キッシンジャー氏死亡

キッシンジャー氏が亡くなりました。100歳だったそうです。夏には中国を訪問しておられました。最後まで元気だったのですね。

アメリカと中国との国交正常化の時、私は高校生でした。自由主義陣営と共産主義陣営が対立するという国際構造を教えられていた、そしてそれが強固なものと思われていたときに、米中が手を握るとは、驚天動地でした。後から考えると、それが成り立つ国際条件はできていたのです。でも、誰もそんなことを考えず、企画しませんでした。構想力の強さを考えます。

20世紀後半の歴史を変えた、それも誰も予想をしないことをやってのけたのは、キッシンジャー氏とゴルバチョフ氏でしょう。戦争なしで成し遂げたのです。
キッシンジャー氏はその後も影響力を保ったのに対し、ゴルバチョフ氏は政権を追われその後は不遇でした。
ゴルバチョフ氏の場合は、共産主義を変えるという構想は実現したのですが、現実はそれを追い越してソ連や共産主義国家の崩壊まで進んでしまいました。今となっては、「必然」とも見えますが。彼が自由化を進めなければ、そして東欧諸国の自由化を阻止したら、大きな被害を生んでいたでしょう。
もっとも、キッシンジャー氏の作った「共存」する世界は、レーガン大統領がソ連を解体に追い込むという「力でねじ伏せる」政策で、終わったようです。

キッシンジャー氏の『外交』 (1996年、日本経済新聞出版)も勉強になりました。これも、古くなりました。世界情勢は驚くほど早く変化しています。