カテゴリーアーカイブ:人生の達人

鹿島茂さんの「ノートル=ダム・ド・パリ」

2018年2月12日   岡本全勝

鹿島茂さんが、NHKEテレ「100分de名著」でヴィクトル・ユゴーの「ノートル=ダム・ド・パリ」を解説しておられます。私は、テキストを読んだだけですが。
「ノートルダムのせむし男」は、多くの人が聞いたことがあるのではないでしょうか。でも、先生がおっしゃっているように、原作を読んだ人は少ないでしょう。私もその一人です。
鹿島先生の書かれるものは、とても面白いので、テキストを本屋で手に取りました。

いや~、面白いです。鹿島先生ワールドが、炸裂です。
小説の背景、登場人物の個性、人間関係の構図、さらに作者の意図、書かれた時代背景、作者の育ちと培われた人間観・・・。もう原作を離れて、鹿島先生による、中世パリの案内と人間の葛藤、そしてユゴーが生きた時代の「豪華な展覧会」です。
小説も、このような解説を読んでからもう一度読むと、違ったものが見えてくるでしょうね。

難しい判断、比較不能なものの選択

2018年2月9日   岡本全勝

表題を見ると、「どんな難しいことか」と思われた方もおられるでしょう。今日書くのは、もっと身近な話題です。
小さなことながら、私たちは毎日、決断を迫られています。
風邪気味で熱があるとき、職場に出勤するかどうか。体調の悪さと、その日の仕事の重要性とを比較しながら、判断するでしょう。
夜の飲み会が予定されているのに、夕方急に急ぎの仕事が入ったとき。飲み会を優先するのか、仕事を優先するのか。
同じ時間に、Aさんに誘われた会合と、Bさんの会合が、ぶつかったとき。どちらを断るか。
それぞれに、自分で判断しなければなりません。

親族が死んだときに、どの程度休みを取るかは、規則で休暇の基準が決まっています。これは、一つの標準があるので、それに従うかどうかになります。難しく考えないなら、規定通りに休めば良いです。

東京駅から新宿の会合場所まで、たくさんある経路のうち、どれを選べば早く着くか。これは、コンピュータが選んでくれます。しかし、上に書いたような問題は、どちらを優先するか、客観的な科学的な物差しがないのです。
それが「比較不能なものの選択」です。これは、高等数学でも、AIでも解けません。長谷部恭男先生に『比較不能な価値の迷路―リベラル・デモクラシーの憲法理論』(2000年、東大出版会)という著書があります。

コンピュータが解けない問題にも、2種類あります。
朝食を、ご飯にするかパンにするか。これは、気分で決めても問題ないでしょう。結婚相手に、Cさんを選ぶかDさんを選ぶか。これは大きな問題で、あなたの人生は大きく変わります。しかし、好き嫌いで選んでも、あなたが納得すれば良いことです。
しかし、Aさんの会を優先するのか、Bさんの会を優先するのかの場合、どちらにどのように説明して断るのか。あなたのこれからの、職場人生を左右するかもしれません(笑い)。結婚相手を選ぶより、難しい判断なのです。
この2つの差は、結果が本人限りですむ問題と、周りの人たちとの関係に影響を及ぼす問題との違いです。そして、選ぶより断る方が難しいのです。

雑談力

2018年2月8日   岡本全勝

2月6日の日経新聞夕刊「Bizワザ」は、「雑談力磨き つかめ信頼 」でした。詳しくは本文を読んでいただくとして。そこに表になっていた、「雑談のコツ」が勉強になります。
・相手に関心を示すことが重要
・自分のことを話しすぎない。商談の冒頭から半分くらいまでは相手に話してもらう
・質問は「5W1H」で。相手が「はい」「いいえ」以外で答えられ、話題が広がる。
・相手と目を合わせる、相手の話にうなずくなどのボディランゲージで信頼関係を築く
・年上と話すときは「教えてください」というスタンスが基本
・年下と話すときは世代を意識した発言は避ける。背もたれにもたれないなど座り方にも注意

スマホの反対語は我慢

2018年2月7日   岡本全勝

2月4日の日経新聞文化欄、東山彰良さんの「神様だって既読スルー」から。
・・・手を触れなくてもドアが開けばいいのに。ある日、誰かがそう考えた。おかげで自動ドアができた。階段上るのタリィな、階段のほうで勝手に動いてくれればいいのに。また誰かがそう思って、エスカレーターが発明された。電気、ガス、水道、エアコン、車、飛行機。誰かの夢想が、つぎつぎに現実になっていく。恋人と愛をささやき合いたいけれど、自宅の電話ではきまりが悪いし、相手の親に取り次いでもらうのも緊張する。
さあ、携帯電話の登場だ。世の中、どんどん便利になるぞ。頭で考えただけで、世界が思いどおりになる。手紙のやりとりをしていた時代は、相手の返事が届くまで一週間でも十日でも平気で待てた。だけど、またしても誰かがもっと早く返事を欲しがった。それでeメールが開発された。おかげで文章のやりとりが格段に速く、便利になった。それでも飽き足らず、瞬時に返事を欲しがる奴が出てきた。だから、LINEが普及した・・・
・・・人生なんてままならないことだらけだ。それでも、どうにか耐えていくしかない。なのに、スマホのせいで私たちはますますこらえ性がなくなっている。私がケータイを持たないのはなにも精神鍛錬のためではないが、スマホの反対語は「我慢」なのではないかと思うのだ・・・

『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか』3

2018年2月7日   岡本全勝

世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか』の続きです。

2 消費が、「生存欲求」から「帰属欲求」「承認欲求」へ、さらに「自己実現欲求」へと向かっている。安くて良いものから、承認欲求や自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が重要になっている。

なお、著者の「消費が生存欲求から帰属欲求、承認欲求、自己実現欲求へと変わっていく」主張は「マズローの欲求5段階説」に依拠していますが、「マズローの欲求5段階説は実証実験では証明されず、アカデミアの世界では眉唾と考えられていることを知らないのか」という反論が出てくるであろうと想定して、それへの答えも書かれています。
・・・科学においては「真偽」の判定が重要になりますが、「科学的に検証できない」ということは「真偽がはっきりしていない」ということを意味するだけで、その命題が「偽」であることを意味しません・・・筆者は「アート」と「サイエンス」の両方、つまり思考における「論理」と「直感」の双方を用いており、であるが故に筆者が個人的に「直感的に正しい」と考えたものについては、必ずしも科学的根拠が明確ではない場合においても、それを「正しい」(と思う)とする前提で論を進めていることを、ここに断っておきます・・・(p18)

なお、この本はもっといろいろなことが書かれています。ここで紹介したのは、その一部です。ご関心ある方は、本をお読みください。

本書に限らず、教養としての西洋美術も注目されているようです。
1月22日の日経新聞夕刊「西洋美術、背景知って鑑賞 欧米では必須の教養 歴史学ぶ講座盛況 企業の研修で採用