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社会

生涯子供なし推計女性4割、男性5割

8月9日の日経新聞に「生涯子供なし現18歳女性で最大42% 欧米の2倍水準 男性は5割も」が載っていました。

・・・生涯にわたって子供を持たない人が2005年生まれの女性(23年に18歳)の場合で、最大42%に達すると推計されることがわかった。男性はさらに多く5割程度になる可能性がある。先進国でも突出した水準だ。子供を持たない人の増加は少子化による人口減少を招くだけでなく、家族による支え合いを前提とした社会保障制度にも変更を迫る・・・
・・・最新の推計値は国立社会保障・人口問題研究所(社人研)がまとめる23年将来人口推計報告書に盛り込まれる見通し。

05年生まれの女性(23年に18歳)の場合、子供を持つ人が最も少ないという仮定(低位仮定)では50歳時点無子率が42%になる。最も多いと仮定(高位仮定)しても24.6%。両者の間の中程度の仮定(中位仮定)は33.4%で、3人に1人は子供を持たない人生を送ることになる。
男性の場合、女性より未婚率が高いことから、およそ1割程度、生涯無子率も高いと見られる。男性では最大5割程度、2人に1人が子供を持たない可能性がある。

欧米の先進国でも子供を持たない人は増えてきた。子供を持つことを最優先せず、自己実現を重視するといった価値観の変化などが背景にあるとされる。
1970年生まれの女性(2023年に53歳)で見ると、日本以外の主な先進国での生涯無子率はそれぞれ1〜2割程度だが、日本は27%とすでに突出して高い。欧米が現状のまま推移すれば、今後、日本の無子率はその2倍以上になる可能性がある。
英米やドイツでは近年、生涯無子率上昇の勢いが収まりつつある。仕事と子育てが両立しやすい環境が整い、「少なくとも1人」は子供を持てるようになってきているとの見方もある・・・

中3、英語話す正答12%

8月1日の各紙が、今年4月に実施した全国学力・学習状況調査結果を報道していました。特に目立ったのが、中学3年の英語で「話す」の平均正答率が12%ということでした。読売新聞「学力テスト 英語「話す」正答率12.4% 中3 全問不正解6割超」から引用します。

・・・文部科学省は31日、今年4月に実施した2023年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。中学3年が対象の英語では、「話す」技能の平均正答率が12・4%にとどまった。英語を使ったコミュニケーションを重視する中学校の学習指導要領が21年度に実施されてから初めてのテストだったが、英語で表現する力が十分に身に付いていない実態が明らかになった・・・

・・・英語の平均正答率を技能別でみると、「聞く」が58・9%、「読む」は51・7%で5割を超えた。一方、「書く」は24・1%にとどまり、全国値を推定した「話す」に次いで低かった。
「話す」は、英語で考えや気持ちを伝え合う活動を重視する学習指導要領を踏まえて出題された。全5問のうち、留学生による環境問題の発表を聞き、1分間で自分の意見とその理由を考え、30秒間のうちに英語で答える問題では、正答率がわずか4・2%だった。
「話す」では、1問も解けない生徒が6割を超えた。作問した国立教育政策研究所の責任者は「聞いたことを基に考えと理由を述べる力を測る狙いだったが、場面設定が複雑になりすぎ、生徒には難しかったようだ」としている・・・

8月1日の日経新聞夕刊「受験のリアル・大学編」で、後藤健夫さんが「大学共通テスト、英語4技能試験の活用はなぜ難しい」を書いておられました。そこでは、日本の高校生は英語ができない理由として、社会が英語の能力を求めていないからだと喝破しておられます。

2023年夏、新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株になってから症状が軽くなって、日常生活も元に戻っています。ところが、感染はまだ収束していないようです。

私の周囲でも、何人か感染する人が出ています。感染源を聞くと、子どもがもらってきて家族がかかったとか、飲み会に出たらもらったようです。
かかった人は、早い回復をお祈りします。かかっていない人は、お互いに気をつけましょう。

今年の夏は、熱中症も怖いです。それにしても、昼も夜も暑い日が続きますねえ。冷房がないと過ごせません。それでも、しんどいですわ。

入社するまでどんな仕事に就くかわからない

7月25日の日経新聞夕刊「就活のリアル」、栗田貴祥さんの「就活で入社後の配属先希望、配慮すれば選ばれる企業に」から。

・・・入社するまでどんな仕事につくか分からない――。そんな不安な状況に「配属ガチャ」という言葉が生まれるなど、配属先の決定は多くの学生にとって重大なテーマである。
入社後の配属先の確定状況について、2023年大卒者を対象に3月卒業時点での調査をしたところ、卒業時点で配属先が確定している学生は就職確定者のうち46.5%だった。確定する時期を聞くと「入社後に決まる予定」が35.2%ともっとも多く、「内定式以降〜入社前まで」が21.9%。「配属確約での応募(募集時に配属先を提示)」は11%、「選考時に確定」が7.6%などだ・・・

・・・ただ、入社後の配属希望がある学生に、「入社予定企業に希望を伝えたかどうか」を聞くと、23.6%は伝えていないと回答している。希望を伝える機会の有無について、「面談など口頭で伝える機会があった」(43.9%)、「アンケートなど文面で伝える機会があった」(24.3%)という声の一方、「希望を伝える機会がなかった」という回答も35.3%にのぼる。配属先が確定していても、その意図の説明がなかったという声も40.1%あった・・・

次のような記述も。
・・・そもそも、学生は入社後の希望業務を具体的に持っているのだろうか。就職活動開始前に「明確にやりたい仕事があったかどうか」を聞くと「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」の合計が45.8%だった。
就活を経て、3月卒業時点で入社後の配属希望部署・部門について「明確な希望があるか(確定前に明確な希望があったか)」という質問への回答では計58%に高まり、「あてはまらない」「どちらかというとあてはまらない」の計19.1%を大きく上回る。就活を通じて、具体的な希望や働くイメージを持つようになった学生が一定数いることが分かる・・・

人工知能が新たな人類の脅威に

6月18日の読売新聞「あすへの考」、大塚隆一・編集委員の「生成AI 新たな人類の脅威」から。

人間が書いたような文章を作ることができる生成AI(人工知能)の利用が急拡大している。一方で「人類や文明の存続を脅かす」などの警鐘も相次ぐ。なぜ、それほど恐れるべきなのか。核兵器や気候変動など他の脅威と何が違うのか。それらとの比較で何が見えてくるのか。

「人類存亡の脅威」と聞くと、何を思い浮かべるだろうか。
自然がもたらす破局的な脅威には小惑星の衝突や超巨大火山の噴火などがあるが、ここでは人間の活動、特に技術や産業の発展で生じた脅威を取り上げたい。
具体的には「気候変動」「核兵器」「遺伝子の改変」「人工知能(AI)」の四つだ。程度の差はあるが、どれも人類の存続を揺るがすリスクをはらむ。

一方、「遺伝子の改変」は「命」の謎解きに挑む生命科学が生んだリスクだ。特に近年、遺伝子を自在に操作できるゲノム編集が登場したことで懸念が強まった。
この技術を人の生殖細胞や受精卵に使い、遺伝子を望み通りに変えた「デザイナーベビー」を誕生させるとどうなるか。改変の影響は子々孫々まで残る。専門家は人類の多様性や進化に未知の問題を生じさせかねないと危惧する。
もちろん科学技術や産業の発展は多大な恵みをもたらしてきた。
数次の産業革命で私たちの暮らしは豊かになった。核エネルギーは原子力という新しい電源を生んだ。核融合にも期待が集まる。
遺伝子の研究は難病の治療や新薬の開発、作物の品種改良などでめざましい成果を上げてきた。
だが人類は、恵みと引き換えに、扱いを誤れば自らの生存を危うくするリスクを背負った。
いわば、災いが詰まった「パンドラの箱」を開けてしまった。

「人工知能」のうち、いま話題の「生成AI」は「知」の分野の驚くべき成果だ。代表格の対話型AI「チャットGPT」は人間のような巧みさで「言語」を操る。
それゆえ、脅威にもなりうる。こちらの「パンドラの箱」はどんな災いをもたらすのか。
政府のAI戦略会議は先月、懸念されるリスクとして、偽情報の氾濫、犯罪の巧妙化、著作権の侵害など7項目を挙げた。
一方、イスラエルの歴史家ユヴァル・ノア・ハラリ氏は英誌エコノミストで、「言語」が人類の文明を築いてきたことを考えれば、生成AI問題はもっと「大きな構図」で捉えるべきだと論じた。
「民主主義は対話であり、対話は言語による。AIが言語を乗っ取れば、有意義な対話、すなわち民主主義は破壊されかねない」
さらに「核兵器は文明を物理的に破壊できる」が、生成AIは「私たちの精神世界と社会」を滅ぼす「新しい大量破壊兵器」になりうる、とまで指摘した。
もちろんハラリ氏も、生成AIが社会の抱える様々な課題の解決に役立つ可能性は認めている。
しかし今は、その能力を見極め、規制を優先すべき時だと訴える。