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講義など

第2回目の授業

今日は、2回目の授業。大学の前のハナミズキは、早くも白やピンクの花を咲かせています。
教室に行って、びっくり。前回より受講生が増えて、教室がほぼ満員状態でした。出席表では、100人近くになりました。資料は、80部しか刷っていかなかったので、もらえない学生が出ました。第2回目は第1回目より、受講生が減るだろうと予測していたのです。観客が増えるとうれしくて、元気が出ますねえ。もっとも、来週には減っているかも。しかも、早々と小レポートを、連休の宿題に出したので。資料を受け取れなかった学生諸君。ごめん。来週に、今日19日分と先週12日分を追加配付します。
以下、授業の補足です。
今日の授業で紹介した、人口ピラミッドは「日本の人口」、経済発展は「戦後日本の経済成長と税収」のページに載っています。経済財政諮問会議関係は、「経済財政」「4月1日諮問会議」「使い勝手の悪いIT」「15日諮問会議」「民間ベストプラクティス導入」を見てください。中教審をめぐる話は「省庁間の調整」「朝日新聞4月19日社説」を読んでください。なお、先週の授業で紹介した、私の資料整理術は、「知的生産の技術」に載っています。

開講

今日は、新学期第1回目の授業でした。2年目は勝手がわかっているので、1年目に比べて楽です。もっとも、何人受講生が集まるかが不明なので、それが不安でした。レジュメを何部用意していったらよいのか。悩ましいのですよね。出席表を回したところ、57人の名前が書き込まれていました。レジュメは、もっとなくなっていますが。学生さんの方も、「どんな授業か見てみよう」と、お試し期間ということでしょう。
今日は、授業の進め方などガイダンスと、行政学の入門部分を、お話ししました。それと、「新聞を読むこと」の意味について。皆さん寝ることもなく、まじめに聞いてくれました。寝るような学生は、そもそも土曜の朝から出席しませんわね。学生さんの期待に応えるためにも、私も力を入れなくては。面白くてためになる授業を。これから4か月間、一緒に勉強しましょう。まずは、新聞を毎日読むことですよ。

慶応大学2008春学期

2008年春学期
行政学特論Ⅰ「行政管理論日本の行政と官僚」土曜日第2時限(10:45~12:15)
2007年度に引き続き、行政管理論を講義します。内容は大きくは変わりませんが、組み立てなどを変更します。
講義の狙い
日本の統治は、中央政府と地方政府で分担されています。中央政府にあっては、執政(executive)を担うのは内閣(政治家)であり、執行(administration)を担うのは各府省(公務員)です。地方政府にあっては、前者は首長で、後者は市役所(公務員)などです。
行政管理論は、この執行についての学問です。つい最近まで、日本の公務員は世界一優秀であると評価されていました。しかし近年、大きな批判にさらされています。なぜこのように、評価が急激に変化したのでしょうか。ここに、行政と官僚だけでなく、それを包含した日本の政治や社会の転換が表れているのです。
この講義では、日本の行政機構と官僚制を解説するとともに、転換を求められている日本の官僚制と行政について、同時代的視点から分析します。
授業計画
第1章 日本行政の成功と失敗
1 私たちの成功
2 私たちの失敗
第2章 行政機構と官僚制
1 日本の行政機構
2 日本の官僚制
3 官僚の失敗への批判
4 官僚制の限界
5 責任の所在と対応策
第3章 政治の役割と行政の役割
1 政治の機構と担い手 
2 官僚主導から政治主導へ
3 政治の役割
第4章行政構造改革
1 行政改革の進化 
2 行政の構造改革
授業予定
4月12日 開講、ガイダンス、はじめに(1 分析の視角)
4月19日 (2 行政と行政学)、第1章(1 私たちの成功)
4月26日 第1章(2 私たちの失敗)
5月10日 第1章続き。小レポート提出期限
5月17日 第2章(1 日本の行政機構、2 日本の官僚制)
5月24日 第2章続き
5月31日 休講
6月 7日 第2章(3 官僚の失敗への批判、4 官僚制の限界)
6月14日 第2章続き(5 責任の所在と対応策)
6月21日 第2章残り、第3章(1 政治の機構と担い手、2 官僚主導から政治主導へ)
6月28日 第3章続き(3 政治の役割)
7月 5日 第3章残り、第4章(1 行政改革の進化)
7月12日 第4章残り
配付資料
レジュメ p1~5(4月12日)、p6~8(4月19日、p8は小レポートの課題)、p9~12(4月26日)、p13・14(5月14日)、p15・16(6月21日)、p17・18、レポートの課題(6月28日)
資料 1-1~1-3(4月19日)、日経新聞小冊子(4月26日)、2-1~10、人事院パンフレット、国家公務員Ⅰ種ガイド、受験案内、内閣府パンフレット(5月10日)、厚労省パンフレット(5月17日)、2-11、厚労省パンフレット、総務省パンフレット2種類(5月24日)、3-1~3-5(6月14日)、4-1・4-2(6月28日)、4-3~4-6(7月5日)
参考
昨年の講義を基に、「行政構造改革-日本の行政と官僚の未来」を、月刊『地方財務』に連載中です。
また、「新地方自治入門-行政の現在と未来」(2003年、ぎょうせい)が、参考になります。

講評

今日、66人の成績評価を終えました。一人ひとりの学生にとっては、重大なことですから、私としても真剣・慎重になります。一通り読んで点数をつけた後、何度か読み返します。減点主義だと低くなりがちなので、良いところを探して、引き上げます。授業を理解していない(聞いていない)レポートが出てくると、悲しくなります。一方、学生がこれだけのものを調べて書いているのかと、感心するのもあります。この人は、文句なくA。
多くの人は、分量や内容に関して「良くこれだけ書いたな」と思うくらい、努力の跡が見えました(一部の人を除きます)。また、地方制度の現状や分権の課題などについて、十分理解してもらえているようです。この点については、安心しました。以下、講評を述べます。
1 テーマ
第1課題「地方公共団体への議院内閣制導入の是非」を選んだ人は10人、第2課題「道州制」を選んだ人は49人、第3課題「その他」を選んだ人は7人でした。
2 形式など
課題のペーパーに「評価の基準」として、「外してはいけない要素」「体裁」などを指示しておきました。これを守っていないレポートは、当然、評価は低いです。結論またはポイントを書いていないもの、長所短所を書いていないものです。
数人ですが、誤字のとてつもないもの、白紙が挟まっているもの、文章の途中で活字の大きさが変わるもの、「ですます」と「である」が混在しているものがありました。研究者の論文を引用する際に、氏名を間違えているものも。提出する前には、読み返してください。
3 道州制について
道州制についての理解は、ほぼ全員できていました(一部の人を除く)。
評価が低いのは、次のようなものです。
私の授業を無視して、議論を展開するもの。例えば、授業で取り上げ資料も配った「第28次地方制度調査会答申」に言及せず、第27次答申で議論するもの。都道府県・市町村の上に、さらに道州制を載せるものとして議論をするもの。それも一つの考えですが、その際には、なぜ都道府県を存続させるのかを、述べておくべきでしょう。
行政論を述べず、区割りだけを議論するもの。「立法権を付与する」と書いて、その内容や問題点を書かないもの。理由なく、長所短所を羅列するだけのもの。
道州制を導入すると、財政再建ができ、分権が進み、住民が自立するなど、考察もなくバラ色の社会を描くもの。国との対比をするだけで、現在の都道府県がどう変わるかを述べないもの。
評価が高いのは、次のようなものです。
バランス良く論点に言及しているもの。あるいは、論点が多いので、ある点に絞って深く考察しているもの。このテーマは論点が広く、それに言及し出すと、分量が大変になります。よって、論点を絞ることが望ましいでしょう。例えば、基礎自治体との関係に絞った人、経済に絞った人、行政分野を分けてメリットを分析した人などです。
4 議院内閣制と首長制について
制度と運用を、区別しない議論が多かったです。例えば、地方議員の資質が低いので、議院内閣制は導入すべきでないとか、議員立法が少ないから議院内閣制は導入すべきでないなど。また、首長制の方が市長が強いリーダーシップを発揮できるというのもありました。予算や条例を成立させるためには、議会の同意が必要です。小泉内閣を見ても、「議院内閣制だからリーダーシップが弱い」とは、言えません。
5 第3課題について
これを選んだ人は、それぞれのテーマについて、それなりに勉強していました。文献を読んで勉強していることは評価できるのですが、本人の意見・分析となると、何人かを除いて、踏み込みは少なかったです。
6 そのほか
授業の内容を、そのままレポートにしたのもありました。それはうれしいのですが、課題には「あなたの意見を書きなさい」と入れてあります。また、文献の書き写し=要約もありました。よく勉強しているのはわかりますが、これも、Aを上げるわけにはいきません。
私の授業では、地方自治の基本的知識と現在の問題を理解すること、そして日本の行財政に関心を持ってもらうこと、できればニュースを見て自分としての判断ができるような能力を身につけること、を目指しています。その意味もあって、テストでなく、レポートで採点しています。レポートを書くことで、あるテーマについて、授業を超えてさらに自ら勉強してもらえるからです。これからも、関心を持ち、自らの判断でニュースを見るようにしてもらえれば、幸いです。

レポートの採点

大学から、学生のレポートが送られてきました。これから66人の力作を、読ませてもらいます。レポートを読んで採点するのって、結構な労働なんですよ。
読みやすくするために、最初に要約か結論を書き、見出しをつけることを指示してあります。これがあるのとないのとでは、大違いなのです。私が読みやすい、だけではありません。書いている本人も、何を言いたいのか、整理できます。