部下の前に上司を育てる

10月4日の日経新聞に、「働きがいは何ですか(3)ライオン、まず上司を育てる 上下の壁壊し 能力発揮 全管理職に半年間の実習」が載っていました。管理職には、ぜひ読んでいただきたい内容です。

・・・管理職は本当に部下を理解し育てているのか――。2019年に「働きがい改革」を始めたライオンは、全管理職600人に、部下との関係を6カ月かけ再定義する「関係性向上プログラム」参加を義務付けた。職場の人間関係が働きがいを左右すると考える企業はライオン以外でも増えている・・・

・・・約130年の歴史を持ち「社員の愛社精神も非常に強い」(関屋氏)ライオンが働きがい改革を始めたのもそのためだ。同社の考える働きがいは、社員が企業人、家庭人として充実した生活を送り、自ら成長していくというもの。上下の関係性を改善して認め合い「部下が本音で話す心理的な安心感が必要だ」(関屋氏)。「100年後も歯磨きの会社でいいのか」との問題意識も強く、働きがいを感じ、能力を発揮できる若手を増やすことが事業変革につながると期待する。
新任管理職を対象とした以前の研修で「(さらに上のクラスの)上司が変わらねば新風土は醸成できない」と指摘され、関係を築けぬ上司が阻害要因になる危険性は分かっていた。
そこで同社は(1)部下の考えを取り込みながら未来を示す「オーセンティック(信頼感のある)リーダーシップ」を打ち立てる(2)異なる職場でも部下への接し方に差がないようにする――を目標とする独自プログラムを今夏から始めた・・・
・・・上司が変われば部下との関係性は改善するか。研究開発本部ではその効果を示すような経験があった。
同本部人事担当の田淵照人副主席研究員は「18年の調査で『キャリアへの助言が不十分』などの声が出て、若手の働きがいの低下が判明した」と話す。対策として管理職に部下への関心を高めるために、部下に対し1~2週に一度のインタビューを継続させたところ「上司の壁が低くなり改善が確認できた」・・・

記事には、「仕事の満足度左右 上司→部下の理解不足」の数値も載っています。
ある調査では、上司から理解されていないと感じる従業員で「職場に満足」と答えた割合は6%です。反対に、上司に理解されていると感じている従業員は68%が満足しています。
では、どの程度の上司が部下を理解しているか。「上司は自分を理解している」と答えた部下は42%、「理解していない」が25%、「どちらでもない」が33%です。
部下が上司に理解してほしい点の上位3つは、「これまでの業務」「業務への希望・不満」「性格」です。(カオナビHRテクノロジー総研、2018年末の調査)