カテゴリーアーカイブ:人生の達人

午後5時半からの会議

2020年1月31日   岡本全勝

先日のことです。午後6時から、マスコミの方と意見交換会を予定していました。2人のうち、予定時刻には一人(記者A)だけ現れ、もう一人(記者B)は少し遅れるとのこと。

私:何か急な事件が起きたの?
A:ある役所の説明会が、5時半から入ったので。部下であるBを出席させて、私はこちらに来ました。
私:そんな緊急な案件なの?
A:いえ、3日後の公式会議の事前説明です。
私:あんた、それに対して、文句言わなかったの。5時過ぎからの会議なんて、働き方改革違反やで。
A:そうですね。私たちは、遅くまで仕事をするのに慣れてますから。
私:それは、だめだわ。記者Bさんが、子育て中だったらどうするの。誰か代わりに、保育園に迎えに行く必要があるで。緊急な案件なら仕方ないけど、その案件なら、明日の朝にしてもらったらよかったのに。

働き方改革、意識改革の道遠し。

鎌田浩毅著『理学博士の本棚』

2020年1月26日   岡本全勝

鎌田浩毅著『理学博士の本棚』(2020年、角川新書)を紹介します。
帯とあとがきに、「科学者が愛した中古典の名著」とあります。こちらの表現の方が、わかりやすいです。古典(大古典)と呼ばれるような本ではなく、鎌田先生が若い時に読んだ本、先生の科学者人生を作ってきた本です。

挙げられている書名を見ると、皆さんも「ああ、こういう本もあったな」「私も読んだ」と、思い当たる本が並んでいます。
鎌田先生、良いところに目をつけられましたね。古典の数々は、これまでも多くの方が紹介しておられます。それに対し、ここに挙げられた本は、古典でも大古典でないもの、また、まだ古典になっていないものです。
「B級グルメ」といったら、失礼になりますが。大古典は少々敬遠する人にとっても、これらの本は、取っつきやすいでしょう。

本のあらすじ、著者の紹介だけでなく、鎌田先生がその本をどのように読んだかが載っています。これは、読書の参考になるでしょう。
そして、さらに読みたい人のために、関連する書物が並んでいます。巻末には、出てきた本と著者名の索引もついています。親切です。

いつもながら、鎌田先生はとんでもない量の本を、読んでおられますね。しかも、それを覚えておられる。脱帽です。

「世界一孤独な日本のオジサン」

2020年1月20日   岡本全勝

岡本純子著『世界一孤独な日本のオジサン』(2018年、角川新書)を読みました。面白かったです。データと実態とで、日本のオジサンの孤独をあぶり出します。それを、軽妙な語り口で伝えます。頷くことが多いです。笑いながらです。

オバサンは友達が多いのに、オジサンは少ないこと。新しい友人を作ることができないこと。会社人間が退職すると、行くところやすることがないこと。名刺がないと、生きていけないことなどなど。ふだん言われていることが、列挙されています。

「男は黙って・・」とか、以心伝心、察してくれよなどが、コミュニケーションベタをつくっているようです。おしゃべりができないこと、そして、褒めることが少ないことも。
オジサンは、他人を褒めないのに、自分のことは褒めて欲しいのです。でも、他人を褒めずに、誰があんたを褒めるんや。

関西人の方がまだましだ、との指摘もあります。私も思い当たります。外で「うちのキョーコさんは美人です」と言うと、多くの人があっけにとられ、笑います。
皆さん、自分の妻や夫を褒めないようです。外の人に向かっても、本人に向かっても。本心からであっても、ヨイショであっても、相手が喜ぶことなら良いことですよね。しかも、プレゼントよりずっと安いのですから。
口は、仕事では、お願いとお詫びをするためにあり、部下と連れ合いには、褒めるためにあります。

笑いが少ないことや、笑い方を知らないことも、指摘されています。写真を撮られても、すまし顔や口を締めて、きりっとした姿で写ります。
この本で指摘されているように、外国の経営者はニコニコして写真に写っていますよね。日本でニコニコしているのは、落語家と政治家のポスターでしょうか。

イギリスなどでも、オジサンの孤独は課題と認識され、民間での取り組みが進んでいることや、担当大臣が置かれたことなども紹介されています。
社会の問題としてだけでなく、あなたの問題として読んでください。処方箋もついていますから、実践してください。

人を傷つける天才

2020年1月19日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、今月は、鈴木茂晴・大和証券会長です。株の営業一筋から、突然、社長秘書に移動します。そこで、いろんなことを勉強されます。
16日の文章から。

・・・部下の説教でも、ちょっとした配慮があれば全然違う。私が知る支店長の中に、人の心を傷つけるボキャブラリーが天才的に豊富な人がいた。この人に怒られると、自分の存在価値がゼロのような気分になり、働く気がうせた。
一方で、ミスをしたとき「君のような優秀なやつが、どうして……」などと言われると、素直に反省し、挽回するぞと思ったものだ。

部下からみて、仕えたい上司とはどんな人か。私が思う優れた上司とは、ずばり決断できる人だ。どんなに厳しい人でも決断してくれる上司はいい上司だ。一方でやさしく人柄もいいのだが、決めてくれない上司には仕えたくない・・・

先人の経験談

2020年1月18日   岡本全勝

私は、ある人の経験談を読むのが好きです。日経新聞の「私の履歴書」も、その一つです。
英雄の伝記も悪くはないのですが、私たちの生活とはかけ離れています。その点、新聞に取り上げられる、いまを生きている、あるいは最近まで活躍された経済人などの話は、身近なのです。
特に、さまざまな危機や失敗を切り抜けてきた人たちの経験が、勉強になります。日経新聞の読者は、最後のページ(私の履歴書のページ)から読むという人も多いようです。

私の若いときは、太平洋戦争とその後の混乱を、生き抜いてきた人たちが多かったです。私の知らない世界がありました。その後は、社会も安定し、そこまで過酷な人生は少なくなりました。
とはいえ、会社勤めをしていると、本人の思ったようには、順風満帆な人生ばかりではありません。

「本社でエリートコースを歩いてきました」という社長さんの話は、面白くありません。「いくつも失敗したけど、そこで学んで出世しました」という話が、役に立ちます。
例えば、1月12日の日経新聞日曜版のインタビュー、ビームスの設楽洋社長の話。社長になり順調だった1998年、バイクレースでチームスポンサーになって優勝します。翌日の取締役会で、幹部全員から辞表を出されます。まさに「天国から地獄」だった・・・そして、その危機を乗り越えます。

私たちが失敗したとき、失意の時に、「あの人もこんな苦労をして、学習して、出世されたのだ」と。社会人にとっての、人生の応援歌です。
もっとも、本人の回顧談は、都合の悪いことは書かないでしょうし、周りの人たちがどう見ていたかも、書かれていません。それは、無い物ねだりでしょう。