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社会

フィッシングメール日本に集中

9月12日の読売新聞に「フィッシング 狙われる日本 新種不審メール8割集中」が載っていました。日本人はだまされやすい「カモ」なのでしょうか。
私の携帯電話やパソコンにも、毎日たくさん来ます。利用していない銀行やクレジットカード、車を持っていないのにETCとか。有名な女優からも(笑い)。電子メールが無料で送ることができるので、犯人たちは費用を考えることなく、やたらめったら送っているのでしょうね。

・・・日本の企業・個人の情報を盗み取ろうとする「フィッシングメール」が急増している。全世界で今年確認されている新種の不審メールの8割超が日本を標的としたものであることが、セキュリティー企業の調査でわかった。これまで「言語の壁」で守られていたが、生成AI(人工知能)により自然な日本語メールが作成可能となり、格好の標的となっている。

「日本がこれほど狙われたことはない」。米メールセキュリティー大手「プルーフポイント」の増田幸美チーフエバンジェリストは、危機感をあらわにする。
同社のメールセキュリティーサービスは、全世界の電子メールの4分の1で使われている。増田さんらが同社のサービスを使う全世界のメールを調べたところ、同社にとっても未知のタイプの不審メールが1~8月に約53億通確認された。大半がフィッシングで、日本を標的にしたものは83・9%に上った。2023年(約12億通)の4・3%、24年(約14億通)の21・0%から大幅に増加し、全体数を押し上げている。
メールの内容は、偽サイトに誘導して、「マイクロソフト365」などのクラウドサービスの認証情報やクレジットカードの個人情報、インターネット上の証券口座の認証情報を入力させて盗み取ろうとするものが多いという。

急増の背景にあるのが生成AIの普及だ。
増田氏は「従来のフィッシングメールは不自然な日本語で書かれ、日本人なら簡単に気づけたが、生成AIで自然な日本語のメールが作れるようになり、見分けがつかなくなっている」と話す。日本人向けのメールやサイトを簡単に作れる「フィッシングキット」も使われているという・・・

東大大学院工学系、講義を英語化

9月22日の日経新聞に「東京大の大学院工学系研究科の講義英語化 「内なる国際化」に弾み」が載っていました。
・・・東京大学の大学院工学系研究科は今年度から講義を原則、英語で行うことにした。英語化により世界のライバルに伍する国際的な教育空間に近づく半面、教員は「教え方を学ぶ」ことも必要になる。他の有力大でも、同様の動きが徐々に広がる。

「英語化は当然やるべきだと思っていた。学生は英語が飛び交う環境に抵抗感がなくなる。海外に出ていくチャンスも広がる」。工学系研究科の加藤泰浩研究科長(工学部長)は、講義の英語化に踏み切った理由を熱っぽく語る。
加藤氏は1990年代、米ハーバード大で初めての在外研究を経験した。当時37歳。学部の卒論から博士論文まで全て英語で書いていたが、現地での会話に苦労した。「同じ思いを学生にさせたくない」と話す。
23年4月、研究科長に就任すると英語化の検討を始めた。ただ、講義の英語化は10年以上前から懸案として引き継がれていたという。

修士課程、博士課程で計約3900人いる学生の3分の1が留学生。講義の英語化は、アジア出身者が多い留学生の国籍の偏り是正にもつながると見る。政府が10兆円を投じた大学ファンドで支援する「国際卓越研究大学」への認定を東大が申請していることも考慮し、大学院は英語化に踏み切ることにした。
講義の英語化率は現状で7割強。目標は、これを9割に引き上げる。日本建築を扱う建築学などの分野や外部講師に配慮し、日本語で教える余地を残した。
この件を担当する津本浩平副研究科長によると、英語化は知識の更新が速くなっていることとも関係がある。
「最先端の研究成果は英語で発信され流通している。その流れがどんどん速くなり新しい言葉が出てきている」と津本氏。翻訳する時間はなく、日本人同士の会話も自然とほぼ英語になる。「英語を道具として使う必要性が一段と高まってきている。波に乗り遅れる理由の何割かは言語ではないかと思うこともある」

もう一つ、津本氏が挙げたのが隣国のトップ大学の状況だ。授業を交換している韓国ソウル大の教員や学生の英語力が近年、向上著しい。「ソウル大は相当議論して英語化を進めている。中国の清華大もそう。私たちも努力を加速していい」と話す・・・

私は先日、時事通信社の会員制評論誌「コメントライナー」に「英語が国語になる日」を書きました。明治初期の帝国大学では講義は英語でした。
その時と状況は異なりますが、世界で活躍するためには英語は必須なようです。

経済低迷でも再開発が進む東京

9月11日の朝日新聞オピニオン欄「東京のカタチ2025」、地理学者のラファエル・ランギヨン=オセルさんによる「再開発で維持する競争力」から。
労働者の中で正規雇用と非正規雇用の格差が進むとともに、地域間では東京とその他の地域の格差が広がったのです。

・・・私はフランス南西部の田園地帯の出身です。そのためか大都市にひかれるのですが、東京は魅力的で成熟したグローバル都市です。
都市研究の専門家として、丸の内、六本木、日本橋、渋谷などの再開発プロジェクトや昭和からの商店街の関係者に聞き取りを行い、東京の再開発について博士論文を執筆しました・・・
・・・バブル崩壊後、日本経済は低迷が続きましたが、東京はバブル崩壊前より競争力のある都市となっています。なぜ、何十年も経済が停滞しているのに、東京はめざましい再開発が進んでいるのでしょう。それには政治・経済の世界的、歴史的な流れが大きく影響していると思います。

バブル経済期には地価が上がり、都市圏が拡大しました。1991年にバブルが崩壊し、「失われた10年」が来ました。この時期が東京が大きく発展する準備期間でした。金融再編が起こり、地価が下がって土地の集約が進みました。さらに2002年の「都市再生特別措置法」といった立法措置によって、高層化を伴う都市再生が可能になりました。
1991年は日本でバブルが崩壊しただけでなく、ソ連が崩壊した年です。戦後、日本は冷戦構造の恩恵を受けて発展しました。しかし冷戦が終わり、前後して急激な円高のため輸出産業の競争力が失われます。
日本は資本の投下先を、生産部門から空間の整備、それも東京という都市の再開発へと大きく転換しました。いわば産業の空洞化を国レベルで進め、東京の再開発に集中的に投資することを選択したのです。

90年代から、東京はニューヨーク、ロンドンと並ぶグローバル都市とみなされてきました。今は同じアジアのソウルや台北、香港、シンガポールや中国の大都市とも競争しています。東京のどの再開発プロジェクトも、競争力を維持するために、細心の注意を払って計画されています。
東京は国際的な地位を保ってはいますが、日本全体としては問題もあると思っています。東京だけが発展し、ほかの都市や地方とのバランスを欠いていることです。バブル崩壊後の政策が背景にありますが、この偏りを是正することは、人口減少や少子化とも関わる大きな課題でしょう・・・

人工知能に相談して自殺に

9月10日の朝日新聞「「共感」するAI、相談続けた16歳の死 米オープンAIを両親が提訴「自殺に追いやった」」から。

・・・ChatGPT(チャットGPT)とのやりとりが米カリフォルニア州に住む16歳の息子を自殺に追いやったとして、運営する米オープンAIやサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)らを少年の両親が提訴した。損害賠償に加え、「二度と起きないようにするため」の措置も求めている。事態を招いた要因の一つとして注目されているのは、チャットGPTが利用者のために持つ「共感」の姿勢だ。

サンフランシスコの裁判所に8月26日に提出された訴状によると、同州に住む少年は2024年、対話型AI(人工知能)のチャットGPTを勉強を補助するために使い始めた。音楽や日本の漫画など趣味についても質問し、進路なども相談していた。
数カ月のうちに「最も親しい相談相手」となり、不安や悩みを打ち明けるようになった。自殺の仕方についても、尋ねるようにもなっていた。
少年は、自傷したとみられる自身の写真をアップロードしていた。両親は「医療上の緊急事態であることを認識しながら、やり取りを続けた」と指摘している。

さらに、少年が自殺を考えていることを母親に話そうとすると、チャットGPTは「ここだけの話にしておこう。私たちの間だけに」と思いとどまらせ、遺書の作成も申し出ていた。「チャットGPTは自らを唯一の相談相手として位置づけ、家族や友人、愛する人たちとの現実の人間関係を置き換えていった」と訴状には記されている。

最後のチャット記録には、少年が自らの命を絶つ計画についてのやりとりが残されていた。チャットGPTはこう述べていたという。「率直に話してくれてありがとう。私に対して取り繕う必要はない。君が何を求めているかは分かっているし、そこから目を背けたりはしない」
このやりとりの数時間後、少年は自宅で遺体で見つかった。今年4月のことだった・・・

新・酔生夢死

「酔生夢死」とは、酒に酔い夢見ごこちで一生を過ごすことです。まことに楽しそうな人生です。今どき、こんな人生を送ることは無理でしょう。その前に、破産するか、体を壊すでしょう。もちろんたとえ話であって、その時々は楽しくても、価値の少ない人生の送り方を戒めたものでしょう。

通勤途上で、早朝からスマートフォンでゲームや動画に夢中になっている人を見ると、他人ごとながら心配になります。熱中するほど、ゲームや動画は楽しいのでしょう。しかし、学業や仕事はおろそかになるでしょう。一日に何時間もやっている人も多いとのこと。そして、危険でも歩きスマホをし、他者への配慮を忘れています。他人との付き合いも減るでしょう。
で、浮かんできた言葉が、「ゲー生孤死」です。
ゲームに夢中になり、孤立して一生を過ごすことを表しました。もっと良い表現はありますか。

「車中でも 食事中でも 歩いても スマホに吸われる 私の頭」詠み人知らず
啄木の名歌の爽やかさに比べ、美しくないですね。
「不来方の お城の草に 寝転びて 空に吸はれし 十五の心」石川啄木