カテゴリーアーカイブ:人生の達人

野本弘文・東急会長、各組織の論理と全体を見る目

2024年3月30日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、3月の「野本弘文・東急会長の若き日の苦労」の続きです。今日は、3月16日の「開発事業」から。子会社社長から本社の開発事業部長に就任されます。

・・・たまプラーザ駅周辺でも大規模な再開発が進んでいた。・・・私が着任したとき、すでに段階的に開発・工事は進んでいたが、計画を変える大きな提案をした。
「駅を覆う大きな屋根をかけなきゃだめだ」。駅と商業施設を一体化するのが目的で、雨の時も傘なしで移動できる。外光をしっかりと取り入れ明るい空間を創り出す。見積もりを取ると10億円強。鉄道部門はそんなお金は出せないという。「それなら駅の施設ではあるが、開発部門のほうで出そう」と、自分の責任で引き受けた。私が担当する前にも屋根をつけたほうがいいという議論はあったらしいが、誰が責任を持つか、なかなか決断にまで至らなかったときく。

組織の論理だと、どうしても事業収支を考えコスト面を優先しがちだが、お金をかけた分は、それに見合う収入を会社全体で増やせばいいのだ。快適で楽しい場所になればお客様は来てくれるはずだ。後日、鉄道建築協会の「最優秀協会賞」を受賞し、駅の乗降客も増え、商業施設にも連日遠方から多くの方が来店するようになった・・・

もう一つ、後ろ向きの姿勢と前向きの姿勢について。
・・・バブル崩壊以降、10年以上にわたって、内向きの姿勢で事業の立て直しに多くの時間を費やさざるを得なかった東急グループ。「選択と集中」を掲げ、大なたを振るってきたが、主要事業の一角であるホテルやスーパーマーケットは、いまだ収益的な課題があり、その改善が急務であった。
「責任ではなく原因を追究しましょう」。越村敏昭社長に進言した。「たしかにそうだな」。誰に責任があるかというアプローチではなく、ビジネスの問題点を冷静に洗い出し、その原因を追究することが大事である。言い出しっぺがやれということで、私が構造改革のプロジェクトも担当することになった・・・

「上位下達」

2024年3月27日   岡本全勝

「上位下達とは、上位の者の意志や命令を下位の者に徹底させること。下意上達とは、下位の人たちの意見や考えが上位の人に届くこと」
この文章の間違いを正せ。

わかりますか。「上位下達」は、「上意下達」の間違いです。先日、やらかしてしまいました。
職員研修で使う投影資料でです。中間管理職の仕事を説明する際に図を描いて、その横にこの言葉を添えてあります。漢字変換する際に、間違ったようです。この資料はもう何回も使っているのですが、気がつきませんでした。反省。
見た人から指摘を受けました。ありがとうございます。

さらに調べていて、もう一つの間違いに気がつきました。「上意下達」は「ジョーイゲダツ」「ジョーイカタツ」のどちらの読み方もあると思っていたのですが、「ジョーイカタツ」が正しいのだそうです。「NHK放送文化研究所

社員の育て方改革、タテ組織のOJTに限界

2024年3月27日   岡本全勝

3月11日の日経新聞オピニオン欄に、原田亮介・論説主幹の「Z世代社員の「育て方改革」 タテ組織のOJTに限界」が載っていました。

・・・人手不足で人材獲得競争が激しさを増すなか、企業が若手の育成に苦労している。転職も含めて自分のキャリア形成を重視する「Z世代」の価値観が、伝統的なタテ割り組織とかみ合わないからだ。職場内訓練(OJT)で育てる従来のやり方には限界があり、企業も「育て方改革」に動き出している・・・

・・・いま30歳までの若者は、一般には1990年代後半から2012年までに生まれたZ世代と呼ばれる。その育て方に一石を投じたパナソニックのイベントには他の会社からの照会が相次いでいる。実際どの会社も悩みは多い。
「40代以上は一定の価値観で育っているが、Z世代の価値観は多様。人事部もどうマネジメントすればいいか悶絶している」。20年も転職支援に取り組んできた人材会社のあるトップは今までにない世代、とみる。

第1の特徴は有給休暇の取得やリモート勤務を重視する層が増えていること。残業などで自分の時間を侵食される職場を選びたがらない。働き方改革、コロナの影響が意識を変えている。
第2の特徴は就職時に最初から転職を視野に入れている層が増えていること。リクルートワークス研究所が19〜21年に就職した人を対象にした調査によると、今の会社に定年まで働きたい人は2割にとどまる。「すぐにでも退職したい」と「2、3年は働き続けたい」を合計すると半数近い44.5%に達する。
3つ目はキャリア(仕事の専門性)を会社ごと、職場ごとに伝承してきた企業の組織文化に対し、キャリアは自分に蓄積され、転職しても持ち運ぶという意識が高いことが特徴にあげられる。
4つ目の特徴は、タテよりもヨコのつながりを重視する考え方だ。SNSを使い慣れ、同級生や同期のコミュニティーで立ち位置をいつも確認してきた。上司よりも異なる職場や違う会社の同世代がどう働いているかに関心が強く、副業にも意欲的だ・・・

・・・もう一つ気がかりなことがある。企業は年功部分を反映して従来厚めだった中高年への配分を見直し、初任給の引き上げなど若手に手厚い配分に改め、賃金カーブをフラット化させつつある。取り残される中高年は賃上げの実感に乏しく不満がたまりやすい。
また若手の指導役の中間管理職は通常業務以外に、若手のキャリアプランの作成などを求められており、負荷が増している。その処遇を手厚くし、コーチング研修などを強化しないとうまくいかない・・・

やる気を引き出す励まし話法

2024年3月24日   岡本全勝

2月27日の日経新聞夕刊に、日本ペップトーク普及協会 教育普及部副部長・乾倫子さんの「やる気を引き出す励まし話法」が載っていました。部下育ての基本は、しかるより褒めるですが、子育ても同じですよね。詳しくは記事をお読みください。

・・・子どもにしてほしいことをうまく伝えるにはどうしたらいいか。ポジティブな言い方で相手のやる気を引き出す米国生まれの話法がある。スポーツ指導のほか教育やビジネスの現場でも活用されるこの話法を家庭で実践し、子どものやる気を引き出す方法について、日本ペップトーク普及協会の教育普及部副部長、乾倫子さんの助言を紹介する。

この話法は「ペップトーク(Pep Talk)」と呼ばれ、直訳は「励ましの言葉かけ、応援演説」という意味だ。米国発祥で、もともとはスポーツの試合前に監督がロッカールームで選手を励ますための短いスピーチのことを指す。
2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝戦の前に大谷翔平選手がチームメートに投げかけた「憧れるのをやめましょう。(中略)勝つことだけを考えていきましょう」という言葉は、典型的なペップトークだ。

ペップトークは次の4つのステップで進める。
【ステップ1=受容】事実や相手の感情を受け入れ、共感を示す。子どもの気持ちを聞く際はイエス・ノーで答える質問ではなく、「今どんな気持ち?」「何を頑張りたい?」など自分の言葉で答えられる質問をする。

【ステップ2=承認】次にとらえ方をポジティブに変換する。コツは「ない」ものでなく「ある」ものに目を向けること。例えば雨天のとき、「外で体育はできないね」とネガティブにとらえず、「お気に入りの傘が使えるね」とポジティブな面に目を向ける。

【ステップ3=行動】してほしいことを分かりやすく伝える。「走らないで」と伝えると、子どもの脳内には走る場面が浮かんでしまうので、「ゆっくり歩こう」などとしてほしいことをシンプルに伝える。

【ステップ4=激励】その上で子どもの性格に応じた言葉で励ます。「困ったら手伝うからね」と安心感を与える言い方や、「○○ちゃんなら絶対できるよ! 全力でやってみよう」と背中を押す言い方など、子どもが言ってほしいと思う言葉を選ぶのが効果的だ・・・

計画に振り回される

2024年3月21日   岡本全勝

3月1日の朝日新聞オピニオン欄「計画に振り回される」、藤江太郎・味の素社長の「中計やめた、打つ手機敏に」から。

・・・昨年、中期経営計画(中計)をやめると発表しました。十数年前から考えていたことです。3年先の社会や経済状況がどうなっているかなんて分からないのに、精緻に計画を作り込むことに疑問を抱きました。

中計作りに費やすエネルギーはかなりのもので、「出来た時には疲れ果てて実行する余力がない」という冗談みたいなことが起きていました。目標をクリアするために、最終年度につじつま合わせができてしまうことにも違和感がありました。当時は、役員会などで「中計やめた方がいいですよ」と言うと、「何言ってるんだ」とよく怒られたものですが、一方で、現場の多くの社員は「また中計の季節がきちゃったか」と否定的な感覚を持っていました。それでも「中計は作らなければならない」という認識でした。あるのが当たり前だったんです。

短期的な経営計画は、数字を「敵」にしてしまいます。細かな目標が示され、部門ごとの目標達成率がボーナスなどに影響しました。そうなると、「いかに達成しやすい目標を設定するか」という悪循環が起きてしまう。あらゆる理由をつけて無理のない目標にできるのが「いいマネジャー」でした。挑戦しづらくしているこの仕組みもやめました。
だからと言って、無計画なわけではもちろんありません。今、2030年の「ありたい姿」を示し、そこに向かうためのロードマップを作っています。挑戦的で野心的な目標を設定し、機敏に打つ手を変えていく。そのための実行力を磨く経営にシフトしようとしています・・・

続きは、原文をお読みください。