カテゴリーアーカイブ:社会の見方

重力波

2017年10月7日   岡本全勝

昨日に続き、ノーベル賞の話を。2017年の物理学賞は、重力波を世界で初めて捉えることに貢献したアメリカの研究者が選ばれました。
先日、出版されたばかりの、高橋真理子著『重力波発見! 新しい天文学の扉を開く黄金のカギ』(2017年、新潮選書)を読んだところでした。

宇宙(大きい世界)や物質(小さい世界)がどうなっているのか、どうしてできたのか、知りたいですよね。また、人体はどうなっているのか、意識はどうしてできるのか。で、時々自然科学の本、といっても専門書でなく「読み物」を読みます。
この本も、朝日新聞記者が書かれたものなので、読みやすかったです。でも、「わかった!」とはなりません。古事記や日時計まで出てくるのです。う~ん。アインシュタインの相対性理論も、読む度に分かったような、分からないような・・・。時間と空間がゆがむと言われても、ぴんときません。

それより、どうして重力(引力)が働くのか。目に見えない「こびとさん」(粒子)が引っ張り合っていると思うのですが。重力子が発見され、私の目に見えたら、「なるほど」と納得するでしょう。

キレるコオロギとその社会復帰

2017年10月1日   岡本全勝

KDDI総合研究所の「季刊 Nextcom31号」に載っている、長尾隆司・金沢工業大学教授の「キレるコオロギの社会復帰」が興味深かったです。詳しくは、原文を読んでいただくとして。
集団で飼育したコオロギと隔離して育てたコオロギを闘わせると、隔離コオロギが圧倒的に強く、しかも透明なケースで隔離したコオロギは、ひたすら攻撃を続け、最後は相手をばらばらにして食べてしまうほど凶暴なのです。悲しいことに、透明なケース隔離コオロギは、相手がメスでも性行動ができず、殺してしまいます。
この隔離コオロギを、集団コオロギの中に入れると、数日後には攻撃性も収まり、性行動も正常にできるようになります。
仲間との触れあいを断たれた中で育つと、このようになるようです。そして、脳内ホルモンが影響しているようです。

先生は、この透明なケースで飼育した隔離コオロギを「インターネットコオロギ」と名づけておられます。この命名は的を射ています。完全に隔離されて育っているのではありません。つながっているけどつながっていない。インターネットでのつながりに似ています。
先生の研究内容は、「コオロギで探る人間の心」(athome教授対談)でも読むことができます。

民主主義と資本主義の関係

2017年9月30日   岡本全勝

9月25日の日経新聞オピニオン欄、マーティン・ウルフ(ファイナンシャルタイムズ、チーフ・エコノミクス・コメンテーター)の「民主主義 立て直すには」、電子版では「民主主義 危うい資本主義との“婚姻関係” 」から。
・・・民主主義が後退している。自由なグローバル経済への信認も低下している。民主主義と資本主義は本来、“婚姻関係”にあるが、何度も危険な状態に陥った。今も厳しい局面に見舞われている・・・
・・・民主国家の割合を国内総生産(GDP)に占める貿易額の比率と並べて比較することもできる(貿易額のGDP比は、人や資本の移動といった他のグローバル化指標とも強い相関性がある)。
歴史を見ると、民主化とグローバル化はほぼ相関関係にあることがわかる。要は19世紀の産業革命が政治革命をもたらし、独裁主義から民主主義への移行を促した。逆に、反グローバル化は反民主化と連動している。
これは当然だろう。米ハーバード大学のベンジャミン・フリードマン教授が主張するように、民主主義は豊かな時代に進展するが、貧困下では後退する。実際、1820年以降、世界の1人当たりの平均実収入は13倍に増え、高所得国ではそれを上回った。経済発展に伴い国民の教育が必要になり、国民を戦争に動員しようとすれば、政治的に多様な考え方を包摂することが求められた。
逆に金融危機は貧困や不安、そして怒りを引き起こした。民主主義には、勝者は敗者を破滅に追い込むために権力を行使することはないという勝者への信頼が欠かせない。しかし、負の感情はそうした信頼を消し去ってしまう。

民主主義と資本主義は関連が実証されているだけではない。民主国家では全ての人が政治の意思決定に加わり、資本主義の下では誰もが自由に市場を利用できることが前提になるという意味で、ともに平等の理念に基づいている。
だが大きな違いもある。民主政治には国民の連帯が必要だが、資本家たちは愛国主義には関心がない。民主主義では全ての市民に発言権があるはずだが、資本主義では富める者が最も大きな発言力を持つ。有権者はある程度の経済的安定を求めるが、資本主義には好不況の循環が付きものだ・・・
原文をお読みください。

フラリーマン

2017年9月26日   岡本全勝

「フラリーマン」って、ご存じですか。NHKが解説しています。仕事が終わっても、まっすぐ家に帰らない会社員です。「“フラリーマン” まっすぐ帰らない男たち」。詳しくは、原文をお読みください。
長時間労働は、個人と職場だけでなく、家庭、地域、日本社会に染みついた意識であり仕組みです。これを変えるには、巨額の公共投資は必要ありませんが、一種の革命が必要です。時間がかかるでしょう。
でも、クールビズも、あっという間に定着しました。人間の意識、習慣とは、そんなものです。

長期の景気拡大期、その実相

2017年9月26日   岡本全勝

日本の景気は2012年12月以降、拡大局面が続いています。もう4年半を超えています。しかし、今ひとつ景気が良くなっている実感がわかないようです。
日経新聞経済教室9月19日は、小峰隆夫・大正大学教授が「堅調景気の実相 アベノミクス効果限定的」で、わかりやすい解説をしておられます。これまでの3回の景気拡大期を比較したグラフも、わかりやすいです。詳しくは、原文をお読みいただくとして。

・・・日本の景気は2012年12月以降、拡大局面が続いている。期間は既にバブル期(1986年12月~91年2月までの51カ月)を上回る。今年9月時点でも景気の基調は変わっていないので、景気拡大期間はいざなぎ景気(65年11月~70年7月までの57カ月)を上回り、戦後2番目に長くなっている(最長は02年2月~08年2月までの73カ月)。
政府はアベノミクスの成果として強調したいようだが、話はそれほど簡単ではない。本稿では、今回の長期景気拡大を巡り多くの人が抱く疑問について考える。すなわち(1)長期景気拡大にアベノミクスはどの程度寄与しているのか(2)景気拡大が長い割には実感が得られないのはなぜか(3)この長期拡大はいつまで続くのか――という3つの疑問だ・・・
・・・まず現在進行中の長期景気拡大を一本調子の景気拡大としてとらえるのではなく、3つの期間に分けて考えたほうがいい。12年12月から14年3月までの順調な拡大期(第1期)、14年4月から16年夏ごろまでの足踏みの時期(第2期)、16年夏以降現在に至る景気の再浮揚期(第3期)だ・・・
・・・ 第1に政策との関係では、第1期についてはアベノミクスによる異次元金融緩和、財政出動が景気を好転させた。だが第2期にはその効果は次第に薄れていった。そして第3期の景気拡大は輸出主導型であり、海外経済の安定化に助けられたものだったから、これをアベノミクスの成果と言うのには無理がある。
第2に景気拡大期間が長い割にはその実感が得られない一つの有力な背景は、第2期の準景気後退局面を含んでいるため、経済活動のレベルがそれほど高まっていないことにある。今回のCI上昇幅はバブル期や02年からの景気拡大期の半分から3分の1にすぎない・・・

NHKでは、「回復を実感できない」という声に対して、中間層の年収から分析しています。「いざなぎ超え データで探る中間層の実像」。