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生き様-明るい課長講座

在宅勤務、気持ちの切り替え方法

8月17日の日経新聞夕刊「照明や風呂でゆったり感 在宅勤務のチルアウト」から。
・・・新型コロナウイルス禍で終わりの見えないステイホーム。仕事とプライベートの切り替えに悩む人は、ゆったりとした「チルアウト(くつろぎ)」の時間を取り入れてはどうか。朝にお決まりの作業をして仕事の意欲を高める「モーニングルーティン」が注目されたが、夜のチルアウトとセットにするとメリハリがつきそうだ・・・

在宅勤務では、オフの時間に精神面での疲れも癒やすことが課題になっている。夜の時間に気持ちを整理し、ストレスを軽減するコツを、明治大学教授で「どうしたらストレスフリーに生きられますか?」の著者、堀田秀吾さんに聞いた。
――在宅勤務での疲れを軽減するために、オフはどのように過ごすべきですか。
「コロナ禍では、プライベート空間の自宅で朝から晩まで過ごし、そこに仕事が取りこまれている。加えて、現代は情報技術の発達で多くの情報が入ってくる『過剰情報環境』にある。脳は疲れ切ってしまった状況になっている。一日のオフの時間では、デジタル環境を断食のように絶つデジタルデトックスの時間をつくった方が良い」
「特にSNS(交流サイト)を見ると、他者との比較をするなどして不安感などが増幅されてしまいがちだ。海外の大学が1000人以上を対象に行った実験では、デジタルデトックスをした成人の幸福度が上がったとする研究成果も出ている」

「チルアウト」では意味がわからず、「くつろぎ」の方が通じますよね。これも「言葉の商品」ですかね。

職場で孤立させない

8月20日の朝日新聞ひと欄に、植田陽子さんの「学校看護師の「豊中方式」を全国に広げる」が載っていました。

・・・「学校で働く看護師が辞めないようにしてほしい」。そう上司から言われたのが20年前。大阪府豊中市立病院の看護師から畑違いの教育委員会に異動になった時だ。
豊中市では、人工呼吸器などの医療的ケアが必要な子どもを地域の小中学校で受け入れ、学校に看護師が配置されている。だが、その離職率が高かった。
「異質な環境で相談相手がいなくて孤独だった」と分析し、看護師を集めて意見を聴くことから始めた。どの子でも担当できるようにマニュアルを整え、日替わりで教委から学校に派遣するやり方に変えた。看護師の負担が減り離職率も低下。「豊中方式」として注目されるようになった・・・

なるほど、良い方法ですね。たくさんの人が働く職場でも、さまざまな職種がいてそれぞれの職員が少ないところもあります。その人たちを孤立させないことは重要です。
東日本大震災での復興の際に、地方の中小企業に採用された社員が、同期や同年齢の社員がいなくて孤独だという問題を聞きました。その問題に取り組んでいるところもあります。人手不足解消は、採用活動だけでなく、採用後の定着も重要です。「マチリク、町ぐるみで採用する

業績を左右する社風

会社にしろ、役所にしろ、あるいは学校にしろ、その会社の概要説明や内部規則だけでは、それぞれの組織の「体質」はわかりません。同じ業種でも会社が違えば、社風が異なります。霞が関の各省でも、社風が違います。それによって、楽しい職場であったり、業績が上がったりします。その逆もあります。企業風土、企業文化とも言われます。社風やお国柄が組織や国を強くすることは、私の研究対象の一つです。参考「組織の能力5。仕事の仕方と社風を作る」「福澤武さん、社風を変える2

週刊『日経ビジネス』8月16日号は、特集「良い社風、悪い社風 不祥事の根源か、改革の妙薬か」です。日経ビジネス電子版には、「三菱電機、みずほ、不祥事企業「誌上覆面座談会」 原因は社風に?」が載っています。覆面座談会は信憑性に疑いがあるのですが、一部を紹介します。これを読んでも、社風を変えることは大変でしょうね。

・・・日経ビジネスは不祥事を繰り返す企業の現役社員のインタビューを実施した。登場してもらうのは、2021年6月に長期にわたる組織的な検査不正をしていたことが発覚した三菱電機、2月から3月にかけて3度目となる大規模なシステム障害を起こしたみずほ銀行、15年に不正会計、20年以降には経済産業省と共同で株主に圧力をかけた問題が指摘された東芝の現役社員だ。自らが勤める会社の社風をどう捉えているのか・・・

ー企業で不祥事が起きると、根底には「あしき社風」があると指摘されます。勤務している企業の社風をどう捉えていますか。
三菱電機社員のDさん(40代):上司に意見を言わない風土はある。事業本部だと、担当、課長、部長、事業部長、本部長という序列があるが、トップである本部長は神のような存在だ。部長が本部長に直接話すと、間にいる事業部長はいい顔をしない。
本部長は(年度によって異なるが)いわゆる「1億円プレーヤー」だ。報酬の高さからこのポジションを目指す人は多く、上への忖度が半端ない。顧客と話していても「三菱電機は管理職の権限が強すぎる」とよく言われる。これが(経営陣も会見などで指摘している)「上にものが言えない風土」なのかなと。

東芝幹部社員のTさん(40代):よく言えば真面目、悪く言えば従順かな。仮に変だと思っても上が決めたことをやってしまう風土がある。
ただ、事業部門によって文化は違う。もう手放したけど、パソコンや半導体メモリー事業は動きが速く、自ら市場を開拓するためガツガツした感じだった。一方で重電はややのんびりしている。官公庁向けの業務も多く、顧客を見て仕事をしている雰囲気だ。

ーみずほ銀行はどうですか。第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が合併して生まれましたが、どこかの社風を引き継いでいるのでしょうか。
みずほ銀行行員のMさん(50代):うーん、どこの社風というのは正直ない。ただ、興銀系のエリート意識はまだどこかに残っている。あとは縄張り争い。リテールが強かった一勧と富士で、それぞれ負けん気を出して行内で競い合った。そのパワーを外に向ければいいのに、内々の競争に使うんだから競合に勝てない。さんざんトラブルを起こしてきたシステム障害もこういった風土が影響していると感じている。
結局、「対等合併」という美名の下でくっついたのが良くなかった。主従がはっきりしていれば、内外から見てもわかりやすい。ところが、対等なんて適当なことを言うから、その後の縄張り争いにつながってしまった。今の社風を端的に表すなら「3行の悪いところだけ足し合わせた」という感じかな(笑)。

 

非認知能力

「非認知能力」って、ご存じですか。
時々目にするので、何のことか気になっていました。インターネットで検索すると、いくつか参考になる記事が見つかります。これだという記述は、見つからないのですが。

学力テストなどで測ることができない個人の能力です。意欲、忍耐力、自制心、協調性、コミュニケーション能力などがあげられています。
学術研究によって、非認知能力の高さが、学歴や収入に影響することが明らかになっています。また、学力のように1人で身につけられるものではなく、集団行動を通じて養われるものが多いといわれています。

えらく難しいことをいっているようですが、私たちがふだん経験し、知っていることですよね。
勉強ができるだけでは、職場ではよい成績を上げることができません。忍耐力や自制心は、ある程度は学力に伴うことがあるでしょう。勉強を続けることができたのですから。しかし、自己中心的で協調性のない人、ある案に対して批判するのは得意だけど代案を出さない人・・・私の若いときは、そのような人は「天動説」「学者」と批判されました。

採用面接は、それを見抜こうとしています。体育会系の部活動出身者が高く評価されるのは、それに取り組もうとした意欲、続けた忍耐力、集団行動ができる協調性があると評価されるのです。もちろん、認知能力(頭の良さ)を備えた上でのことです。
小学校ではしばしば、「知育、体育、徳育」の三つを教育の目標としています。この点を踏まえたことでしょう。
頭ばっかりでも、体ばっかりでも、ダメよね」は、プチダノンの宣伝でした。

ところで、非認知能力という表現では、内容がよくわかりませんね。子どもや子どもを持つ親にもわかるような、もっとよい表現はないのでしょうか。

人の話を聞いて自分の間違いを知る

7月29日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」菰田正信・三井不動産社長の「厳しい時こそ夢あるビジョン」から。

――軸がぶれない点はリーダーの資質でしょうか。
「気をつけないといけないのが自分の信念が間違っている時です。軸がぶれないことは大事ですが、間違っていた場合は会社として最悪な状況になります。自戒を込めて振り返ると、働き方に対する考えは改める必要性がありました。かつては私自身も、24時間365日、家庭を顧みずに仕事をすることが当然という社風の中で働いていました」
「社長に就いて2~3年目のとき、ある方の講演を聴きました。人口減少時代では、少ない人材でも一人ひとりが最大限の能力を発揮できることを考えるべきだと説いていたのです。私は働き方を変えないと駄目だとその場で学び、自分自身の信念を変えました」

――自分の信念を変えるのは簡単でありません。
「私も素直に変えられる方ではないです。ただ、経営者として人の話をよく聞くことを心がけています。取締役会や幹部会を含め、大きな事業を決める時ほど人の話を聞くようにしています。自分を変えることは難しいです。しかし、人の話に謙虚に耳を傾けることで、ひょっとしたら自分は間違っているのではないかと気付くことができます。自己のリスク管理のためにも重要だと思っています」