カテゴリーアーカイブ:社会の見方

御厨先生、日本近代史学の批判

2016年11月5日   岡本全勝

御厨貴先生の『戦前史のダイナミズム』(2016年、左右社)は、放送大学教材を再録したものです。
冒頭の、近代日本史の論争についての説明と評価が、勉強になります。
・・・というのも、高度成長の果実が実り出した1960年代以来、学者の領域と小説家・ノンフィクション作家の領域とに、暗黙のうちに二分されていた歴史の世界の境界が、これら新規参入者たちの活動によって、曖昧になり、その再編の可能性が生じているからです。
一般読者に読まれることのない学者の著作と、学者が読まぬふりをする作家の物語というすみわけ。こんな不毛な事態が続いたのは、やはり学者の側の責任が大きい。知る人ぞ知る存在たるべしという権威主義と、学会内の世界がこの世のすべてと思い込む夜郎自大性とが相まって、一方で空虚な理論研究に、他方でマニアックな実証研究に自らを封じ込めていったからです・・・(p4~)
・・・学者の著作が読んで面白くないと評された60年代以来、学者はかえって専門の世界に閉じこもってしまった。そこでは近代史全体を見渡すことなく、小さな歴史事象一つひとつの「証明」に追われています。
時に空虚なイデオロギーと小さな事柄の「解釈」をドッキングさせての検証、まずはご苦労さま。時に歴史観まったくなきままの、事実の「証明」を終えて業績がまた一つ。しかも「証明」と「解釈」をきちんと読むためには、ルーペが必要とされるではないか・・・(p8~)
(2016年11月5日)

反グローバル化、経済による説明、2

2016年11月3日   岡本全勝

白石隆・政策研究大学院大学長の「反グローバル、経済低迷で欧米内向き」の続きです。他方でアジアの数字は、次のようになっています。
1995年の1人あたりGDPを100とすると、2005年は、
中国223、ベトナム174、韓国154、シンガポール138、マレーシア、フィリピン、タイ120台、アジア経済危機で大打撃を受けたインドネシアでも115です。
2005年を100として2015年までの伸びを見ると、
中国236、ベトナム163、インドネシア152、フィリピン141、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ130台です。
・・・つまり、東アジアの国々では1995~2005年の10年間より、2005年~2015年の10年間の方が1人あたりGDPが伸びた。アジアで反グローバル化の動きがほとんど見られないのもうなづける・・・
詳しくは原文をお読みください。(2016年11月3日)

反グローバル化、経済による説明

2016年11月2日   岡本全勝

10月30日読売新聞「地球を読む」は、白石隆・政策研究大学院大学長の「反グローバル、経済低迷で欧米内向き」でした。
欧米で反グローバル化の動きが強いのに対し、アジアではほとんど見られないことに関して。
・・・これを考える上で参考になるのは、各国の経済成長の動向だ。1995年の各国通貨建て実質の1人あたり国内総生産(GDP)を100として試算すると、10年後の2005年には英国とスペインは130に伸びた。米国とオランダは120台半ばで、フランス、イタリア、ドイツは110台半ばだった。
日本の伸びは先進国中で最低の109だった。かつて、「我々は日本とは違う」と言わんばかりに欧米で「日本病」が語られていた背景には、欧米諸国の所得の顕著な伸びと日本のもたつきがあったと言える。
しかし、これは次の10年間に様変わりした。2005年の1人あたりGDPを100とすると、2015年には米国とオランダは106、英国が105、フランスは103、スペインとイタリアは100以下にとどまり、ドイツだけが突出して良い116だった。ちなみに日本は106。何のことはない。欧米の多くの国々も、日本と同じかそれ以下の伸びだったである。
ただ、近年の国民所得の伸びを比較する場合、日本と欧米で一つの重要な違いがある。日本の1人あたりGDPは1990年初頭からすでに20年以上にわたって伸び悩み、多くの日本人が生活水準の急速な向上を期待しにくい状況が続く。
一方、欧米では冷戦終結から世界金融危機まで好景気が続き、所得も伸びた。このため、欧米の人々は、自分たちの生活はこれからも良くなると思っていたが、その期待が裏切られた・・・
この項続く。(2016年11月2日)

競争優位? スイスの海運会社

2016年11月1日   岡本全勝

日本の海運大手3社が、コンテナ船事業を統合すると報道されています。世界ランキングでは、日本郵船が11位、商船三井が14位、川崎汽船が16位です。統合しても、世界第6位だそうです。
ところで、世界1位はデンマークの会社ですが、第2位はスイスの会社とのこと。海のない山国のスイスに、本社を置いているということですか。へえ~ですね。(2016年11月1日)

鎌田先生の力作、2

2016年10月29日   岡本全勝

本の帯には、ゴーギャンの名画「我々はどこから来たのか。我々は何者なのか。我々はどこへ行くのか」が、3巻に分けて、カラーで印刷されています。それが、この3冊の内容を表しています。 心憎いですね。
なお、先生からは、「お忙しい方は、下巻の「長めのあとがき」から読み始めると良いかと思います。私が読書法で推奨している方法ですが、先に「あとがき」を読んで、概要・著者の人となり・本の成立などを知っておくと、本文を読破しやすいというノウハウです」との助言も来ています。
ええ、私も本を買うとき、あるいは買ったときは、表紙の次は、奥付を見て著者を確認し、次にまえがきとあとがき、そして目次を読みます。(2016年10月29日)