カテゴリーアーカイブ:社会の見方

1990年代、地方からの国政改革

2020年7月14日   岡本全勝

7月8日の朝日新聞夕刊「代の栞」は「「鄙の論理」1991年刊、細川護熙・岩國哲人 もの申す知事」でした。
細川護熙・熊本県知事は・・・《国民生活に密着していない中央官庁が、現実に即応していない法律を盾にとって、立ちはだかるから、あちこちに矛盾が出てくる》。1991年の『鄙(ひな)の論理』で中央集権や官僚制度、東京一極集中の弊害を指摘し、「地方から反乱を起こそう」と呼びかけた。
刊行後に知事を退任。臨時行政改革推進審議会(第3次行革審)部会長として地方分権策を提言したが、壁は厚かった。「朝から晩まで議論し苦心して答申したが、無視された。いよいよ官僚主導の縦割り行政に腹が立ち、それなら新党を、となったのです」

翌92年に日本新党を立ち上げ、参院選比例区で自身や小池百合子氏(現都知事)ら4人が議席を得た。日本新党ブームが起き、93年の衆院選では、くら替えした自身や小池氏に加え、野田佳彦氏や枝野幸男氏ら計35人が当選。選挙後、非自民・非共産8党派による連立政権ができ、首相に選ばれた。公選知事経験者として初めての首相だった・・・

・・・ 地方政治が国政に与える影響に詳しい砂原庸介・神戸大教授は、コロナ対応で「選挙や党派的な事情から強く発信した例があったが、総じて知事たちが大きく変わったようには思えない」と語り、知事が目立つのは国会議員や国政政党が弱くなったからだと指摘する。「個々の議員が盛んに口先介入や発信をするわけでもない。議員や党をバックアップするブレーンや専門家が手薄で、霞が関頼みになり、発信する材料すらないように見える」

危機対応時は行政の長に期待が集まりやすい、という中北浩爾・一橋大教授(現代日本政治論)は「政権がうまく対応できなかった分、首相ではなく、地方行政の長である知事が注目された」と考える。
再び感染が拡大すれば、政治はより不安定になると予測する。「既存政党は、支持組織の動きが鈍り、弱くなる。ポスト安倍も見えず、真空状態が続けば、ポピュリズムが台頭する余地ができ、何が起きるかわからなくなる」
コロナ時代ゆえの「雲の切れ間」ができたとき、知事たちは何を発信するのだろう・・・

学校へのスマートフォンや携帯電話の持ち込み

2020年7月11日   岡本全勝

7月9日の読売新聞解説欄は、「中学校にスマホ 現場の課題」を取り上げていました。
・・・文部科学省は、中学生がスマートフォンや携帯電話を学校に持ち込むことを容認する素案をまとめた。登下校中、災害や犯罪に巻き込まれた時の緊急連絡手段とする想定だが、携行時間が長くなることによる問題点も指摘されている。学校現場はどう対応していくべきか、3人の識者に聞いた・・・

悩ましいですね。多くのご父兄が、悩んでおられるのではないでしょうか。
便利だけれど、危険も一杯。しかし、禁止しても、子どもの多くは既にスマホを持っています。そして、パソコンやインターネットを使いこなす必要もあります。
お酒や麻薬は禁止すれば良いのですが、スマホはいずれ使うことになるでしょう。危険であることを教える教育も必要です。火や包丁と同じです。
すると、年齢や発達状況に応じて、使い方を教えることが重要でしょう。小学校低学年なら、まずは携帯電話だけで、親などに連絡が取れるように。そして、徐々に電子メールやインターネットの使い方と、危険性を教えるのでしょうね。

過去の記事
子どもへのスマホの使い方教育」「小中学校でのスマホ禁止」「スマホの副作用

「梅棹忠夫の日本の宗教」2

2020年7月11日   岡本全勝

梅棹忠夫の日本の宗教」の続きです。その本では、次のような項目が予定されていました。
神社、氏神、祭り、伊勢参り、ハレとケ、地鎮祭と竣工式
仏教、寺院建築、庭園、僧侶、縁起、因果応報、神仏習合、廃仏毀釈、禅、精進料理、巡礼
巫女、恐山、霊験、寄進、修験道
道教、たたり、まじない、大安仏滅、七福神
葬式、墓参り、冠婚葬祭などなど。
その幅広さに納得します。文化人類学の本領発揮です。でも、なぜ先生のような視点からの議論や研究が、広がらなかったのでしょうか。

また、日本人が複数の宗教を信じることについて、それが混じり合っているのではなく、「神々の分業」であると指摘されます。これは、私たちの感覚に合いますよね。お正月は神道、結婚式はキリスト教、葬式は仏教、神頼みは神道と、目的によって宗教を使い分けているのです。
私は、このような宗教の利用は、生き方の指針や悩んだときの相談として、宗教が機能していないことです。神々の分業は、物を買うように、その時々の目的に合った神を買うのですが、心の拠り所としての神ではないのです。それは、死を迎えたときに明らかになります。

ここは、連載「公共を創る」でいずれ触れなければならないので、しばらく温め続けます。返す返すも、梅棹先生の本が出版されなかったことが残念です。

「梅棹忠夫の日本の宗教」

2020年7月9日   岡本全勝

梅棹忠夫著・中牧弘允編著『梅棹忠夫の日本の宗教』(2020年、淡交社)を読みました。梅棹先生が亡くなられてから、10年が経ちます。この本は、少々複雑な方法で、できたようです。出版社の紹介には、次のようにあります。
・・・淡交社が昭和44年より刊行した「世界の宗教」シリーズの掉尾12巻は、梅棹忠夫著「日本人の宗教」を予定するも、刊行が叶いませんでした。本書では、梅棹資料室に残されている、執筆のメモ書きに相当する「こざね」約350手掛かりに、氏がどういう話を展開しようとしていたのか、中牧弘允氏が推理しました。本稿を中心に、日本宗教に関する梅棹氏の論考・対談を集めて、幻の「世界の宗教」第12巻「日本人の宗教」を、生誕100年(没後10年)を機に刊行します・・・

中牧先生のおかげで、梅棹先生がどのような視点で、どのような項目を立てておられたかが再現されています。それを見ると、梅棹先生らしい視野の広い研究で、本にならなかったことがとても残念です。
私は、これまでの思想や宗教論が、知識人、提供者側の議論であって、受け手である庶民の視点が抜けていることに不満を持っています。「日本の思想史」「エリート文化と民衆文化
梅棹先生は、「メーカーの論理とユーザーの論理」と指摘されます。そして、ユーザーの立場から、日本の宗教状況を議論する予定だったようです。「宗教状況」という言葉が、ユーザーからの議論になっています。私の言いたいのは、まさにこれです。
この項続く

インターネット上の誹謗中傷

2020年7月4日   岡本全勝

インターネット上での誹謗中傷をどのように防ぐか、大きな課題になっています。匿名での無責任で、度を超した書き込みです。7月1日の朝日新聞「SNSが牙をむく時」と、読売新聞「ネット中傷 開示制度見直し」が専門家の意見を載せていました。

私は、このホームページでも書いているように、匿名が人を大胆にかつ無責任にすると考えています。実名では言えないことを、匿名で発言するのは、卑怯です。
両新聞に載った意見を読んでいると、匿名を守る意見は、言論の自由を守るべき、権力者への批判が萎縮するとの理由のようです。

とするなら、政治的意見や、権力者や著名人への意見は匿名を許すとして、その他の一般人への中傷的書き込みは実名を明らかにできる仕組みにすれば良いと思います。
その判断は、独立した機関が行えばよいでしょう。子どものいじめなど、許されない中傷を防止する機能を果たすと思います。