カテゴリーアーカイブ:社会の見方

スチュアート・ケルズ著『図書館巡礼』

2019年9月30日   岡本全勝

スチュアート・ケルズ著『図書館巡礼』(2019年、早川書房)を、本屋で見つけて、読みました。
著者の博学に脱帽します。古今の図書館、それも図書館の概要より、エピソードがたくさん詰まっています。読み終えるのに、時間がかかりました。

本をどのようにして収集したか以上に、貴重な本が盗まれた、切り取られた、火事に遭った、放置された、価値がわからず捨てられたという話が並んでいます。
とんでもない収集家や泥棒がいたのですね。本が貴重だった時代は、それだけ犯罪を誘ったのでしょう。読んでいて、気分が悪くなります。
対象としているのが古代、中世、近世のヨーロッパですので、多くが教会、修道院、王侯貴族の図書館です。羊皮紙に書かれた豪華かつ貴重な書物と、印刷術が発展した初期の部数の少ない書物です。
多くの収集家にとって、読むことでなく、きれいなそして貴重な本を所有することに意義があったのです。宝石を集めることと同じだったのでしょう。

これを読んでいると、図書には2種類のものがあるようです。一つは豪華本で、もう一つはたくさん印刷された本です。
それによって、図書館にも、貴重な本を保管する図書館と、市民が気軽に利用する図書館があるようです。

日本人は助け合いが嫌い

2019年9月30日   岡本全勝

9月26日の朝日新聞の論壇時評に、紹介されていたので、インターネットで読みました。坂本治也関西大学法学部教授の「日本人は、実は「助け合い」が嫌いだった…国際比較で見る驚きの事実 そして背後にある「政治嫌い」の意識」(『現代ビジネス』)

・・・2011年、東日本大震災が発生した直後、被災地の支援・復興のため、多数のボランティアと多額の寄付金が日本全国から集まった。自然と湧き上がった人々の助け合いの気持ちに、激しく心を揺り動かされた人は決して少なくなかったはずだ。あの時、私たちは「やっぱり日本人には、強い助け合いの精神があるんだ!」と再確認できたような気になっていた。
しかし、それは一時的な熱狂にほだされる中で目にした「錯覚」だったのかもしれない。国際比較の観点から見れば、平時において「日本人に強い助け合いの精神がある」とは言い難い。むしろ現状では、「困っている他者に冷淡な日本人」と言った方がより正確なのかもしれない・・・

・・・イギリスのNPOであるCharities Aid Foundationが公表したWorld Giving Index 20181というレポートでは、寄付やボランティアの頻度を基に世界各国の「共助」レベルのランキングが示されている。調査対象となった世界144カ国の中で、日本の順位は128位である。先進国として最低ランクに位置する。
同レポートの調査では、過去1ヶ月の間に、(1)困っている見知らぬ他者の手助けをした者の割合、(2)慈善団体に寄付した者の割合、(3)ボランティア活動に時間を割いた者の割合、が各国ごとに調べられている。日本の割合は、(1)=23%(世界142位)、(2)=18%(99位)、(3)=23%(56位)である。とくに(1)と(2)が他国と比べて低調といえる(図1)・・・
・・・同様に、内閣府が2018年に実施した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」2では、日本を含む7カ国で13〜29歳の若者を対象に「ボランティア活動に対する興味」の有無を尋ねているが、日本の若者のボランティア意欲は調査対象国の中で最も低いことが明らかとなっている(図2)・・・

・・・これらの分析結果から、政治に対して不信感をもち、政治から距離を取りたがる人ほど、NPO・自治会・寄付・ボランティアなどの「共助」活動からも遠ざかろうとする傾向が確認できる。そこからうかがえるのは、「政治嫌い」が「共助嫌い」を助長してしまっている可能性である。政治によって毀損されてしまった「公共」のイメージが、「新しい公共」である「共助」活動にも投影されてしまっている恐れがある・・・

この説に同感です。「政治は「彼ら」がするもので、私たちには関係がない」という意識が、社会の問題に自発的に参画しないことにつながっています。税金を公共を支えるための会費と考えるのか、国に取られるものと考えるのか。その違いが出てきます。
マスコミはしばしば、政治を批判し、おとしめるような評価をします。それは、国民の政治離れを後押しします。政治は「彼らのもの」として批判するのではなく、「自分たちが作るもの、彼らはその代理」という意識が必要です。
いま連載している「公共を創る」でも、その点を議論する予定です。

スマホの副作用

2019年9月28日   岡本全勝

先日ある新聞で、ガラケー(携帯電話)を、スマートフォンに買い換えるかが、議論されていました。ガラケーがよいとする意見と、スマホがよいとする意見とが並んでいました。
この議論を読んでいて、「大きな忘れ物をしていませんか」と、言いたくなりました。スマートフォンにはインターネットにつながる便利さがあります。その点を比較したら、スマートフォンに軍配が上がるでしょう。でも、スマホには、大きな欠点、副作用があるのです。

9月25日の日経新聞夕刊に「中高年も脱ネット依存」という記事が載っていました。
・・・スマートフォンの使いすぎで日常生活に支障が出る例が、子どもや若者だけでなく中高年の間でも増えつつある。スマホ依存をやめたいと思っている人を支援するため、専門外来を設ける病院や講習を実施する企業も出てきた。プライベートに加え仕事でもスマホを使う機会が多くなりがちな中高年。医師は「深刻であれば専門の医療機関を受診してほしい」と呼びかけている・・・

・・・「仕事が手につかない」。神戸大病院(神戸市)を受診した40代の男性会社役員は職場でも仕事と関係のないことでスマホを操作し続けてしまい、次第に長期の経営計画を立案するのが難しくなっていった。部下から「人が変わったようだ」と言われ、ショックを受けて受診したという。
スマホへの依存で多いのは、自らの意思でネットやゲームの利用時間をコントロールできなくなる「ネット依存症」。そんな患者に対応しようと、同病院は18年5月にネット依存症を専門に扱う外来を新設。患者はこれまで子どもや若者が多かったが、19年から中高年の患者の受診が目立つようになった・・・

横に置いてあれば、ついつい見てしまいますよね。この記事にあるほど中毒にならなくても、仕事に差し障りがあったり、このホームページで取り上げているように周囲への気配りができなくなるのです。
このスマホの弊害が怖いのです。「君は間違っていない、しかし

安倍総理 トランプ大統領 国連演説要旨

2019年9月26日   岡本全勝

9月26日の読売新聞が、1面を使って、安倍総理とトランプ大統領の国連演説要旨を載せていました。
ほかの新聞は確認していないのですが、これまであまり目にしたことはありません。

もちろん、このご時世ですから、インターネットで調べれば、原文を読むことができるのでしょうが。
広く国民に、国連でわが国の首相がどのようなことを発言しているかを知ってもらうことは、重要だと思います。さらに、トランプ大統領だけでなく、主要国の元首がどのようなことを話しているか。
これまでの日本のマスコミは、国際情勢に疎かったです。日本語という障壁に守られて、内弁慶でした。
「国連によって、世界が変わるか」と言われれば、それまでですが。世界では何が課題になっていて、首脳たちは何を議論しているか。それを知ることは、重要だと思います。芸能界のゴシップを追っているよりは、価値があると思います。

池上 俊一 著『情熱でたどるスペイン史』

2019年9月26日   岡本全勝

池上 俊一 著『情熱でたどるスペイン史』 (2019年、岩波ジュニア新書) を読みました。
私は、ローマ帝国の属領、イスラム支配、レコンキスタ、植民地帝国、フランコ独裁などの知識しかなく、スペインの通史を読んだことがなかったので、とても勉強になりました。お勧めです。
「ジュニア」と銘打っているので、中高生向けと思いますが、大人が読んでも十分に役に立ちます。というか、中高生には少々難しいかもしれません。

先生の著書「××でたどる○○史」には、このほかにフランス、イタリア、ドイツ、イギリスがあり、これで5か国目です。
イタリアがパスタ、フランスがお菓子、イギリスが王様、ドイツが森と山と川です。この切り口は、それぞれに「なるほどなあ」と思います。もちろん、一つの切り口でその国の歴史、文化、社会を紹介することはできませんが。わかりやすいです。
では、日本を紹介するとしたら、何を切り口にしますかね。天皇、和食、仏教と神道、島国・・・。

参考『ドイツの自然がつくったドイツ人』『パスタでたどるイタリア史