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社会

街の国際化

平成時代から、国際化が一つのはやり言葉になりました。海外に行く国際化と、海外の人が日本に来る「内なる国際化」がありました。一つは観光客の増加で、もう一つは外国人労働者の増加です。

京都などで海外からの観光客が増えて、「これが国際化か」と思うことがありました。「そういえば、かつてパリやロンドンに行ったときに、外国からの観光客ばかりだなあ」と思いました。
外国人労働者の増加は、特定の市町村(工場のあるところ)とともに、東京でもコンビニや飲食店でたくさん働いています。

もう一つ、最近外国人が増えたなあと感じたのが、高円寺の商店街です。観光地とは言えない商店街です。特徴と言えば、古着屋と居酒屋が多いことです。だから、私が入るような店が少ないのです。その商店街に、外国人観光客と思われる人が増えたのです。
6月19日の日経新聞1面コラム「春秋」が、高円寺を取り上げていました。
東京観光財団が、訪日観光の目玉の一つに推しているとのこと。「東京の素顔にふれられる」と好評で、高円寺体験を組み込んだ日本ツアーができたのです。
へえ、そんなことが売りになるのですね。

高校生の就活

朝日新聞夕刊「現場へ!」は、6月12日から「フレーフレー就活高校生」を連載していました「1学歴のバリア、打ち破ろう」。

・・・まずは「三和建設」。
大阪市淀川区に本社がある中堅ゼネコンである。創業は1947年、社員は165人。
工事部門のリーダー、参鍋(さんなべ)広志(43)は大阪生まれ。家は裕福ではなかったので、大学進学という選択肢はなかった。工業高校で建築を学び、先生のすすめで三和建設へ。
建築工事の現場は、朝が早かったり、夜が遅かったり。休み返上もざら。2年目のある日、参鍋は上司に告げた。
「会社やめます。この仕事、自分にあってません」
上司は言った。
「たかが2年で、この仕事の何が分かるんや。オモロいと思えることが、きっとある」
仕事をつづけてみた。工事計画をつくり、その通り完成させる達成感が、やみつきに。
ゼネコンの仕事が楽しくなってくると、参鍋には、新たなモチベーションが生まれた。
同期入社は12人。高卒は参鍋ら2人、あとは大卒。参鍋は出世、同期の大卒のほとんどは会社をやめていった。

参鍋が2年目に「やめたい」と告げた相手は、辻中敏(51)。彼も高卒、いまは専務、会社のナンバー2だ。
辻中の父が建築業を営んでいて、子どものころから現場に入り浸った。大手ゼネコンから監督としてやってくる若者が、父や職人たちに偉そうにしている。辻中少年は誓った。
〈いつか、あの場所に立つ。でも、偉そうにはしない〉
京都の工業高校へ。親も先生も大学進学をすすめた。「なりたい自分への早道は就職」と考えた辻中は、高校にすすめられた三和建設に入った。
いくつもの現場で監督をつとめた。もちろん、上から目線は排除、である。
そんな辻中の高校の後輩、冨川祐司(33)は、20代半ばから異例のスピードで現場監督をつとめる。冨川のモチベーションも、昇進して大卒同期を追い抜くこと。分からないことは辻中や参鍋たちに聞いては実践、を繰り返して今がある。
三和建設の役員と経営幹部、その4分の1が高卒である。学歴は関係なく、入社後の成長がすべてだ・・・

職業や職種によっては、学歴が関係ないものも多いです。そして、大学で学んだのが一般教養では、職業に役に立つことは少ないでしょう。

巣立たぬ若者、米英も急増

5月29日の日経新聞に「巣立たぬ若者、米英も急増 3分の1が親と同居」が載っていました。

・・・成人したら親元を離れ自立した生活を営む。そんな慣習が米国や英国で揺らいでいる。住居費や学費の高騰などを背景に、米英で若者の3分の1が親と同居するようになった。日本や南欧など親との同居率が高い国は出生率が低い傾向がある。このまま米英でも「巣立たぬ若者」が増えれば、人口動態に影響する可能性がある・・・

若者の親との同居は、国によって大きな違いがあります。18~34歳をとると、デンマーク16%、スウェーデン17%、フィンランド18%です。18~20代前半に家を出て自立するという規範があります。
他方で、ポルトガル72%、イタリア71%、スペイン65%です。イギリス、フランス、アメリカはその中間に位置します。
韓国70%、日本は47%です。

ところが、記事にあるように、英米で3分の1が親と同居するようになりました。一番の理由は、家賃の高騰です。この20年間でアメリカでは1.7倍、イギリスでは1.5倍になりました。授業料の値上げもキツいようです。
親と同居している国ほど、出生率が低いという統計があります。山田昌弘・中央大学教授は「日本の少子化は、パラサイト・シングル現象が一因だ」と指摘しています。親元を離れず、結婚もしないまま中年になる人です。

暴論のはびこり

6月2日の朝日新聞オピニオン欄「「暴論」の存在感」、真梨幸子さん(作家)の「昔より減った分、悪目立ち」から。

・・・昔に比べ、暴言暴論の類いは減っているのではないか、と思います。昔は暴言だらけだったけど、問題になっていない。今は少ないが問題になる。少ない理由は「言ってはいけない、言うべきではないことは何か」について、多くの人が共通認識を持っているから。だからその反動で、匿名の誹謗(ひぼう)中傷がネットにあふれるのだとも言えます・・・

・・・政治家、官僚、企業幹部など、公的な立場の人も社会的な発言には細心の注意を払っている時代です。だから、ごくたまに表に出てくる暴言が悪目立ちするのでしょう。多くの場合、面白く語ろうとしてブラックジョークを使い誤る失言が多いと思います。
社会的問題への暴言暴論の場合は、世論に対する「興奮剤」になってしまいます。何か極端な発言があると、ネットを中心に賛成派、反対派がわーっと出てきて、激しくやりあう。発言が闘争ホルモンを全開にさせる合図、「レディーゴー」(用意ドン)になって、人々が戦闘状態に切り替わってしまうのです・・・

・・・ただ思うのは、誹謗中傷や暴言を封じても人間から無くなるわけではないし、人間を進化させてきた言葉から、その美しい、良い部分だけを後世に残し、醜い、悪い部分だけを撲滅することはできない、ということです。人間の世界は、白も黒も引き受けながら進んでいかないと、息苦しくなってしまいます・・・

公立校 年400廃校

6月1日の読売新聞解説欄に「公立校 年400廃校」が載っていました。

・・・文部科学省の調査によると、2002〜20年度で廃校は8580校。毎年400校前後が廃校になっている。現存する7398校のうち、活用されているのは74%で、活用されず用途も決まっていないものも19%ある・・・