場の提供者の責任

4月27日の朝日新聞オピニオン欄、津田大介さんの「「場」の提供者、問われる倫理」から。
・・・4月初旬、生後6カ月の男児が蜂蜜入り離乳食を摂取したことで「乳児ボツリヌス症」を発症、日本初の死亡事例となった件で日本最大のレシピサイト「クックパッド」に非難の声が集まった。国や自治体が母子手帳や乳児健診で1歳以下の乳児に蜂蜜を与えてはいけないと注意喚起していたにもかかわらず、同サイト上に蜂蜜を使った離乳食レシピが約140件も掲載されていたからだ。
クックパッドのIR資料によると、月次利用者数は6327万人。実に日本人の2人に1人が日常的に利用していることになる。それだけ影響力の大きなサイトに、一部とはいえ人体に危険を与える情報が掲載されていたわけだが、同社に法的責任を問う声は聞こえてこない。彼らは一般市民がレシピ情報を投稿する「場」を提供している存在――「プラットフォーム事業者」に過ぎないからだ。同社の利用規約には「本サービスの利用により発生した利用者の損害については、一切の賠償責任を負いません」と記載されている。レシピの利用はあくまで閲覧者の自己責任で、という立場だ。
だが、蜂蜜を使った離乳食レシピがもし書籍、あるいは新聞に掲載されていたら大問題になったはずだ。通常、大手出版・新聞社には情報が正しいか確認する「校閲」という部署がある。レシピのように専門性の高い分野では、管理栄養士などの専門家が監修を行うのも通例だ。普段我々が意識することは少ないが、雑誌や新聞の定価にはそうした「情報の検証コスト」も含まれている・・・

情報を商品ととらえるなら、個別の情報はそれを書いて発信した人が、「売り主」としての責任をもつことになります。その情報が正しいのか間違いなのか、賛成か反対かも、買い手である読者が、判断することになります。では、それを並べる場所を提供した人は、どこまでその「商品」に責任を持つのか。
他方で、場の提供者が過度な「情報統制」をしたら、自由な発言が制限されます。難しい問題です。技術の進歩と多くの人が利用できるようになることで、新しい問題が出てきます。原文をお読みください。