倫理と法。生殖補助医療

11月23日の日経新聞「日曜に考える」は「生殖補助医療、どう法整備」でした。夫婦間の不妊治療(人工授精、体外受精)は、親子関係に問題を生みませんが、第三者が関わると難しい問題が起きます。夫婦以外の人からの精子や卵子の提供、代理出産です。問題が多いので法律で禁止するという案もありますが、子供を望む親がたくさんいるので、反対も多いでしょう。そして、隠れて行う人や海外に行って行う人が出てきます。
第三者が関わった場合、誰を親と認めるのか。ここから法律の世界に入ります。親子関係を定める必要があるのです。精子を提供してもらった場合、父親はその男性か、生んだ女性の夫か。卵子を提供してもらった場合、母親は卵子を提供した女性か、生んだ女性か。代理母出産をした場合、母親は誰か。提供者をわからないままに、提供を受けた夫婦の子供にするのが、子供の幸せのような気もしますが、親を知りたいと思う子供の声にどう答えるか。
医療技術が進歩したから、出てきた問題です。現行の民法は、想定してません。どれが正しいという問題ではないので、答えを出すのは難しいです。
「臓器移植を進める際に、何をもって死と認定するか」を決めるときもそうでした。役所(官僚)が検討して、答えを出すことができるテーマではありません。論点は整理できますが、政治が決めなければなりません。倫理を政治がどう扱うか。政治や行政を論じる際の重要なテーマだと思うのですが。教科書には、出てこないようですね。