4月30日の河北新報「トモノミクス」に、青柳光昌さんのインタビューが載っています。
・・・東日本大震災で芽生えた企業の復興CSR(企業の社会的責任)は、熊本地震でどう生かされたのか。日本財団の職員として、二つの大災害で企業と被災地の橋渡し役を務めた社会的投資推進財団(東京)の青柳光昌代表理事に聞いた・・・
・・・初動は東日本大震災に比べ、格段に早かった。災害に対する企業の準備や構えのレベルは上がっている。水や食料、生活必需品を被災者に届けることに議論の余地はない。災害支援はCSRの柱になっている。
問題はその次の復旧、復興期の段階。企業が本業を通し、支援を続けられるかどうかが問われている・・・
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戦後日本のイノベーション
発明協会が、「戦後日本のイノベーション100選」を選んでいます。これは、戦後日本で成長を遂げ、我が国産業経済の発展に大きく寄与したイノベーションを選定したものです。
ここでいうイノベーションは、「経済的な活動であって、その新たな創造によって、歴史的社会的に大きな変革をもたらし、その展開が国際的、或いはその可能性を有する事業。その対象は発明に限らず、ビジネスモデルやプロジェクトを含み、またその発明が外来のものであっても、日本で大きく発展したものも含む」です。
上位10をご覧ください。「なるほどねえ」と思う発明が、並んでいます。
私は、戦後日本が世界に貢献した生活での3大発明は、インスタントラーメン、カラオケ、ウオッシュレットだと考えています。3つ選ぶとしたら、皆さんなら、何を選びますか。世界の人の生活を便利に、豊かにしたという視点からです。
日本の伝統文化も重要ですが、それだけでは発展はありません。新しい生活文化に、何を付け加えていくか。科学技術の発明発見と、それを暮らしに応用していくことが求められます。
京都迎賓館2
先日、京都迎賓館の素晴らしさを書きました(5月1日)。西欧の物まねでなく、日本の素晴らしさを外国の人に分かってもらえる点です。これは、建物単体を建設しただけは無理です。
その良さを分かってもらえるだけの、「日本文化への理解」が必要です。判断者は、世界の人たち、特にこれまで「世界標準」をつくってきた西欧の人たちにです。
19世紀には、日本趣味(ジャポニズム)が広がりました。浮世絵や伝統工芸、そして植物です。しかし、「一部の趣味」でしかなかったようです。
日清・日露戦戦争以降、日本が国力をつけ、さらには戦後の経済成長で世界でも日本の位置が認識されました。もっとも、それも「非白人国が、追いついてきた」ということだったでしょう。
他方で、日本料理をはじめとする日本の伝統文化が、理解されるようになりました。フジヤマ・ゲイシャでない、日本の生活文化です。
和食は、フランス料理・ヌーベル・キュイジーヌに大きな影響を与えました。刺身、寿司、天ぷらだけではありません。ナイフとフォークでなく、箸を使って食べる外国人も普通になりました。そして、お酒です。日本酒のおいしさが、分かってもらえるようになりました。
さらに、和風旅館のおもてなしも、理解されるようになりました。ここは、しつらえや料理、そしておもてなしで、日本の生活文化が総合された場です。
建物や道具などいかに立派なものをつくっても、それが単体では、日本文化の理解にはなりません。日本の経済的存在感が、世界の人に「西欧ではない優れた文化」があることを認識してもらえる背景にあります。
そして、和服を洋服に替えましたが、すべてを西洋風に変えるのではなく、日本の伝統文化を守ったことが、世界に紹介することができる、そして誇ることができる生活文化を残したのです。それがなければ、いかに経済力を持っても「エコノミックアニマル」としか思われないでしょう。
2020年東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムも、和風の良い意匠だと思います。
尊大になってはいけませんが、西欧文化だけが世界標準でないこと、日本文化も良いことを、世界に紹介し続けるべきです。もちろん、他の国にも良い伝統文化があります。
場の提供者の責任
4月27日の朝日新聞オピニオン欄、津田大介さんの「「場」の提供者、問われる倫理」から。
・・・4月初旬、生後6カ月の男児が蜂蜜入り離乳食を摂取したことで「乳児ボツリヌス症」を発症、日本初の死亡事例となった件で日本最大のレシピサイト「クックパッド」に非難の声が集まった。国や自治体が母子手帳や乳児健診で1歳以下の乳児に蜂蜜を与えてはいけないと注意喚起していたにもかかわらず、同サイト上に蜂蜜を使った離乳食レシピが約140件も掲載されていたからだ。
クックパッドのIR資料によると、月次利用者数は6327万人。実に日本人の2人に1人が日常的に利用していることになる。それだけ影響力の大きなサイトに、一部とはいえ人体に危険を与える情報が掲載されていたわけだが、同社に法的責任を問う声は聞こえてこない。彼らは一般市民がレシピ情報を投稿する「場」を提供している存在――「プラットフォーム事業者」に過ぎないからだ。同社の利用規約には「本サービスの利用により発生した利用者の損害については、一切の賠償責任を負いません」と記載されている。レシピの利用はあくまで閲覧者の自己責任で、という立場だ。
だが、蜂蜜を使った離乳食レシピがもし書籍、あるいは新聞に掲載されていたら大問題になったはずだ。通常、大手出版・新聞社には情報が正しいか確認する「校閲」という部署がある。レシピのように専門性の高い分野では、管理栄養士などの専門家が監修を行うのも通例だ。普段我々が意識することは少ないが、雑誌や新聞の定価にはそうした「情報の検証コスト」も含まれている・・・
情報を商品ととらえるなら、個別の情報はそれを書いて発信した人が、「売り主」としての責任をもつことになります。その情報が正しいのか間違いなのか、賛成か反対かも、買い手である読者が、判断することになります。では、それを並べる場所を提供した人は、どこまでその「商品」に責任を持つのか。
他方で、場の提供者が過度な「情報統制」をしたら、自由な発言が制限されます。難しい問題です。技術の進歩と多くの人が利用できるようになることで、新しい問題が出てきます。原文をお読みください。
団体への加入率の変化
昨日紹介した、中北浩爾著『自民党』に、興味深い表が載っています。「有権者の団体加入率の推移」p196です。「明るい選挙推進協会」調査から、先生が作成されたものです。一部を抜粋します。
数字は左から、1980年、90年、2000年、2009年、2014年で、%です。
自治会 65、68、48、35、25
農業団体 10、11、5、3、4
労働組合 12、8、5、6、6
経済団体 6、7、4、3、2
非加入 18、18、32、40、43
この40年の間に、日本社会が大きく変化したことが、読み取れます。特に、自治会加入者の減少と、どこにも属していない人の増加が激しいです。
このような「緩慢な変化」は、ニュースにはなりません。私たちが気づかないうちに、静かに進行している変化です。しかし、社会や政治を規定する、あるいは社会問題を生む大きな要素です。