カテゴリーアーカイブ:経済

物価指数からネクタイが外れた

2026年8月11日   岡本全勝

8月8日の日経新聞に「物価算定からネクタイ除外、消費の変化映す 新たにプロテイン追加」が載っていました。
・・・総務省は7日、基準年の見直しを反映した消費者物価指数の改定値を公表した。家計の消費実態を踏まえ、新たにプロテインパウダーやペット保険料などを対象品目に加えた。ネクタイや婦人用ストッキングなどは除外した。
たこ焼きや通信教育なども対象に加えた。ネクタイや婦人用ストッキングのほか、ビデオソフトレンタル料なども除外した。一部品目の名称も変えた。「男子」「婦人用」はそれぞれ「男性」「女性」に改めた。「男子用コート」は「男性用コート」に「婦人用上着」は「女性用上着」とした・・・
総務省統計局資料「消費者物価指数2025年基準改定の概要

社会人になって、スーツを着てにネクタイを締めたときは、何かしら一人前になった気になりました。それまでは、学生の下宿暮らし。きちんとした服も持たず、楽な(だらしない)格好でした。
その後は、仕事に忙しく、スーツとパジャマとスポーツウエアだけで過ごしたことは、いくつかのところで書きました。その3つしか生活の場面がなく、仕事着は紺のスーツが「制服」でした。
あるときから「世間」に反抗して、クレリックシャツや上下そろいでない洋服を着るようになりました。みんなから変に思われましたが。それでも、ワイシャツ(色物でも薄い色)、ネクタイ、上着は必須と考えていました。
クールビスが導入されたとき、よいことだと思いました。ただし、私の基準から外れた「だらしなく見える服装」には違和感がありました。その後、どんどんと基準が緩くなりました。ネクタイが売れなくなるのは、当然ですね。

検索したらネクタイの話題は、何度も書いていました。「ネクタイ、8割減」「ネクタイはなくなるか」「ネクタイとスーツは伝統衣装になるか

輸出額、韓国と台湾に抜かれる

2026年8月11日   岡本全勝

8月8日の日経新聞1面に、「韓国と台湾の輸出額ともに初の日本超え 26年上期」が載っていました。
・・・韓国、台湾の1〜6月の輸出額が初めて日本を上回ったことが分かった。人工知能(AI)向け半導体特需を受けて急伸した韓台に対し、日本は半導体関連の素材・製造装置に強みが限られ、恩恵に差が出た。世界が求める最終製品の供給で後手に回る日本のものづくりの現状を映す・・・

ここまで来ましたか。しかも、人口も日本の方が多いのです。韓国の人口は約5,200万人、台湾約2,300万人です。
私の見方を書こうと思ったのですが、川北英隆先生がわかりやすく解説してくださっています。そちらをご覧ください。「台湾と韓国に抜かれた日本

東京集中、発展途上国の現象

2026年8月10日   岡本全勝

東京一極集中「学」の勧め」の続きにもなります。川北英隆先生が、ブログに「地方本社の魅力」(8月8日)を書いておられました。「なぜ家が買えないか」(8月5日)も。
いつも、斬新な視点から経済や社会の問題を指摘し、切り込んでおられます。京都大学の気風でしょうか。そういえば、佐伯啓思先生は東大卒ですが、京都大学で教授でした。この説明は、やや強引ですかね。お二人とも高校(奈良女子大学附属)の先輩です。

東京への人口集中は、住む人にとって、とても暮らしにくい場所になっています。長距離通勤、とんでもない混雑、住宅費の高騰など。それを選んだのは住民ですが、それを選ばせたのは、東京に本社などを置く企業です。社員を大切に思うなら、地方に分散すべきです。

「日本経済は政府依存度が高く、首都であり政府機能の集まる東京に集中した。日本の東京集中は発展途上国の「賄賂型、政府癒着型スタイル」である」。その通りです。
もはや成熟国家になり、「官から民へ」と改革を進めて四半世紀以上が過ぎました。企業経営者、経団連、経済同友会には、地方分散へ舵を切ってもらいたいです。

平家の「都落ち」以来、都から離れることは、負けの印象があります。このような通念も変えなければなりません。
大勢順応に慣れた企業幹部には、大胆な方向転換は期待できないでしょうか。「異論や逆張りの発想の重要性

長期停滞、「大きな政府」はあり得なかったか

2026年8月8日   岡本全勝

日本は1980年代から小さな政府を目指し、行政改革の継続しました。当初は財政再建が目的でしたが、先進国で主張された新自由主義的改革、「官から民へ」の思想がそれに加わりました。官は失敗するので、民に任せようという思想です。これら財政再建も「官から民へ」も正しい考えだと思いますが、日本はバブル経済崩壊後に長期停滞に陥りました。

今から見ると、単なる景気変動ではありませんでした。1990年代に何度も巨額の経済対策を打ちましたが、景気は回復しませんでした。経済界が3つの過剰を処理しても、経済は回復しませんでした。
国際的、産業的には、世界での産業競争が激化し、それまで日本が優位に立っていた製造業で、アジア各国の追い上げに負けてしまいました。産業構造の転換も必要でした。

長期停滞を長引かせた理由の一つは、官と民との「縮小思考」だと思います。企業は業績回復のため、「選択と集中」「リストラ」を続けました。政府も、行政改革を続けました。しかし、企業が事業を縮小し、政府が予算を縮小する。企業も政府も従業員を減らし、給与を削減する。これを続けると、経済は拡大しませんよね。景気変動に対して、ケインズ経済学では総需要政策を主張します。

どこかで、経済拡大のために「大きな政府」はあり得なかったかのでしょうか。単純な財政出動では効果がないことは1990年代が示しています。必要だったのは、企業の新しい分野への投資を支援すること、他方で従業員の給与を下げないことではなかったでしょうか。もちろん、業績の悪い企業にそれを期待することは、無理でしょう。その際に、政府が何らかの手を打つことはできなかったのでしょうか。
ケインズ経済学が従来の経済思想を大胆に変えたように、その先の「新しい経済思想」です。
政府が考えるべきは、「縮小思考」からの脱出と、国民の雇用と給与の安心確保だったと思うのです。このような説明は、具体性に欠ける、あやふやな考えであることを承知で書いておきます。

身長も人間関係も小さくなる日本2

2026年7月23日   岡本全勝

身長も人間関係も小さくなる日本」の続きです。

・・・フィジカルなスリム化に加え、気になるのが若い世代の人間関係。スマートフォンを駆使するデジタル社会は人間関係を広げるのかと言えば、そうでもない。博報堂生活総合研究所「若者30年変化」は若い世代の狭くなる交友関係を浮き彫りにしている。
「友達は多ければ多いほどいい」と答えた若者の割合は94年には31.9%だったが、2024年はわずか10.3%。交友関係を性別に見ると「自分にとって居心地のいい組み合わせは同性か異性か」という質問に94年は同性が25.5%だったが、24年には64.8%へ急上昇している。
そしてこの30年で存在感が高まった人生の相談相手は母親だ。大学を出て、就職も経験してきた母親を博報堂生活総研では「メンター・ママ」と呼ぶ。学校の先輩や会社の上司より愛情深く、社会経験も豊富なママは最強の存在なのだ。

若い世代といっても千差万別。だが若者の生態を研究する金沢大学の金間大介教授は約半数を占めるボリュームゾーンについて「世界観が狭いのが特徴で、大学や会社で気にするのは同世代の動き。上司の考えなど気にならない」と指摘する。理由は安定志向だ。
「人前で褒められるのも嫌がる。目立つと同世代の輪から外れてしまうことを恐れるからで、とにかく安全と安心度の高い人生を送りたい」(金間教授)。日本経済に期待はなく、政治への関心も薄い。やりがいや生きがいも求めない。あくまで自分事に関心を持つ。
上の世代からは実に薄幸な姿にも見えるが、金間教授はその点を否定する。「先行きへの期待もなく、かわいそうな若者かと言えばそうじゃない。とても幸福感が強く、だからこそ今の多くの若者は無敵になる」。人生の選択をあらかじめ狭めているから強いのだ・・・
・・・狭くなっていると言えば都心部の住宅・・・

・・・日本経済の停滞がもたらした縮まり志向。それは精神論で変えられる流れではない。新たな現実と向き合い、強みや価値を見いだすしかない。小さく、コツコツと・・・