カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

なぜ思いつかなかったのか

2月2日の日経新聞経済教室、森川博之・東京大学教授の「気づきと共感が価値の源泉 製造業のデジタル化」に次のような文章があります。

・・・経営学者のピーター・ドッラカーの言葉に「イノベーションに対する最高の賛辞は『なぜ思いつかなかったのか』である」というものがある。もちろん、隠れたニーズに気づくことは容易ではない。容易ではないと認識しながら、現場を深く見直し、デジタル化すべきプロセスに気づく努力を続けるしかない・・・

そうですよね。私たち行政の仕事も、「世紀の大発見」や「人類初の・・・」といった発明や発見ではありません。でも、改善することは、いくつも出てきます。
それを、どのようにして早く見つけるか。一人で自席で考えていても、思いつきません。
発見する方法の一つは、住民やマスコミからの「苦情」です。改善のきっかけが含まれている場合があります。
もう一つは、外に出て外の人と意見交換することです。広い視野から見ると、違ったものが見えてきます。

職員のやる気を引き出す

社員や職員にやる気を持って仕事をしてもらう。どの組織、どの管理職にとっても、最も重要なことの一つです。なぜ、それが、近年大きな問題になるのか。この問題は、時代と地域を越えた共通課題であるとともに、違った要因もあります。
すなわち、貧しい時代や失業の恐れがある時代は、給料が良く安定している、そしてつらくない職場であれば、多くの職員が満足しました。経済成長期には、つらくて貧しいことの多い農業や自営業から、会社勤めが憧れでした。しかし、多くの人が会社員になり、それなりの給料をもらえるようになった今では、給料と安定だけでは、職員はやりがいを持ちません。

1月29日の日経新聞の広告の中で、パーソル総合研究所の井上亮太郎・主任研究員の分析が載っていました。ワーク・ライフ・バランス、自己成長、満足な報酬、やりがいがある仕事、自分の居場所などです。参考「はたらく上で「幸せ/不幸せ」を感じる要因
職員は、給料のためだけに働いているのではありません。職場と職業は、居場所であり、自分を認めてもらう場所です。

1月31日の朝日新聞生活面、「(テレワーク考)社員同士褒め合い、やる気も給与もアップ」には、次のような事例が紹介されていました。
・・・ 新型コロナウイルスの感染拡大から1年余りの昨年3月、男性下着メーカー「TOOT」(トゥート)の枡野恵也社長(39)は本社がある東京を離れ、岡山県倉敷市に家族で移り住んだ。「コロナ禍の前から考えていた。私が手取り足取り指示ができなくなることで、社員が自発的に仕事をするきっかけにしたかった」と話す。
枡野さんは、テレワークでコミュニケーションが希薄化することを心配し、朝礼や夕礼をするなど、さまざまな手を打った。

ユニークなのは「ピアボーナス」。「ピア(仲間)」と「ボーナス(報酬)」を合わせた言葉で、社員同士で行動を評価し、ボーナスを贈り合う。
仕組みはこうだ。一緒に働いた人のうち「頑張った」と思う人の名前と理由を週に1回、会社に伝える。名前をあげられた人は推薦者1人あたり3千円を給与に上乗せされ、理由も伝えられる。5人から推されれば、1万5千円の臨時収入と称賛を手にできる。
推された社員のやる気が高まるだけではない。推薦する側は「同僚のよいところ探し」が必要なため、テレワークで起こりがちな「自己完結」を防ぐことにつながる。枡野さんは「人を褒めることで自身も前向きになる」と話す・・・

ウエッブ会議の限界2

「ウエッブ会議の限界」の続きです。
もう一つは、「リモート会議には廊下や逃げ場がないこと」が指摘されていました。
確かに、ウエッブ会議は、カメラを消さない限り画面(カメラ)を見ていなければならず、サボれません。しかも、カメラや画面との距離は50センチほどです。気が詰まりますよね。顔を写さず資料が写っている場合は、逆にサボり放題ですが。

コロナがないとして、小さな机を囲んで数人が顔をつきあわせて会議をしている様子を想像してください。目の前に上司や同僚の顔があるのです。仕事になりませんよね。
それ以外でも、対面の会議と何か違います。私はウエッブ会議でもしばしば脱線した発言をするのですが、普通の職員にとって画面の上で冗談を言ったり、口を挟むことは気が引けるでしょう。

自動車のハンドルには、遊びがあります。少し回しただけではすぐタイヤの角度が変わらないようになっています。遊びがないと少しちょっとハンドルを切っただけでタイヤが動いてしまい、ふらついて運転しにくいそうです。また、道路の凹凸でタイヤが動き、それがハンドルに伝わってハンドルが常時震えるのだそうです。

皆さんの毎日の仕事ぶりを振り返ってみてください。勤務時間の8時間中、ずーっと仕事をしているわけではありませんよね。人間の緊張は、そんなに長時間続きません。息抜きが必要です。もっとも、息抜きばかりしていると、評価は下がります。

私のホームページが職員研修に

このホームページを見てくださっている方から、「読んでますよ」といった連絡をもらいます。「明るい課長講座」や「私の読んだ本」を参考にしてもらっているようです。「体験談」は若い官僚たちに、「そんな時代もあったのだ」という感覚で読まれているようです。昭和の公務員は、現在の公務員から見ると化石ですかね。
それとともに、文章の間違いの指摘を受けたりもします。ありがたいことです。一人編集長は、書いた文章の間違いをしばしば見落とします。皆さんも、気づかれたらお知らせください。

先日、ある市の課長さんから、次のような趣旨の連絡をいただきました。
「課長になり、部下指導について悩んでいた時に『管理職のオキテ』に出会いました。そして、その内容を実践するようになり、管理職としての仕事が面白くなりました」
「部下育成のために「明るい課長講座」の記事を課の職員に読ませ、議論しています」

ありがとうございます。どんどんご活用ください。

ウエッブ会議の限界

1月28日の日経新聞に「アフターコロナのオフィス戦略」という、2021年11月に行われたウエッブセミナーの概要が載っていました。そこに載っていたことで興味深かったことを、2つ取り上げます。

一つは、「新しいアイデアを生むには、雑談やたわいない情報交換を通じてヒントを探すこと」が挙げられていました。かつては喫煙所が、この役割を果たしていたとも指摘されています。さまざまな立場の人が集まる、貴重な情報交換の場でした。
最近は給湯所、お茶を入れる場所が、喫煙所の代わりになっているようです。

アイデアのヒントをもらうだけでなく、集まって仕事以外の雑談をすることは、仕事を進める上で不可欠です。職場でなら、仕事で困ったとき、ちょっとしたことを周りの人に聞くことができるのです。改めて電子メールで質問するほどのことではない、あるいは誰に何を聞いて良いか分からないことは多いです。職場でなら、本人が手を挙げる、あるいは周囲が気がついて助言できます。

また、上司や同僚からは、職員の状態を把握する上で、対面は必須です。在宅勤務で電子メールや画面を通じてでは、職員の状況を把握するのは難しく、若手特に新入社員を指導することは無理です。
この項続く。