カテゴリーアーカイブ:社会の見方

山田昌弘・中央大学教授

2021年11月8日   岡本全勝

日経新聞夕刊「人間発見」、11月1日からは、山田昌弘・中央大学教授の「家族で社会読み解く」です。
・・・家族社会学者(中央大学教授)の山田昌弘さんは、愛情やお金を切り口に、親子、夫婦など家族の人間関係を社会学の手法で読み解いてきた。人が気が付いていない現象を見つけ、社会に問題提起をする。その中から「パラサイト・シングル」「婚活」「希望格差社会」などの流行語が生まれた・・・

平成の日本社会の変化や問題を、切れ味良い分析と、流行語になるような命名で、説明してこられました。私もそれに触発され、勉強して、連載「公共を創る」などに活用させてもらっています。

欧米の社会学の輸入でなく、日本社会を独自に分析する研究です。これは、すばらしいことだと思います。すると、諸外国にはこのような現象はないのか、先生の提唱するような分析は適用できないのでしょうか。

若者の社会参加

2021年11月6日   岡本全勝

10月31日の朝日新聞「みんなが一票 衆院選」、両角達平さんの「若者が社会を変える存在に」から。

・・・私が研究するスウェーデンは、若い世代の6~7割が「若者団体」で活動しています。趣味のサークル、居場所づくり、移民支援など各自がやりたいことに取り組み、社会環境の改善が必要とあれば公的機関に求めます。「社会に影響を与えられる」との感覚が生まれ、若者が社会を良くする存在になっていく。

日本はどうでしょう。若者は18歳や22歳の節目に向けて学業や部活、アルバイト、就職活動に忙しい。社会にもの申す時間もなければ、そもそもそれが聞き入れてもらえる社会だという感覚もありません。

多様な生き方を支える若者政策の存在が社会参加を生み出し、スウェーデンの民主主義を支えている。国政選挙の投票率は80歳以上を除く全年代で80%超。高い投票率はこうした社会だからこそ実現している。これが本来目指すべき姿だと思います・・・

集団主義だと言われた日本が、実は個人主義になっています。そして、社会参加の場面が少なく、個人が孤立するとともに、公共が弱くなていることを、連載「公共を創る」で論じています。若者だけでなく、どのようにして国民の社会参加の機会や場を作るか。日本の大きな課題です。

歩きスマホの危険

2021年11月4日   岡本全勝

道路や駅など公共の場で、歩きスマホはやめて欲しいです。私も、何度かぶつかりそうになりました。NHKが、大変な事故の例を紹介して、注意を喚起しています。

危険なのは自分だけではなかった」(11月2日掲載)
・・・「額にはプレートが埋め込まれています。大変な手術でした」
まぶたが紫色に腫れ上がった、痛々しい写真。全治1年以上の大けがで、今も仕事に支障をきたすほどだといいます。
この男性、誰かに襲われたわけでも、けんかしたわけでもありません。
原因は「歩きスマホ」でした・・・

死亡事故も起きています。
踏切で“待っていた”だけなのに…死亡事故はなぜ起きたのか」(9月8日掲載)
・・・事故が起きたのは、ことしの7月8日。
警視庁によると、亡くなった31歳の女性は駅の改札を出た後、踏切を渡ろうとした際にはねられたとみられています。
その時の様子が、現場周辺の防犯カメラに写っていたということです。
女性は午後7時半ごろに踏切を渡り始めました。この時、両手でスマートフォンを持ち、歩きながら画面を見ている様子だったといいます。
すると遮断機が下り始め、まわりの人たちは足早に踏切の外へ。
しかし、女性に急ぐ様子は見られませんでした。それどころか、下りた遮断機の手前で立ち止まったというのです。
そして数十秒後、左から来た列車にはねられ、亡くなりました。
警視庁が防犯カメラの映像を解析した結果、女性の顔は最後までスマホに向けられていたということです・・・

労働組合の役割

2021年11月4日   岡本全勝

10月25日の朝日新聞オピニオン欄「記者解説」、沢路毅彦・編集委員の「連合、新体制の課題 働き手多様化、目配りした運動を」から。

・・・連合は政策決定プロセスに深く組み込まれている。労働政策には、政府、労働者代表、経営者代表の「三者構成」で決めるという原則がある。労働政策審議会や最低賃金を決める審議会の労働者代表は、連合が推薦する委員が独占している。財政制度等審議会、法制審議会、産業構造審議会などにも労働者の代表として参加する。
連合に期待されているのは、非正規労働者を含めて働く人全体の利益を政策に反映させることだ。ところが、近年は政権との間合いの取り方に苦労している。
安倍・菅両政権下で連合の存在感は低下した。官邸の会議が多くの重要政策を決め、その大半で連合は外された。連合も参加したとはいえ、「働き方改革」も官邸主導。最低賃金引き上げも官邸の意向を反映した結果だ。
今の野党が政権をとれば問題が解決するわけでもない。かつて民主党政権実現に連合は力を発揮した。ところが、その政策が連合の主張とちぐはぐなことがあった。事業仕分けでは企業倒産時の「未払賃金立替払制度」の廃止が検討された・・・

・・・何より新体制に求められるのは、企業現場の変化に対応しながら、緊張感ある労使関係を作る取り組みだ。
働き方改革でテーマになった長時間労働の是正や、正社員と非正社員の格差を是正する「同一労働同一賃金」について政権が強く介入したのは、現場で労組が本来の役割を十分に果たしていなかったからだ。危機感は連合の今後2年間の運動方針に表れている。うたわれているのは「多様な働き手を含めた集団的労使関係」の強化だ・・・

地方の物産を世界に売り込む

2021年11月3日   岡本全勝

奥山雅之ほか著『グローカルビジネスのすすめ 地域の宝を世界80億人に届ける』(2021年、紫洲書院)を紹介します。概要は、アマゾンでの紹介、特に読者の書評(レビュー)をお読みいただくとして。

「海外に産品を売る」と聞くと、大企業が行っている商売と思いがちです。この本は、地方の物産、農産物や中小企業の製品を海外に売り込むことを書いた本です。
諸外国では地方の物産を海外に輸出しているのに、日本では国内市場が大きかったので、やってこなかったと指摘されています。
そうですね。明治時代からの戦前、そして戦後は、日本の産品を海外に輸出して儲けようという意識が国全体にあったようです。国内市場が大きくなかったからです。経済成長に成功する過程で、大企業や商社が輸出する構造が確立しました。他方で、地方の農産物や中小企業は国内市場で満足したようです。
「和僑会」、華僑の日本人版を作ろうという提言には、なるほどと思います。
インターネットや物流が発展して、海外から物を買うことも簡単になりました。ならば、日本各地の小さな企業も、海外に売り込むことは容易です。

近年の日本経済の停滞は、かつて以上に経済の国際化が進んでいるのに、日本がそれに乗り遅れていることが、一因です。経済成長に成功し、満足してしまったのです。日本人の留学生が減少していることも、「内向き」になったことを表しています。日本は、大学院教育と医学教育を、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語など国際的な主要言語でなく、自国語でできる数少ない国です。それは喜ばしいことですが、外国に「他流試合」に行かない内弁慶をつくっているようです。
文化や政治の分野でも、国際社会で存在感を示せていません。日本の行政と官僚も、その一つでしょう。