カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

組織の能力。職員の数と質、組織の編成

ずーっと考えていることに、「組織の能力は、何で決まるか」があります。それは、「組織の能力を向上させるには、どうしたらよいか」でもあります。
会社や官庁が良い成果を出すためには、責任者は「業務の管理」と「組織の管理」をしなければなりません。良い成果を出すために、「いつまでに、どのような成果を出すか。そのために何をするか」と、業務を管理する必要があります。しかし、それを支える組織がきちんと動かないと、成果は出ません。上司が指示を出しても、「笛吹けど踊らず」です。組織を管理する、すなわち組織を作り、その質を向上させる必要があるのです。
まずは、人数が必要です。仕事量に応じた職員数がないと、仕事はこなせません。
次に、その職員集団をどのように編成するかという、分割・編成論があります。製品や政策ごとに分けるのか、地域ごとに分けるのか。全体を、どのような「分野別」小集団に分けるかです。そのような分野別(縦割り、方面軍)とは別に、本社(参謀系、官房系)の組織があります。人事、会計、企画などです。これらは、縦割り小集団を側面から助け、統一を取る、横串になります。そして、この縦割りと横串を、どう組み合わせるかです。これらをうまく分別し、組み合わせないと、組織全体は能率良く動きません。
その次に、職員の質があります。能力のある職員とそうでない職員。また、その仕事に向いている職員と向いていない職員がいます。さらに、やる気(モラール)の差があります。能力があっても、腐っている職員では、良い結果が出ません。それぞれのポストにふさわしい人を配置する人事配置も、重要です。ここまでは、職員とその質の問題です。
この項、続く。

夜の残業から早朝勤務への転換、3

昨日、朝早く出勤すると、仕事がはかどると書きました。それは、電話が鳴らない、職員が「攻めて」こないからです。もう一つ、もっと重要な要素を、書き忘れていました。
朝は、気力と体力が充実していて、能率が良いのです。それに比べ、夕方5時頃だと、もうヘトヘトになっていて、「中央演算装置」(脳みそ)の処理能力が低下します。

夜の残業から早朝勤務への転換、2

昨年夏に、「伊藤忠商事が、社員の労働時間を朝方にシフトさせ、残業を減らすための賃金制度を導入する。時間外手当の割増率を、夕方以降の残業より、早朝勤務の方が高くなるように見なおす」ことを紹介しました(2013年8月2日)。2月4日の日経新聞キャリアアップ欄に、その後の実績が載っていました。
昨年10月から実施され、夕方以降の残業より、午前5時~8時台に時間外手当の割増率を高く設定しました。対象は、役員と海外社員を除く、2600人の正社員です。導入から4か月が経ち、東京と大阪の本社では、約3割の社員が午前8時までに出社し、前年同月比で約2倍に増えました。他方、一人当たり月平均37時間だった残業時間は、4時間半減ったそうです。
記事では、別の会社で、朝6時半過ぎから働く社員や、7時から働く社員の例が取り上げられています。早朝は、電話がかかってこず、職員から声をかけられて仕事を中断されないので、集中するにはもってこいです。その人の経験では、残業では3時間かかった仕事が、朝なら1時間半で片付くのだそうです。
霞ヶ関の多くの職員は、9:30~18:15が勤務時間です。私は、8:30~17:15にしています。職員が出勤し始める9時までが、仕事がはかどります。もっとも、17:15に退社できることは、まずありません。もう一つ、仕事がはかどるのは、休日です。しかしこれは、残業削減の趣旨に沿っていません(反省)。

国会が始まりました

今週もあっという間に終わって、今日は金曜日です。26日月曜日から国会が始まったので、霞が関の多くの部署は、国会対応時期に入りました。今風にいえば、「国会モード」です。幹部は、質問が出るのを待って、答弁作り。そして、早朝の大臣へのご説明。若手職員は、国会質問が出そろうまで、職場で待機。関係部署は答弁案ができるまで、残業です。大臣が朝から夕方まで国会に出席しておられるので、その間は現地視察どころか、私たちからの説明もできません。事前に審議日程が決まらないことも、予定を立てられないので、困ります。
もちろん、その間に、国会提出法案の準備があり、通常業務もあります。しかし、人間に与えられているのは1日に24時間です。国会中心の仕事になると、他の仕事の優先順位が後回しになります。答弁案に、完成時刻が28時とか書いてあると、「う~ん、この担当職員に、今日新しい仕事を与えるのは、あかんなあ」と考えてしまいます。国会での審議に答えるのは、民主主主義の基本です。しかし、公務員の仕事や待機を、もう少し効率化できないかは、大きな課題です。

施策と成果の全体像をバランスよく示す

今日、官邸で復興推進会議(全閣僚等の会議)を開きました。今回のテーマは、この1年間の取り組みとその成果、もう一つは、平成26年度の取り組み方針です。
ところで、成果と課題や施策体系を、わかりやすく示すことは、意外と難しいのです。
閣僚、各省、関係自治体、被災者、マスコミ、支援してくださる多くの関係者に、どこまで進んだか、何が課題かを理解してもらうのは重要です。また、その課題にどのように取り組むかという政策体系を示すことも、重要です。
そして、個別ばらばらでなく、全体像を示すことも重要です。バランス良くかつ簡潔に整理するのは、結構難しいのです。官僚は、自らが担当している部門については、詳しい資料を作ります。でもそれは、自らの関心分野だけなので、各省や各部局から出てきた資料を、ホッチキスするだけでは全体像を示すことはできません。それぞれの仕事は重要なのですが、それを羅列しただけでは、各事業の位置づけや重みがわかりません。体系図が必要であり、重要度に応じた分量配分、統一された様式が必要です。司令塔の役割です。
また、官僚は、自分たちがやったことを書きます。何をやったかは重要ですが、施策(予算や通達)は霞が関ではアウトプットですが、現地ではインプットです。それによって、どれだけ進んだかを示す必要があるのです。「取り組みと成果」という表題には、そのような意味があります。そして、しばしば都合の悪いことを書きません。でも、都合の悪いことを隠していては、問題が片付きません。どこまで進んでいないか、何が課題かも、重要な指標です。
良くできた資料かどうか。それを簡単に判定するには、記者さんに聞くのが一番です。彼らにわかってもらえれば、まずは合格です。