カテゴリーアーカイブ:社会の見方

雇用と賃金の開国

2013年5月9日   岡本全勝

朝日新聞4月29日連載「限界にっぽん、超国家企業と雇用」は「フラット化する賃金」でした。
中国大連にあるIT企業が、日本の大手システム開発会社からソフト作りを請け負っていることが、紹介されています。そして、大連のシステムエンジニアの賃金が日本国内の半額であること、それが日本のシステムエンジニアの賃金を引き下げたり失業に追い込んでいることが指摘されています。
国際化は、カネやモノが国境を越えるだけでなく、雇用も国境を越えます。すなわち、労働者が移動しなくても、仕事を海外に発注することで、雇用が海外に流れ出します。産業の空洞化の一面です。すると賃金が「国際化」して、より安い国に引きずられます。「賃金の開国」です。
福岡県内では日産自動車の工場に、日本と韓国の両方のナンバーを付けた大型トレーラーが、韓国から部品を運んできます。「九州日産」は日産本体から分離され、給料は別体系になっています。すると今後の給与水準は、横浜の日産本社とではなく、アジアの水準に引きずられます。
記事には、2001年と2011年の正社員の年齢別賃金がグラフで出ています。10年間で給与が下がっていること、55歳以上で急激に下がることが示されています。この給与が上がらないことが、これまでのデフレの主犯であり結果です。

ネクタイの消費量半減

2013年5月8日   岡本全勝

5月2日の毎日新聞に、「消える?ネクタイ」という記事が載っていました。
業界の調べでは、ネクタイの生産・輸入量は、1991年の5,600万本に対し、2011年は2,900万本です。半減です。うち国内生産は570万本で、1988年の4,700万本から8分の1に減っています。
私にとって、驚きの事実は次の通り。
・20年間で、消費量が半減したこと。成人男性の数は、そんなに減っていません。
・減った理由として、クールビズが挙げられています。でも、それだけでしょうか。もう一つの大きな理由は、贈答品が減ったことではないでしょうか。ネクタイは、自分で買うより、奥さんや恋人からもらうもの、取引先や飲み屋のママからもらうものが多かったのだと思います。
輸入先は、イタリアとフランスだと思っていたのですが。2011年では、中国が2,140万本、イタリアが165万本、フランスが108万本、韓国が137万本です。
・輸入に比べ、輸出はどうなっているのでしょうか。

起業生む社会、政府の役割

2013年5月1日   岡本全勝

また、古い話で、恐縮です。4月17日の朝日新聞オピニオン欄「起業は日本を救うのか」、猪子寿之・ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」代表の発言から。
・・政府が成長分野を決めて起業させていくなんて、絶対できない。未来の方向が大まかにわかったとしても、ビジネスとして成り立つかどうか誰にもわからないからね・・
これだけ経済のグローバル化が進むと、一国の小手先のテクニックのような金融政策が、効果を永続できるはずがない。閉塞した社会構造を変えるイノベーションこそが、経済を成長させる唯一の処方箋でしょう。しかしイノベーションは政府の音頭で生まれるものではないし、業界の中枢とは少し離れたところから創業した人たちが起こしている。
それでは政府に何ができるか。立派な成長戦略を描くより、何事にも挑戦できる寛容な社会をつくることです・・

海外に日本を売り込む

2013年4月28日   岡本全勝

観光庁が、海外から観光客を呼び込む事業「ビジット・ジャパン」を行っています。畏友の井出憲文観光庁長官から、「ビデオが良くできているから、宣伝せよ」との命を受けました。
確かに、今の日本を紹介する、良くできた「宣伝」(約6分)です。定番の京都のお寺や舞妓さんもちらっと出てきますが、主題は阿波踊りです。回転寿司も出てきます。これには納得。でも、私のような日本人が見てもダメで、外国の方に見てもらないと。
そのほかにも、いろいろ動画が載っています。(2013年4月27日)
と書きましたが、4月28日現在、霞が関(復興庁のパソコン)では、フィルタリングがかかって、見ることができません。「業務に関係ない遊びのページ」と判断されたのでしょうか。

企業の社会的責任

2013年4月22日   岡本全勝

東京財団の亀井善太郎研究員が、「CSR再論―いま、改めてCSRを問い直す」を書いておられます。なかなか興味深いです。
公共空間が、行政だけでなく、企業(市場経済)やボランティア(非営利活動)によって成り立っていることは、このホームページでも、何度も主張しています。また、復興の過程においても、それらが必要であることも取り上げています。例えば、「被災地で考える「町とは何か」~NPOなどと連携した地域経営へ~」(共同通信社のサイト「47ニュース」2012年8月31日)。
企業の社会への貢献は、大きく分けると「善意による支援」と「本業を通じた貢献」の2つになるのでしょう。しかし、多くの人には、前者の義援金、物資の提供、社員のボランティア派遣が、想起されるようです。後者の本業による貢献も、大きいのですが。そこで、復興庁で整理した「民間企業の支援活動の分類」では、最初に事業活動=本業による貢献を書いてあります。
少し範囲が広がりますが、アメリカの大学の教科書に『企業と社会』(邦訳、2012年、ミネルヴァ書房)があります。企業の社会的責任を、広い観点から整理してあります。私は、読みかけて途中で放棄してありますが(反省)。