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行政-災害復興

岩手県被災地視察、その2

今回の視察は、新しくできた追悼記念施設も見てきました。

陸前高田市には、国と県がつくった追悼記念施設が、先月できたばかりです。奇跡の一本松の近くにあります。それぞれのホームページをご覧ください。
高田松原津波復興祈念公園東日本大震災津波伝承館
祈念公園は、高さを抑え、海に向かって「祈りの軸」がある、なかなか良くできた意匠です。展示施設のほか、道の駅も併設されています。たくさんの人で賑わっていました。

釜石市では、鵜住居地区に市がつくった追悼記念施設ができています。
うのすまい・トモス
こちらも、祈りの場と展示施設と売店があります。鵜住居駅前なので、駅前広場とにぎわいの場を兼ねています。ラグビーワールドカップ試合場となった、鵜住居スタジアムの近くです。

宮古市では、災害遺構となった田老観光ホテルを見てきました。ガイド付きで、壊れた防潮堤とホテルを案内してもらえます。ホテルは2階までが津波にぶち抜かれて、鉄骨だけになっています。ホテル6階の元客室で、そこから撮影された津波の様子を見ることができます。毎日、たくさんの観光客が勉強に来ています。

津波被災地では、インフラや住宅の復旧が進み、被害の痕がわからなくなっています。このような施設を巡ってもらうと、あの怖さを知ってもらうことができます。
広島の原爆ドームと同様に、学生の教育旅行や観光の場所になるとよいですね。皆さんも、機会があれば行ってください。

岩手県被災地視察

9月30日、10月1日とかけて、岩手県沿岸部の被災地を視察してきました。毎年この時期に、復興状況を確認するために行っています。(2018年

昨年反省したので、今年は三陸自動車道を使わず、国道で移動しました。自動車道を使うと早いのですが。山の中を直線で通っているので、沿岸部の集落を通らないのです。
市町村役場には早く到着するのですが、集落の状況がわかりません。山の中を通っているので、初めて訪れる人は「なぜここで津波災害が起きたのだ」と思うでしょう。

集落は沿岸部にあり、そこを国道がつないでいました。町中を過ぎると上り坂になり、峠を下りて、次の集落に入る。そのくり返しです。車は、上下と左右に揺れます。それに比べ、高速道路は揺れもなく、早いです。トンネルと橋が続きます。
車で通過する人や荷物には便利になったのでしょうが、交通量の減った集落は、寂しくなるでしょうね。

今回は、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市です。インフラの復旧は、防潮堤を除いて、ほぼ終わりました。山田町、大槌町、釜石市鵜住居など、町の中心部の復旧が遅れていた地区にも、住宅や商店が建ちつつあります。町の中で重機やダンプが動いている姿を見ません。
陸前高田市だけは、かさ上げ面積が大きかったこともあり、まだ町中に重機が動いていて、土がむき出しのところがあります。これも、あと1年半でほぼ片付く見込みです。
ただし、防潮堤の建設は、まだいろいろなか所で工事が続いています。それを除けば、津波の痕跡を探すのが難しくなりつつあります。
8年半の時間を感じ、よくここまで来たなあと、感慨にふけりました。

課題は、産業振興です。主力である水産業が、振るいません。魚が捕れないのです。サンマも、鮭も、ウニやアワビも。海水の水温上昇が、原因のようです。漁港も水産加工場も復旧したのですが、魚が揚がらないことには、仕事になりません。養殖に力を入れる漁協も増えています。

天気は快晴に恵まれました。昼は25度を超え暑いくらいですが、朝は15度を下回ります。東京とは違います。稲穂が黄金色に実った田んぼ、刈り取りが終わり「はざかけ」してある田んぼが広がっています。紅葉はまだですが。

浪江町での米作り

9月27日のNHKニュースウェッブが、「震災後に進出の農業法人が稲刈り」を伝えていました。
・・・おととし、原発事故による避難指示が一部で解除された浪江町で、地元の農家や、ことし、震災後初めて町に進出した農業法人による稲刈りが始まっています・・・

・・・浪江町では、原発事故による避難指示が一部で解除された後、徐々にコメの作付け面積が広がっていて、ことしは去年のおよそ3.5倍の27.23ヘクタールで栽培されています。
このうち、4分の1にあたる7.21ヘクタールで栽培されている、町北部の藤橋地区では、今週から稲刈りが始まっています。
この地区では、ことし、農業法人として震災後初めて町に進出した、仙台市に本社がある「舞台ファーム」がコメの生産を行っています・・・

地域のにぎわいを取り戻すために、産業再開が不可欠です。商工業については、福島相双復興推進機構が各事業者の相談に乗っています。
次の課題は、農業です。高齢化もあり、農家が戻らない、営農を再開しない場合も多いのです。そのために、ほかの農家に委託する、新しく入ってきてもらうことが必要です。
その際に、経営として成り立つためには、ある程度の規模が必要です。農地を借り上げて規模を大きくし、法人に営農してもらう方法も進めています。

在韓国日本大使館ホームページ、放射線量掲載

原発事故からの復旧について、諸外国からまだ正確な理解を得られていない面もあります。
日本の放射線量についての韓国国民の理解が深まるよう、福島市、いわき市、東京、ソウルの放射線量を、在韓国日本大使館のホームページに載せることになりました。休館日等を除く毎日更新するそうです。もちろん、韓国語でも載せます。

ちなみに9月25日では、福島市0.133、いわき市0.062、東京0.036、ソウル0.119です。単位はμSv/h。
客観的な数字を知ってもらうことが、重要です。