カテゴリーアーカイブ:社会の見方

毎日の食卓はハレではない

2020年5月26日   岡本全勝

5月24日の読売新聞、料理研究家の土井善晴さん、「家庭料理は「ケ」一汁一菜でいいんです」から。
・・・新型コロナウイルスの影響で、食をめぐる風景が変わった。外食を控え、自宅での食事が当たり前になったが、料理の回数が増えて作り手の負担となっている。多くの人を縛るのは、「家庭料理はかくあるべし」という固定観念だ。食文化を見続け、日本らしい食を提案する料理研究家の土井善晴さんはもっと日本人が生きやすくなるために、「一汁一菜」というシンプルなスタイルで「食の初期化」を説く。家庭料理の世界から見た日本社会の変化と多様性について語ってもらった・・・

・・・新型コロナウイルスの感染拡大は、食生活に大きな影響を及ぼしています。自宅で過ごす時間が圧倒的に増え、特に女性が家族のために食事を作る回数が増えました。SNSでは、「大変だ」「料理なんかしたくない」という内容のつぶやきもたくさん見かけます。女性が悲鳴を上げている。それでもなおかつ「料理を作らなければならない」と思っています。
日本社会が食べることに困らなくなり、ぜいたくが当たり前になって、家庭の中まで入り込んできた。レストランで食べる料理のように、味付けや完成度までが家庭料理の基準になってしまっているのです。
昭和時代は男性が働き、女性が家を支えるという、分業ができていました。その後、女性が外で働くようになり、一層忙しくなったにもかかわらず、家庭料理というもののハードルが非常に高くなっていきました・・・

・・・日本には、民俗学者の柳田国男が言った「ハレ」と「ケ」という生活習慣の概念があります。神様に祈り感謝する祭りなど特別な状態である「ハレ」のような食事を、多くの人が毎日の家庭料理にもイメージしているのです。家庭料理は日常である「ケ」です。毎日の食卓が華やかである必要はないのです。
料理をして食べることは、生きるための基本の行為。何かに強制されたり義務感で料理をしたりするのはつらい。生きることそのものまでつらくなりかねません。
でも、自分自身が核になるものを持っていれば、自信が持てるし、もっと自由になれる。そう考えたのが「一汁一菜」という提案でした。いわば「食の初期化」。持続可能なスタイルです。
ご飯を炊いて、具だくさんのみそ汁を作る。具は何でもいい。あとは漬物。料理の上手下手もないし、作り手に男女も関係ない。ひとりでできる。簡単であるけれど、手抜きではない・・・

・・・ネットの発達で数え切れないほどのレシピやグルメの情報があふれています。情報をだれでも簡単に集められるようになった一方で、大量の情報に踊らされるようにもなりました。幾度となく繰り返される「おいしい」という言葉や、「いいね」の数は情報を均一化、単純化させている。そして私たちの感覚をまひさせている。情報に頼る依存体質になってしまっています。
2018年に私のツイッターの写真が物議を醸しました。
「いただいた赤福のあさごはん。こんでええやん」と記し、伊勢名物のあんこのお菓子「赤福」とみそ汁の写真を載せたところ、「栄養のバランスがとれてない」「健康に悪い」「正しい日本の朝食じゃない」という内容が書き込まれました。
私は「なにいうてんねん。石頭やなー(笑)。こんなんときどき言いたい。どうぞ家の中の多様性を認めてください」と書きました。
栄養のバランスは一回では判断できない。たった一回のことだけで言うなと、ちょっと面白がって反論したのですが、それぞれが「正義」を主張する。
多様性の時代と言われながらも、実際には日本は多様性が認められていないんです・・・

外出自粛、ゴミ急増

2020年5月24日   岡本全勝

コロナウイルス対策のため、外出自粛が続いています(一部地域では解除されましたが)。家庭ゴミが増えているようです。わが家のゴミ収集車も、ふだんに比べかなり遅く回ってくる日があります。
5月22日の読売新聞夕刊に「ごみリサイクル悲鳴 巣ごもり廃プラ急増」という記事が載っていました。

・・・かつての「日常」が戻る兆しも見える中、家庭ごみの行き着くリサイクル処理施設がパンク寸前となっている。背景にあるのは、ここ1か月余りの「巣ごもり生活」で出た大量のごみだ。都市部に近い施設を中心に、食品の包装容器などのプラスチックごみ(廃プラ)が山のよう。大量の古着や古布は倉庫に眠り、家庭からの回収をストップした自治体もある。

「これ以上増えるとパンクしてしまう」。関東地方の廃プラ処理工場の男性経営者は今、焦っている。
4月の緊急事態宣言から、「ステイホーム週間」と銘打たれた5月の大型連休を経て、家庭ごみは一気に増えた。食品の容器、ポリ袋……。同工場では予定の受け入れ量を超えてしまい、保管場所に入りきらない廃プラが高さ3~4メートルほど屋外に積まれている。
工場は廃プラをプラスチック原料にリサイクルしており、土曜もフル稼働で何とか処理している。が、男性は「ごみの保管量はいつもの2倍に達し、置き場所に余裕がない。これで従業員が感染でもしたら、ダメかも」と危機感を募らせる・・・

持ち帰り弁当や総菜は、プラスチック容器に入っています。便利なのですが、ゴミが増えます。ある方(単身赴任中)が、「家飲みだと、ゴミが増えるわ」と言っていました。
外出できない機会に、家の片付けをする人も多いようです。ちょうど、衣替えの季節ですし。すると大量のゴミが出ます。

企業の無形資産

2020年5月24日   岡本全勝

5月16日の日経新聞オピニオン欄、中山淳史さんの「見えない資産に注目を」から。

・・・米大手IT(情報技術)企業のGAFAにマイクロソフトを加えた「GAFAM」。5社の株式時価総額の合計はコロナ禍を機に東証1部上場企業(2170社)のそれを一気に上回った。
時価総額が5社で最も大きいマイクロソフト(世界では2位)のバランスシート(貸借対照表)を見ると、土地や工場、店舗といった有形資産が約3.9兆円と、日本企業で最も時価総額の大きいトヨタ自動車(世界では40位)の4割ほどにとどまる。
だが、トヨタの7.7倍にも時価総額を拡大できたのはデータやソフトウエア、アルゴリズム、研究開発といった無形資産(約8千億円)やのれん(約4.5兆円)を活用し、企業価値を高めることに成功しているからにほかならない・・・

・・・一方、ヘッジファンド、ハヤテインベストメント(東京・中央)の杉原行洋社長は無形資産と呼びうる対象の範囲に注目する。「従業員のITリテラシーにとどまらず、テレワークを柔軟に受け入れられるかどうか、社会と上手に接点が持てるかどうかなど、企業の組織文化や受容性にまで広がるべきだ」と言う。
問題は、現在の会計制度で文化や体質といった要素をどのようにどこまで認識できるかだろう。同様の問題を抱えているのが実は、国家や地域の経済規模を測る「国内総生産(GDP)」という指標でもある。
GDPでは捕捉し切れなくなったとされるものの一つが世界的に膨張する無形資産の経済規模だ。米研究機関によれば、その6割以上が正確に把握できていない可能性があり、企業の生産性を測る指標とともに時代に合ったものに見直す必要が出てきている。
もう一つ変化を迫られるとすれば、経営者のマインドかもしれない。形のないもの、見えないものにどこまで、どう投資するか。戸惑いは大きいはずだ・・・

経済活動再開の順番

2020年5月23日   岡本全勝

5月18日の日経新聞オピニオン欄、西條都夫・上級論説委員の「ウィズ・コロナ時代の備え 「命と経済」両立戦略を」に、ハーバード大学が4月に公表した「パンデミックに強い社会への道」が紹介されています。そこに、社会基盤を担う職場から順に、正常に近づけていく段取りが載っています。

・・・まず第1段階ではエッセンシャル・ワーカーといわれる、医療従事者や食品スーパーの店員、電気・水道などライフラインを担う人、警察消防など全労働者の4割にあたる人に繰り返し各種検査を実施。陽性者は公的な所得補償をした上で隔離し、職場には感染者がほぼおらず、安心して働ける環境を整える。
続くフェーズ2では、日用品の生産や食堂、公共交通など日常生活に必要な機能を提供する約3割の人に検査対象を広げ、その後は美容院など遠隔では難しいサービスに、最後にオフィスワーカーにも検査範囲を拡大する・・・

表がついています。
第1段階のエッセンシャル・ワーカーは、労働力のうち40%を占めます。第2段階の準エッセンシャル・ワーカーは、30%です。
第3段階は対人サービスが10%、第4段階のホワイトカラー労働者が20%です。

年末年始の連休などに、病院、警察、消防、交通など休みを取らずに働いている人たちがおられます。この人たちのおかげで、安心して暮らしていけるのです。この人たちが労働者のうち何割くらいになるのか、気になっているのですが。この表の分類も、一つの見方です。

「日本思想史」2

2020年5月23日   岡本全勝

日本思想史」の続きです。
私が知りたいのは、国民・大衆の思想です。ところが、学問の思想史で取り上げられるものは、一部知識人階級のものであって、その他多くの民衆の考えではありません。

僧の説く仏の教えを、どこまで庶民は理解したでしょうか。文字の読めない多くの庶民は、絵解きの地獄や極楽を見て理解しました。そして、そのような世界観で、毎日を暮らしたのでしょう。
そのほかに、儒教の教え、神様の信仰、習俗となったお祈りや祭りなど。庶民の道徳、倫理です。そして、個人の意識と社会の共通意識があります。

そこには、
・ものの見方(価値観を含む。大人になったら働き結婚するものだ)
・道徳(規範。嘘をついてはいけない。他人には親切にする)
・生きる意味・死後の世界(世界観。私の存在理由)
の3つがあるでしょう。
あわせて、意識(認識)のほかに、感情(気持ち)があります。国民感情、庶民感情と言われるものです。

連載「公共を創る」では、社会の変化を見る際に、数値で表すことができるものとともに、社会の意識を取り上げています。国民は何を求めたか、何に向かって努力したか、何に満足したか、何を不安に思っているかです。知識人の思想だけでは、これらは見えてこないのです。
何か良い書物がありませんかね。教えてください。