お詫びだけでない、失敗したときの対処

部下や組織が失敗した場合の、お詫びの仕方は「仕事の仕方」に書いたとおりです。しかし、責任者は、お詫びの前後に、次のようなことを行う必要があります。
1 事実の確定
これは、ひとまず、詳細まで確定する必要はありません。おおむねの事実が判明したら、公表やお詫びなどの行為を行う必要があるためです。遅れると、批判を招きます。
2 関係者へのお詫びと、公表
傷つけた相手方や損害を与えた相手方へのお詫び、必要な場合は損害賠償を行います。 また、社会的問題なら、記者会見などで事実を公表し、お詫びする必要があります。
3 関係者の処分
事実関係を明らかにして、失敗をした行為者やその責任者を、処分する必要があります。
4 再発防止策
事実関係が明らかになったら、今後同じことが起こらないように、再発防止策をとる必要があります。これも、関係者や社会は、関心を持って見守っています。
お詫びだけでは、処理は終わりません。それより重要なのは、けじめをつけ、再発を防止することです。
ところで、私の属する官庁では、部内各組織の権限と責任が文書によって明確に定められています。よって、上記3の「関係者の処分」の範囲(責任の所在)は、比較的簡単です。「量刑」は難しいです。
これに対して、記事についての責任は、どのようになっているのでしょうか。門外漢ですみません。今回の朝日新聞の例では、編集担当取締役の職を解き、社長は改革の道筋を付けた上で進退を決めるとのことです。記事を書いた記者や、それを載せると判断した上司の責任はどうなるのでしょうか。記事の責任がどのようになっているのか、今回の事件の処分で見えてくると思います。それはまた、今後の再発防止策にもつながります。
もちろん、他者の評論をするだけでなく、私たち官庁や官僚も、自らの行為の評価と反省を、常に注意しておく必要があります。その際に難しいのは、やったことの失敗とともに、やらなかったことの失敗(不作為の責任)です。行政には、その責任があります。