計画に振り回される

3月1日の朝日新聞オピニオン欄「計画に振り回される」、藤江太郎・味の素社長の「中計やめた、打つ手機敏に」から。

・・・昨年、中期経営計画(中計)をやめると発表しました。十数年前から考えていたことです。3年先の社会や経済状況がどうなっているかなんて分からないのに、精緻に計画を作り込むことに疑問を抱きました。

中計作りに費やすエネルギーはかなりのもので、「出来た時には疲れ果てて実行する余力がない」という冗談みたいなことが起きていました。目標をクリアするために、最終年度につじつま合わせができてしまうことにも違和感がありました。当時は、役員会などで「中計やめた方がいいですよ」と言うと、「何言ってるんだ」とよく怒られたものですが、一方で、現場の多くの社員は「また中計の季節がきちゃったか」と否定的な感覚を持っていました。それでも「中計は作らなければならない」という認識でした。あるのが当たり前だったんです。

短期的な経営計画は、数字を「敵」にしてしまいます。細かな目標が示され、部門ごとの目標達成率がボーナスなどに影響しました。そうなると、「いかに達成しやすい目標を設定するか」という悪循環が起きてしまう。あらゆる理由をつけて無理のない目標にできるのが「いいマネジャー」でした。挑戦しづらくしているこの仕組みもやめました。
だからと言って、無計画なわけではもちろんありません。今、2030年の「ありたい姿」を示し、そこに向かうためのロードマップを作っています。挑戦的で野心的な目標を設定し、機敏に打つ手を変えていく。そのための実行力を磨く経営にシフトしようとしています・・・

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