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立谷市長の新著・危機時の市長の行動

2017年8月28日   岡本全勝

立谷秀清・福島県相馬市長が、『東日本大震災 震災市長の手記』(2017年、近代消防社)を出版されました。相馬市は、福島県東北部、太平洋に面した町です。大震災の際には、津波に襲われ、大きな被害を出しました。私は、発災半月後に現地に入り、市長の陣頭指揮ぶりを見て、感激しました。

発災直後、市役所では、津波に襲われている現場の事情がわかりません。順次そしてばらばらに入ってくる情報を基に、市長は次々と対策を打ちます。対策本部では、白板に、わかっていることと対応を書き込み、関係者が共有できるようにします。それを写真に撮って残しておきます。また、するべきことを1枚の紙に整理し、関係者に指示します。
私が、国の被災者支援本部で行ったことと同じことを、現場でやっておられました。私も、その写真をお借りして、説明会や講演会で使わせてもらいました。

市長は、アイデアマンであり、実行力があります。発災直後から、仮設住宅での支援、高齢者向けの公営住宅の設計、災害孤児の支援、民間企業の支援の受け入れなどなど。あの混乱のさなかに、次々と実現して行かれます。
この本に書かれていないことを含めて、市長から話を聞くたびに、脱帽でした。お会いすると、「岡本さん、こんなことを考えているんだけど、できないかなあ・・」が、市長の挨拶でした。
おっしゃることは、現場の実情からもっともなことです。しかし、これまでの予算や仕組みでは、できなかったことが多いのです。いくつかは国の予算を弾力化し、またいくつかは民間の支援で実現することができました。

この本にも出てきますが、市長は市役所の活動を、半年ごとに記録誌として残しておられます。他の自治体に参考になる良い資料です。しかし、記録誌では、世間の人に読んでもらえません。市長に「本にしてはどうですか」と提言したのは私です。
拙著『東日本大震災 復興が日本を変える』は、国で被災者支援と復興に当たった私の記録です。この本は、自治体現場での首長の奮闘の記録です。市長の発想、苦悩、決断が生々しく載っています。住民とのやりとりも。自治体関係者には、是非読んでいただきたい本です。

総理官邸で復興推進会議

2017年8月8日   岡本全勝

今朝、総理官邸で、復興推進会議(全大臣出席会議)を開催しました。
新内閣でも、東日本大震災からの復興が、政策の第一番に取り上げられています(「基本方針」8月3日閣議決定)。新しい体制で、復興の進捗とこれからの課題を確認しました。いつものように、簡潔に分かる「資料」を使いました。

会議のあと、私は福島に移動。定例の福島復興総局会議を開き、現地での関係者で、進捗状況と課題を確認しました。
台風が、各地に大きな被害をもたらしています。関東でも心配していたのですが、東京と福島は大きな影響がなく、新幹線も予定通り走っていました。

原子力災害からの福島復興再生協議会

2017年8月6日   岡本全勝

今日は、福島市で、県と国との協議会(原子力災害からの福島復興再生協議会)でした。原発事故からの復旧について、国と県とが意見を交換する公式の場です。最近は、年に2回ほど開いています。国からは、復興大臣、経産大臣、環境大臣ほかが出席しました。現地で開くことに、意義があります。

今年の春には、帰還困難区域を除いて、ほとんどの地区で避難指示が解除されました。そこで、次のようなことが課題になっています。
・残る帰還困難区域で、早期解除を目指す「復興拠点」を進めること
・避難指示が解除された市町村で、住民が帰還できるように条件を整えること
・産業振興を進めること
・いまだに続く風評被害をなくすこと

今日の意見交換でも、これらの課題について、意見が出ました。地元と一緒になって、着実に進めていきます。
今日使った資料は、公開します。追って、復興庁のホームページに載ります。

復興、中国の研究者への説明

2017年8月4日   岡本全勝

今日は、中国、北京大学の劉軍准教授のインタビューを受けました。劉准教授は、昨年から国際交流基金の研究員として来日し、慶應義塾大学法学部の客員准教授になっておられます。よく考えたら、慶應大学法学部の私の「同僚」なんですね。
今日のテーマは、東日本大震災からの復興です。一般的な現状などは、復興庁職員に対応してもらい、私は、劉准教授の関心であるNPOの役割、国・県・市町村の役割分担、民主主義と復興について質問に答えました。

大災害でも、暴動や略奪が起きない日本社会の強さを説明する際に、それが起きる諸外国との対比とともに、日本でもそれが起きた関東大震災との違いも説明しました。
住民に新しい町づくりを考えてもらうこと、それには1年かかること。国が決めれば早いけれど、住民の満足は得られないこと。
また、住民や国民は、世論調査では政府や役所に批判的な回答をするけど、復興などについてはかなり信頼してもらっていたので、仕事が進んだことなどもお話ししました。
外国の方に説明するために、どのように話したら伝わるか、その国とは何が違うかを考えると、特徴がよくわかります。私自身の勉強になります。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅰ成績評価

2017年7月30日   岡本全勝

今日も、朝から書斎にこもって、地方自治論試験の採点をしました。94人です。
第1問は、ほとんどの人が、よい答案を書いていました。地方自治の意味を理解してもらえれば、この授業の最低線は越えてもらえました。
第2問は、正しく書けていたのは、半数くらいでしょうか。国政における三権分立は、皆さん頭にたたき込まれているのでしょうが、憲法が定める地方自治によって、自治体にも分割されています。その中での水平的分立があります。地方議会は、国会の下部機関ではありません。また日本は単一国家であり、連邦制ではありませんから、地方自治体(地方政府)が中央政府と完全に対等になることはありません。
第3問は、それぞれの考え方を聞く問ですから、各人ごとに結論が違って当然です。ただし、議院内閣制と二元代表制の比較については、問の文章にも出てくるので、触れる必要があります。それらに触れず、町村総会について述べている答案がありました。また、制度の羅列で終わっていて、その得失を述べていない答案は、評価が低くなります。自分の考えを書くことは、慣れていないようですね。

せっかく正しい答えを書いていながら、余計なことに言及している答案がありました。これでは、分かっていないな、と思われます。
満点に近い、すなわちS評価の答案もいくつかありました。