではないとのことです。(5月3日)
5日の読売新聞は、「中央vs地方再燃、三位一体残り6000億円どう削減」「連休明け議論本格化」を書いていました。3日の朝日新聞といい、この読売の記事といい、論点は絞られています。
①「骨太の方針2005」にどのような記述をするか
②義務教育国庫負担金と生活保護費負担金の一般財源化
③残る6000億円の内容決定、です。(5月6日)
3日の毎日新聞は「知事たちの闘いー地方分権は進んだか」第9回を載せていました。「補助金返上、地方から言い出そう」。2003年7月の、知事会議の記録です。(5月6日)
9日の毎日新聞は、「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」第10回を載せていました。16年度予算で地方交付税が大きく削減されたことに、地方団体が怒ったことについてです。
月刊「地方財政」2005年4月号では、神野直彦東大教授が「地方財政改革とセーフティ・ネットの張り替え」を書いておられます。その中で、所得税から住民税へ3兆円税源移譲することに続き、次のようなことを主張しておられます。
①消費税から地方消費税へ3.7兆円(税率で1.5%分)移譲。これで、消費税率は2.5%、地方消費税率も2.5%になります。
②法人住民税のうち1.7兆円を国税とし、交付税財源とする。
③その代わり、交付税財源となっている消費税のうち1.7兆円を、地方消費税とする。
このようにして、国から地方への税源移譲と、地域間格差の是正をしようという構想です。詳しくは原文をお読みください。なお、4月号にはその他の研究者の論文も載っています。(5月9日)
14日の毎日新聞は「三位一体、来年度分調整に着手」を解説していました。「義務教育、生活保護で攻防」「3兆円を目標とする地方への税源移譲は残り6000億円分が実現できるかが焦点。全国知事会など地方は同額の補助金削減案の策定に着手、見返りとして税源移譲を実現するよう求めている・・・」
16日の毎日新聞は連載「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」第11回を載せていました。「交付税って何?」です。
一般の方には、なじみがないですよね、地方交付税は。そんなに難しい制度ではないのですが。わかりやすく説明してこなかった、私たちが悪いのでしょうか(元交付税課長の反省です)。(5月16日)

三位一体改革45

2005年4月21日   岡本全勝
17年度の動き
4月3日の毎日新聞は「発言席」で、佐藤栄佐久福島県知事の「地方分権と地方自治の本旨」を、4日は連載「知事たちの闘い・分権は進んだか」の第5回目を載せていました。
4日の朝日新聞社説は、「地方行革・競い合って成果を出せ」を書いていました。「地方自治体は、三位一体改革で、分権社会の担い手としての資質を問われている。ここで行政改革をさぼれば、住民の不信は高まるばかりだ」と主張しています。
同感です。国より進んだ行革の成果を見せて、国より頼りになる行政であること、住民による監視が効果的であることを、示そうではありませんか。(4月4日)
11日の毎日新聞は、連載「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」第6回を載せていました。
10日の日本経済新聞は「規制改革推進3か年計画」を解説していました。「規制改革」は「地方分権」と並び、「官僚主導型国家」を変える2つの柱です。
地方分権は、行政分野での改革、地方自治体に対する規制改革であり、官僚主導・中央集権を改革しようとするものです。規制改革が、経済や社会分野において、民に対し、官僚主導・市場統制を改革しようとするものです。
1995年に規制緩和として始まった動きは、経済的規制から社会的規制へと範囲を広げ、規制改革と呼ばれるようになっています。いくつか効果が上がっているのですが、国民からの認知はいまいちのようです。ここでも、地方分権と同様、官僚の抵抗・サボタージュがきついので、国民に目に見えるような改革が進まないのです。
自動車の車検期間の延長と、幼稚園・保育所の一元化が象徴的だと思います。
かつてに比べ、自動車の性能は格段によくなっています。それでも、業界の反対で、車検期間は延長されません。なぜ、自動車会社は「うちの車はそんなに簡単に故障しません」と主張しないのでしょうか。車検制度のない国も多い、と聞いたことがあります。
幼稚園と保育所の統合も、なぜ進まないのですかね。かつて調べたら、幼稚園ばかりの市町村と保育所ばかりの市町村がありました。利用者からすれば、その違いは理解できないと思います。たぶんこんな縄張り争いをしているのは、日本だけだと思います。官僚って、こんな時には「外国では・・」を主張しないんですね。
官僚制は、業界の利益を考える仕組みであって、消費者の利益を考える仕組みになっていません(「新地方自治入門」p290)。(4月11日)
遅くなりましたが、月刊「地方税」17年3月号(地方財務協会)に、小西砂千夫関西学院大学教授が「税源移譲・受益と負担・地方税負担率」という論文を書いておられます。三位一体改革が進んだ先の、地方税財政制度のあり方論です。
「受益と負担の一致は、平均概念でなく限界概念であるはず」「統治という観点からすれば、地域別に受益と負担の一致が望ましいということにはならない」
「地方交付税が必要なのは、国が地方に対して、財政力格差の制約を受けることなしに、権能配分ができるためである」「それをしないならば、地域への権能配分に、経済力に応じて格差をつけることが考えられる」など、これまでにない、しかしなるほどと思う議論が展開されています。
また、「標準的行政を、補助事業であるとか法律に根拠があるといった理由に求めることは無理であり、最適な財政規模は税負担との比較考量で決めるしかない」と述べておられます。
三位一体改革が進み、ようやく「これまでの地方財政のドグマ」「既存のパラダイム」を超えた議論ができるようになった、という思いがします。一部の学者にありがちな「理論倒れ」でなく、説得力ある議論です。ご一読をお勧めします。(4月12日)
18日の毎日新聞は、連載「知事たちの闘い」第7回を載せていました。(4月18日)
18日に、地方6団体代表と麻生総務大臣との会合が持たれました(19日付、日本経済新聞など)。議論の課題は、大きく言って2つです。1つは、三位一体改革の最終年度(平成18年度)の完成。すなわち、残っている義務教育・生活保護・公共事業を決着すること。もう1つは、19年度以降の「三位一体その2」の道筋をつけることでしょう。(4月19日)
三位一体改革のうち、生活保護費についての国と地方の協議が、20日から始まります。今朝の朝日新聞は、詳しく解説していました(4月20日)
21日の日経新聞は、「三位一体改革最終攻防・上」を載せていました。最終局面を迎えているのに、国側の関係者に補助金廃止に切迫感がなく、地方団体が焦りを感じている、という趣旨です。(4月21日)

法律ができるまで8

2005年4月14日   岡本全勝
5日は、衆議院総務委員会で、郵政事業に関する一般質疑が行われる予定でした。しかし、質問通告を受けていた竹中郵政民営化担当大臣が、「法案提出準備で忙しい」という理由で出席しなかったため、委員長が延期を宣言し、質疑に入りませんでした(日経新聞夕刊など)。
省庁改革以来、大臣はそれぞれの所管委員会と、要求があった場合の予算委員会・決算委員会・特別委員会に出席し、他の委員会には副大臣か大臣政務官が出席することとなっているようです。ただし、与野党の理事が合意すれば、この限りにありません。
今回の場合は、やや複雑です。竹中大臣は、法律上は経済財政担当大臣です。特命担当大臣として内閣府に属し、その点では内閣委員会になります。金融担当大臣のときは、財政金融委員会も所管でした。
郵政民営化担当大臣は、法律上の「特命担当大臣」ではなく、総理が任命しただけです。この肩書きも、官報には記載されていますが、法律上の特命担当大臣とは異なります。すなわち、特命担当大臣に2種類あるのです。麻生総務大臣も、後者の担当大臣として、国民スポーツ担当大臣でもあります。
郵政事業は総務大臣の所管であり、総務委員会の所管になります。「郵政民営化」は内閣が作った「事務範囲」なので、国会で、どの委員会に所管させるか、あるいは特別委員会を作るのかは、決まっていません。
ただし、竹中大臣が委員会出席を拒否した理由は、「所管外委員会」ということではなく、「多忙」であったようです。この理由では、これまでの国会の慣例では、与野党を問わず「国会軽視」と反発すると思われます。ただし、その後開かれた本会議では、「所管外委員会であり、理事の合意がなかったため」という趣旨の発言をされています。
ということで、次の法案の審議に入れない状態になっています。なお、総務委員会は、総務省だけでなく人事院も所管しています。逆に、選挙制度は倫理及び選挙特別委員会の所管になっています。(4月5日)
今日、衆議院総務委員会理事懇談会が、断続的に開かれました。昨日の「竹中大臣委員会欠席問題」をめぐってです。委員長から議院運営委員長あての「問題究明申し入れ書」が出されました。委員会開会の目処は立っていません。(4月6日)
今日は、衆議院本会議で、野党が竹中大臣の釈明とお詫び・辞職を求めました。民主党によれば、現憲法下で、国会から出席要求があったのに大臣が拒否したのは、昭和29年に吉田総理が「仮病を使った」と批判されたことを含めて、2度目だそうです。憲法第63条は、大臣は議院から「答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」と定めています。
総務委員会は開かれませんでした。参議院総務委員会では、議員立法の「プリペイド携帯電話規制法改正」が可決されました。(4月7日)
衆議院では、竹中大臣問題で、民主党が審議を拒否していて、審議の目処が立ちません。(4月11日)
(委員会審議復旧)
竹中大臣の総務委員会欠席問題は、与野党間で合意ができ、衆議院は「復旧」しました。総務委員会も開かれ、郵政事業に関する一般質疑が行われました。今回は、次のような処理が行われたとのことです。
12日:官房長官が議院運営委員会に出て、お詫び。その概要は、「国会にご迷惑を掛けたことのお詫び」「官房長官から竹中大臣に注意」「衆議院議長に対し、官房長官がお詫び」「竹中大臣が総務委員会に出席して、質疑に応じるとともに、弁明すること」だったそうです。
13日:総務委員会理事懇談会で、14日に竹中大臣を呼んで質疑をすることを合意。
14日:総務委員会冒頭で、杉浦官房副長官が経緯を説明(官房長官のお詫び等)。竹中大臣がお詫び。その後、質疑。質問者の要求に応じ、竹中大臣も出席し答弁(結果として、質問者全員の質疑に出席)。
今回の論点は、事情通によれば、次の通りだそうです。
1 大臣の国会出席について
→憲法に出席義務が書かれており、特段の事情がない限り、出席は拒否できない。よって、今回の問題は、与野党間や総務委員会の問題でなく、国会対内閣の問題になった。そこで、議院運営委員会と官房長官の出番となった。
2 竹中大臣側が「所管外の委員会なので、与野党の合意がなかったので出席しなかった。副大臣でお願いする」旨を主張したことについて
→総務委員会が、竹中大臣にとって所管外かどうかは、かならずしも明らかでない。経済財政担当大臣としては、内閣委員会となっている。しかし、郵政民営化担当大臣としては、どの委員会か、今のところ不明である。郵政民営化という事務は、法律や衆議院規則に出てこない。どの委員会かは、国会が決めること。
なお、「郵政事業の企画立案に関することは、総務省の所管と法律に明記されている。郵政民営化はその事務の一部であるから、当然、総務委員会である」と主張する議員もいる。
→与野党の合意がなかったという弁明をされているが、ここは次のようなことだろう。仮に所管外の大臣としても、大臣の出席を決めるのは、正式には理事会である。通常は、委員会に先立つ理事会で決定する。事前に通告があれば、理事会の結果を待つべく、委員会に出席できるように待機しておくべき。今回の場合は、前日に質問通告はしてあり、事務方も質問取りに来たのだから。
通常は、前日までに、理事懇談会なり与野党の筆頭理事間で事実上合意しておくが。
→理事会で郵政民営化準備室事務方が「大臣は法案提出準備で忙しく、委員会答弁は副大臣でお願いしたい」と主張したことについては、野党を含め国会は納得しないだろう。国際会議のために海外出張する際も、国会への説明が必要だ。国会を欠席するためには、それなりの理由が必要だろう。(4月14日)