12月18日の日経新聞、井上史雄さんの「現代ことば考」によると、福島弁が、東京弁に影響を与えているのだそうです。詳しくは、原文を読んでいただくとして、福島弁が「合理化」を進め、それが東京でも使われるようになっているのです。
・・・ところで、福島県では江戸時代にアクセントの区別をなくし、またシ・スの区別をなくした。そのために、「牡蛎・柿」「梨・茄子」が同じ発音になった。福島県では、牡蛎を「ざがき」と言う。また、「梨・茄子」を「きなす・はたなす」と言う。これなら耳で聞いても分かる。福島弁は状況に応じてことばを変えた。
近頃首都圏の若者は、「飴じゃね」「雨じゃね」というときに、アクセントの区別をあいまい化し、平板化を進めている。福島の後追いをしているのだ・・
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つい昨日のことの検証
昨日に続き、新聞記事から。
12月5日の朝日新聞経済欄「証言そのとき」は、佐渡賢一・元検事の「不正に挑んだ45年」でした。リクルート事件を捜査立件した経験が、書かれています。リクルート事件は、バブル期に起きた、未公開株を譲渡することで、巨額の金を贈賄した事件です。それが明らかになり、政治家や官僚、大企業のトップが起訴された事件です。これまでにない経済犯罪に、どのように切り込んだか。生々しい証言です。
12月4日の日経新聞「日曜に考える。検証」は、「ダイエー60年、消える看板」でした。日本一の小売業だったダイエー、一時はデパートを追い抜いたスーパーマーケットの雄でした。それがなぜ破綻し、看板も消えたのか。その検証記事です。
高度成長期は、はるか昔になりましたが、バブル期も、四半世紀以上前のことになりました。私たちの年代にとっては、「つい昨日のこと」ですが、若者は知りません。学校でも本でも勉強していないことが、多いでしょう。私たちも、同時代のこととしてニュースで見ましたが、体系立てて全体像は知りません。このような検証記事は、勉強になります。新聞の大きな役割です。
社会の問題を発掘する調査報道
今朝12月5日の新聞朝刊1面は、良い記事が並んでいました。朝日新聞は、「認可外保育、監督に差」です。
・・・年1回の実施が定められている認可外保育施設への各自治体の立ち入り調査について、厚生労働省の資料などをもとに朝日新聞が2014年度の実施率をまとめたところ、東京都が13%で最も低かった。神奈川、愛知、兵庫の3県も50%未満だったが、施設数が3県より多い埼玉県は95%で、実施率にばらつきがある実態が浮かんだ・・・
保育施設での死亡事故の約7割が、認可外施設で起きています。国の基準を満たす認可保育所と異なり、届け出だけで開設できるため、立ち入り調査がほぼ唯一の「行政のチェック」になっている、とのことです。
読売新聞1面トップは、「介護殺人や心中179件。2013年以降高齢者夫婦間が4割」でした。
・・・ 高齢者介護を巡る家族間の殺人や心中などの事件が2013年以降、全国で少なくとも179件発生し、189人が死亡していたことが読売新聞の調査で明らかになった。ほぼ1週間に1件のペースで発生しており、70歳以上の夫婦間で事件が起きたケースが4割を占めた・・・
老老介護、特に男性が主な介護者になっている場合、加害者が男性のケースが目立つようです。
それぞれ、原文をお読みください。記者が、自らの調査で書いた記事です。官庁や企業側からの広報やリークと違い、このような記事を「調査報道」と呼びます。今日紹介した2つの記事は、記者が現場で足で稼いだ記事ではありませんが、官庁の資料を基に、あるいはそれを端緒にして、新聞社が調べて記事にしたものです。そして社会の大きな問題を、浮き彫りにしました。1面トップに来るだけの価値はあります。
これからのマスコミの役割はここにあると、私は考えています。新しい事実の報道なら、電波媒体やインターネットの方が早いのです。
さて、このように社会の問題を提起された場合、政治と行政はどのように対応するか。ボールは役所の側に投げられました。
企業が作り売るおいしいお米
先日、宮城県亘理町を視察した際に、「舞台アグリイノベーション」の精米工場を見せてもらいました。田んぼの真ん中に、巨大なビルが建っています。高さ30メートル、横60メートル、奥行き150メートル。仙台駅とほぼ同じ大きさだそうです。
4万2千トンのお米を、保管できます。1メートル×1メートル×1メートルの袋が、4万2千袋保管できると言うことです。もちろん全自動の倉庫です。タグをつけてあるので、いつ入れたか、その袋が倉庫のどこにあるか、すべて管理しています。
この精米工場の特徴は、お米を生鮮食品として扱っていることです。お米の味は、もちろん稲の種類と育て方によりますが、刈り取ってから特に精米してからおいしさが落ちます。温度と酸素だそうです。この工場では、全体を低温に保ち、そして精米したら脱酸素剤と窒素で袋に密閉します。日持ちのしないお菓子などに脱酸素剤が入っていますが、お米の袋にそれが入っているのは、びっくり仰天です。賞味期限も表示されています。すなわち、お米が生鮮食品として扱われているのです。
家族の数が減り、またお米をたくさん食べなくなったので、小袋に入れるのも、消費者の要望に合っているでしょうね。お米の検査も、専門的に行われています。農薬などのほか、水分量、食味値、成分、整粒率(被害米等を除いた完全粒の割合)です。規格外のお米は、一粒ずつ機械がより分けるのだそうです。
この精米工場の特徴は、アイリスオーヤマと舞台ファームとの合弁会社です。
アイリスオーヤマは、皆さんご承知のように、さまざまな日用品を売っている会社です。大山健太郎会長から、ぜひ見るようにと言われていたのですが、ようやく約束が果たせました。私はアイリスオーヤマと聞くと、プラスチック製の収納用品を浮かべます。わが家でも使っています。お米は思い浮かべませんが、そこは進取の気風あふれる大山社長の着眼なのでしょう。
もう、家族で田んぼを耕す時代ではありません。お米にあっては、大規模化することで費用を抑え、生産を管理して品質を保証する。事業・企業としての農業が、生き残る方法だと思います。
舞台ファームは、仙台に本拠を置く農業法人です。「畑の中のカット野菜工場」を標榜していて、安全で美味しい野菜をカット野菜で提供しています。 少子高齢化社会では、お手軽に調理できるカット野菜も、消費者の要望に合っています。 カット野菜の市場規模は約1900億円で、インスタントコーヒー市場とほぼ同じだそうです。
日本人のモラル
興味深い意識調査を教えてもらいました。日本損害保険協会協会が、2012年に行った保険金請求に関する消費者の意識調査です。
事故を偽装するなどの保険金不正請求については、8割以上の人が「絶対に許されない」としています。ところが、「友人から長く通院した方が慰謝料を多くもらえると言われたので、痛くなくても通院する」(46%)、「自動車を壁にぶつけた際、前からあった別の擦りキズについても今回の事故によるものと言って修理代を保険請求する」(47%)といった、事故に便乗して過大に請求する行為については、「絶対に許されない」と考える人の割合は5割弱になり、1割くらいの人は「場合によっては許される」と考えています。そしてこれらは、「噛んだガムをそのまま路上に捨てる」(絶対に許されない62%)や、「公園の花壇に植えてある花がきれいなので、抜いて持って帰った」(53%)といったことよりも、軽く考えられているのです。
日本人って、案外「ずるい人たち」なのですね。さらに、これは意識調査ですから、実際の行動より「正義らしく」答えている可能性もあります。