カテゴリーアーカイブ:社会の見方

街の国際化

2023年7月2日   岡本全勝

平成時代から、国際化が一つのはやり言葉になりました。海外に行く国際化と、海外の人が日本に来る「内なる国際化」がありました。一つは観光客の増加で、もう一つは外国人労働者の増加です。

京都などで海外からの観光客が増えて、「これが国際化か」と思うことがありました。「そういえば、かつてパリやロンドンに行ったときに、外国からの観光客ばかりだなあ」と思いました。
外国人労働者の増加は、特定の市町村(工場のあるところ)とともに、東京でもコンビニや飲食店でたくさん働いています。

もう一つ、最近外国人が増えたなあと感じたのが、高円寺の商店街です。観光地とは言えない商店街です。特徴と言えば、古着屋と居酒屋が多いことです。だから、私が入るような店が少ないのです。その商店街に、外国人観光客と思われる人が増えたのです。
6月19日の日経新聞1面コラム「春秋」が、高円寺を取り上げていました。
東京観光財団が、訪日観光の目玉の一つに推しているとのこと。「東京の素顔にふれられる」と好評で、高円寺体験を組み込んだ日本ツアーができたのです。
へえ、そんなことが売りになるのですね。

『世界がわかる資源の話』

2023年6月30日   岡本全勝

鎌田浩毅著『世界がわかる資源の話』(2023年、大和書房)を紹介します。
宣伝文には、次のように書かれています。
「電気代高騰も、異常気象も、ウクライナ侵攻も、新ビジネスも、私たちの食生活も、ぜんぶ「資源」で読み解ける! "科学の伝道師"である鎌田浩毅京大名誉教授がおくる、新時代の教養本」

「新時代の教養本」という表現がよいですね。自然科学の分野も、日進月歩です。そしてそれが、私たちの生活に大きな影響を及ぼします。「専門書は難しい」「新聞の解説ではよくわからない」ということが多いです。その際に、このような解説書が役に立ちます。
取り上げられている各主題も、水、木、エネルギーなど身近なもので、文章はいつものように読みやすいです。鎌田浩毅先生は、ますます元気のご様子です。

154ページに「エコバッグは無意味?」との記述があります。
海洋プラスチックごみの多くは漁網とペットボトルなどで、レジ袋は全体の0.3%でしかないのだそうです。
デンマークのある機関の調査では、紙袋は43回、オーガニックコットンのバッグは2万回使わないと元が取れなとのこと。レジ袋を製造している会社は、原料のポリエチレンが石油を精製する際に必然的にできるため、資源の無駄にはならないと主張しているのだそうです。
問題は、レジ袋やペットボトルのポイ捨てにあるのでしょうね。

高校生の就活

2023年6月29日   岡本全勝

朝日新聞夕刊「現場へ!」は、6月12日から「フレーフレー就活高校生」を連載していました「1学歴のバリア、打ち破ろう」。

・・・まずは「三和建設」。
大阪市淀川区に本社がある中堅ゼネコンである。創業は1947年、社員は165人。
工事部門のリーダー、参鍋(さんなべ)広志(43)は大阪生まれ。家は裕福ではなかったので、大学進学という選択肢はなかった。工業高校で建築を学び、先生のすすめで三和建設へ。
建築工事の現場は、朝が早かったり、夜が遅かったり。休み返上もざら。2年目のある日、参鍋は上司に告げた。
「会社やめます。この仕事、自分にあってません」
上司は言った。
「たかが2年で、この仕事の何が分かるんや。オモロいと思えることが、きっとある」
仕事をつづけてみた。工事計画をつくり、その通り完成させる達成感が、やみつきに。
ゼネコンの仕事が楽しくなってくると、参鍋には、新たなモチベーションが生まれた。
同期入社は12人。高卒は参鍋ら2人、あとは大卒。参鍋は出世、同期の大卒のほとんどは会社をやめていった。

参鍋が2年目に「やめたい」と告げた相手は、辻中敏(51)。彼も高卒、いまは専務、会社のナンバー2だ。
辻中の父が建築業を営んでいて、子どものころから現場に入り浸った。大手ゼネコンから監督としてやってくる若者が、父や職人たちに偉そうにしている。辻中少年は誓った。
〈いつか、あの場所に立つ。でも、偉そうにはしない〉
京都の工業高校へ。親も先生も大学進学をすすめた。「なりたい自分への早道は就職」と考えた辻中は、高校にすすめられた三和建設に入った。
いくつもの現場で監督をつとめた。もちろん、上から目線は排除、である。
そんな辻中の高校の後輩、冨川祐司(33)は、20代半ばから異例のスピードで現場監督をつとめる。冨川のモチベーションも、昇進して大卒同期を追い抜くこと。分からないことは辻中や参鍋たちに聞いては実践、を繰り返して今がある。
三和建設の役員と経営幹部、その4分の1が高卒である。学歴は関係なく、入社後の成長がすべてだ・・・

職業や職種によっては、学歴が関係ないものも多いです。そして、大学で学んだのが一般教養では、職業に役に立つことは少ないでしょう。

『中華を生んだ遊牧民 鮮卑拓跋の歴史』2

2023年6月28日   岡本全勝

中華を生んだ遊牧民 鮮卑拓跋の歴史』の続きです。
紹介文には、「中国の歴史は、統一王朝時代と分裂時代の繰り返しである」とも書かれています。分裂した諸王国の中を勝ち抜いて、英雄が統一王朝を打ち立てます。ところが多くの王朝で、その安定は長くは続かず、また分裂が始まります。そこから次のようなことを考えました。それぞれ当たり前のことで、言い古されたことですが。

一つは、英雄が一人で安定した権力を作るわけではないことです。
大きな権力のためには、それを支える人、組織、そしてそれを養う資源が必要です。確かに英雄(王や皇帝)がいないとまとまりませんが、彼を支えるたくさんの人がいて、その人たちも権力(部下と組織と資源)を持っています。
別の見方をすると、それら有力部下たちに支えられているのが、王です。王にそれだけの能力とやる気がないと、部下が政治権力を握ります。さらに部下たちがその気になれば、王を廃止して取って代わります。
歴史書はしばしば英雄や王たちの歴史として書かれますが、実質はそのような権力関係から成り立っています。王や皇帝、将軍の系図が載っていますが、初代と中興の祖以外は、どのような功績があったか知らないことが多いです。権力が安定していたら、判断することもなかったのでしょう。

もう一つは、政権獲得、天下統一という目標があるうちは関係者は団結しますが、その目標を達成すると、分裂が始まることです。
権力を獲得する際の要素は、かつては多くの場合に武力です。ところが、政権を取ると、部下たちが武力に訴えては困るので、それを禁止し、秩序を守らせるために例えば儒教を奨励します。政権獲得期と政権維持期では、必要な力と思想が異なるのです。
しかし、政権獲得に参加した有力者や政権維持に参加している有力者は、「俺だって、王のようになれるはずだ」と考えます。隙あらば、自分の権力を大きくすることを考え実行します。ここに、分裂が始まります。

幸福度指標

2023年6月28日   岡本全勝

5月26日の読売新聞が「G7 政策立案の指標見直し 脱経済偏重「幸福を追求」」を載せていました。

・・・今月11〜13日に新潟市で開かれた先進7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、「幸福の追求」が議論された。経済成長に限らず、様々な側面から幸福度を捉え、政策に生かそうとする動きが広がっている。
G7で話し合う議題は、議長国の日本が設定した。金融システムの安定やウクライナへの支援といった喫緊の課題に加え、幸せを実現するための政策をテーマにしたのは、国内総生産(GDP)の成長が重要であることに変わりはないものの、それだけでは限界があるとの問題意識からだ。
GDPは経済の大きさを測る指標として各国が重視しているが、無料のデジタルサービスや無償のボランティアなどは反映されない。経済規模が大きくなっても環境が悪化したり格差が拡大したりすれば、人々の幸せにはつながらない。
G7では、GDPでは表すことのできない、多様な価値を重視した政策のあり方を巡って意見が交わされた。13日に採択された共同声明では、「幸福をよりよく評価するための指標を、いかに実用的かつ効果的な方法で政策立案に組み込むか、検討する必要がある」との文言が盛り込まれた・・・

・・・他方、すでに多くの先進国や国際機関は、幸福度を表す指標を作っている。幸せの程度は主観的な感情であるため、「最近の生活にどの程度満足していますか」といったアンケート調査で測定。失業率や平均賃金など、幸福度と関係の深い統計データを組み合わせ、指標群(ダッシュボード)として示すのが一般的だ。
政策現場での動きは、2008年のリーマン・ショックの後に目立つようになった。過度な利益の追求が経済危機を招いたとの反省から、「豊かさ」を見直す機運が高まった。
経済協力開発機構(OECD)は11年、各国の生活の豊かさを示す「より良い暮らし指標」を作成した。国民生活に密接に関わる住居や仕事、健康など11項目で構成する。
また、国連の研究組織は12年以降、14年を除いて国ごとの幸福度を測定し、結果を「世界幸福度報告書」として公表している。
測定では、米ギャロップ社の世論調査をベースに「人生選択の自由さ」などを評価し、1人当たりGDPや健康寿命など六つの要素をもとに数値化する。
今年のランキングで、日本は137の国・地域のうち47位だった。これまでの順位を見ても40〜60位台で推移しており、先進国では下位にある。上位に北欧諸国が目立つのは、毎年の傾向だ。
もっとも、このランキングには批判が多い。日本をはじめアジア諸国では、人生に対する評価を聞かれて「普通」といった中間的な回答をすることが多く、個人主義的な傾向の強い欧米諸国に比べ、数値が高くなりにくいとされる。幸福度の捉え方は、社会や文化によって異なるのが実情だ・・・