カテゴリーアーカイブ:社会の見方

自転車ヘルメットの着用率

2023年12月9日   岡本全勝

12月6日の朝日新聞夕刊1面に「悲劇ゼロへ、誓いのヘルメット 着用率1位の愛媛、背景に高校生の死」が載っていました。
・・・自転車ヘルメット着用が4月に努力義務化されたことを受けた警察庁の全国調査で、愛媛県が着用率59・9%で1位になった。全国平均の13・5%と比べて圧倒的に高い。その背景には、高校生が命を落とした9年前の自転車事故があった・・・

詳しくは記事を読んでいただくとして、県別の着用率が表で載っています。
高い方は、愛媛60%(小数点以下を四捨五入します)、大分46%、群馬44%、鳥取31%。
低い方は、新潟2%、青森3%、秋田4%、大阪4%です。
こんなにも違うのですね。県民性でしょうか。この記事で取り上げられているようなもののほかにも、原因があるのでしょうか。

異常気象で野菜が全滅

2023年12月8日   岡本全勝

作った野菜を定期的に送ってくれる知人がいます。無農薬でおいしくて、ありがたいです。ところが、今年は秋になっても音沙汰がありません。あの異常な暑さで、野菜がやられたのか、知人が倒れたのかと心配していました。でも、「野菜が届きませんが、どうしたのですか」と問い合わせるわけにもいかず。

先日、電子メールが届きました。概略次の通りです。
「夏の酷暑が9月の種まき時期にも衰えず、定植した苗や発芽した苗が焼け付いたり、うまく育ったものも10月上旬に虫害に襲われて、ダイコンとカブは全滅してしまいました。10月中旬に種のまき直しをしたのですが、生育が悪く絶望的です。
何とか生き残っていたハクサイも防虫ネットの中に虫が入り食い荒らされて、今年の秋冬の野菜はほぼ生産中止となってしまいました。8月下旬から炎天下で農作業をしたのに・・・」

農家にとっても、厳しい気候なのですね。この方は専業農家ではないので、生計には大きな影響はないと思いますが。来年に期待しましょう。厚かましいですが。

キッシンジャー氏死亡

2023年12月4日   岡本全勝

キッシンジャー氏が亡くなりました。100歳だったそうです。夏には中国を訪問しておられました。最後まで元気だったのですね。

アメリカと中国との国交正常化の時、私は高校生でした。自由主義陣営と共産主義陣営が対立するという国際構造を教えられていた、そしてそれが強固なものと思われていたときに、米中が手を握るとは、驚天動地でした。後から考えると、それが成り立つ国際条件はできていたのです。でも、誰もそんなことを考えず、企画しませんでした。構想力の強さを考えます。

20世紀後半の歴史を変えた、それも誰も予想をしないことをやってのけたのは、キッシンジャー氏とゴルバチョフ氏でしょう。戦争なしで成し遂げたのです。
キッシンジャー氏はその後も影響力を保ったのに対し、ゴルバチョフ氏は政権を追われその後は不遇でした。
ゴルバチョフ氏の場合は、共産主義を変えるという構想は実現したのですが、現実はそれを追い越してソ連や共産主義国家の崩壊まで進んでしまいました。今となっては、「必然」とも見えますが。彼が自由化を進めなければ、そして東欧諸国の自由化を阻止したら、大きな被害を生んでいたでしょう。
もっとも、キッシンジャー氏の作った「共存」する世界は、レーガン大統領がソ連を解体に追い込むという「力でねじ伏せる」政策で、終わったようです。

キッシンジャー氏の『外交』 (1996年、日本経済新聞出版)も勉強になりました。これも、古くなりました。世界情勢は驚くほど早く変化しています。

ご苦労さま、坪井記者

2023年12月1日   岡本全勝

朝日新聞夕刊、題字下の「素粒子」、5年8か月書いてこられた坪井ゆづる記者が、11月30日で引退されるとのことです。
30日の素粒子の最後に、次の文章がありました。
「これにて「×  ×印」は書き納め。5年8カ月、あまたのおしかりに深謝します。」

かつては、地方分権の論陣を張ってくださいました。素粒子は、私と意見が異なることもありましたが、短い文章で社会を切り取る術は、素晴らしいものがありました。
字数の決まっている各行の頭の文字をつなげると意図が読める文章(在原業平のカキツバタの歌と同じ)は、頭をひねられたでしょうね。
ご苦労さまでした。

生物学的なヒトの寿命は55歳

2023年11月29日   岡本全勝

11月12日の読売新聞「あすへの考」、小林武彦・東大定量生命科学研究所教授の「老いて病む 人間の進化」から。哺乳類の総心拍数が種が異なっても同じという説は、「象の時間、鼠の時間」として何度か紹介しました。

・・・哺乳類の心臓は、総心拍数が20億回ぐらいに達すると終わりになるという仮説があります。60年生きるゾウも、2年しか生きないネズミも、トータルで約20億回は同じ。だからゾウの心臓はゆっくり2秒に1回ぐらい拍動するのに対し、ネズミの心臓は「トトトトトッ」と1秒間に10回ぐらいものすごい速さで打つ。
人間の総心拍数が20億回に達するのは、大体50歳前後です。また、がんで亡くなる人が55歳あたりから増えることや、女性の閉経年齢が50歳前後であることを踏まえ、私は生物学的なヒトの寿命は55歳ぐらいではないかとみています。

とはいえ、ヒトは最大で120歳ぐらいまで生きますよね。これは進化の過程で老いた個体、あるいは老いたヒトがいる集団の方が生存に有利に働き、選択されて長生きできるようになったためと考えられます。
もっとも、寿命にも限界はあります。世界中で115歳を過ぎた人は非常に少ない。どれだけ健康で体が丈夫でも越えられない壁がある。今なら120歳前後です・・・

・・・そもそも寿命がある、つまり「死」があるってことは、生物の進化に必要なんです。生物学的に考えると死があるから進化できた。古い世代が死に、新しい世代が生まれ、環境に適応するよう進化していくことで生物全体の生命が連続していく。ちょっと逆説的に聞こえるかもしれませんが、死ぬものだけが進化できて、今、存在しているのです。
進化は「変化」と「選択」から成り、変化は多様性であり、選択は、たまたまその環境で生きることができたものだけが生きてほかは死ぬということです。そこには意図も目的もない。キリンの首が長いのは、上のものを食べようと必死に努力したからではありません。変化により、たまたま首の長いのが誕生して、たまたまいい場所に葉っぱがあって、選択により、たまたま首の長いのが生き残った。生物学ではそう考えます・・・