投稿者アーカイブ:岡本全勝

亭主関白型から平等家庭へ、この半世紀の大転換

2019年11月10日   岡本全勝

NHKウエッブニュース、News Up「50年前の「育児書」今も支持される理由は」(11月1日掲載)に、興味深いグラフが付いています(記事の中頃です)。
「男は仕事、女は家庭」についてです。
NHK放送文化研究所が1973年から5年ごとに行っている「日本人の意識」調査の項目に、家庭における男女の在り方があります。「夫唱婦随」「夫婦自立」「性役割分担」「家庭内協力」の4つの中から、理想とする家庭を選んでもらいます。

図を見てもらうと一目瞭然なのですが。
1973年では、性役割分担が39%、夫唱婦随が22%、家庭内協力が21%、夫婦自立が15%です。性役割分担と夫唱婦随を「古典的亭主関白」と考えると、合計で61%です。家庭内協力と夫婦自立を「新しい平等家庭」と考えると、合計で36%です。
2018年では、家庭内協力が48%、夫婦自立が27%、性役割分担が15%、夫唱婦随が8%です。「新しい平等家庭」が75%で、「古典的亭主関白」は23%です。劇的に変わっています。1980年代が変わり目のようです。
元の調査は、NHK放送文化研究所「第10回「日本人の意識」調査(2018)の結果」です。

さだまさしさんの歌「関白宣言」がヒットしたのは1979年です。いまは、はやらないでしょうね。
私自身の経験でも、両親は典型的な亭主関白型でした。その息子であるわが家は随なので、この4つの選択肢にはありません。しいて言えば、性役割分担としておきましょう。両親を見て育ったので、キョーコさんとの関係を今のように築くには「コペルニクス的転換」が必要でした。私の世代の男性の多くは、同じ経験をされたと思います。
日本の家庭のあり方は、この半世紀の間に大きく変わったのです。また、変わりつつあります。子供の数、学歴、選ぶ職業、女性の社会進出、核家族・・・。

ところで、この記事は、松田道雄さんの『育児の百科』についてです。松田道雄さんの著作は、学生時代に結構読みました。いくつかの岩波新書、『俺様の宝石さ』(これは浮谷東次郎さんの文章を編集したもの)『私のアンソロジー』など、懐かしい思い出です。アマゾンで検索したら、1970年代の本も売っているのですね。

憲法を時代に合わせる仕組み

2019年11月10日   岡本全勝

10月31日の日経新聞経済教室、林知更・東京大学教授の「改憲論議の視点  冷静なエンジニアの目を」から。

・・・第三に、条文と運用の両面から憲法のメカニズムを考える場合、諸国の憲法は20世紀に大きな構造変動を経験している。これを家にたとえれば「平屋」から「2階建て」への変化と整理することができる。憲法の古典的な課題は、「物事を政治的に決める仕組み」をいかに整えるかであり、統治機構の編成こそは憲法の中核をなす。

20世紀の憲法はこの上に新たな階層を付け加えた。
それは「行われた決定を事後的に検証する仕組み」であり、違憲審査制がそれである。政治的決定はしばしば、時間的な制約の下で、一定の政治的目的を実現するために行われる。違憲審査制はこれを、憲法の定める長期的な国の基本原理に合致するか否かという観点から改めて審査する。
この仕組みの導入は、多くの国々で全体としての統治の質を高める上で重要な意味を持ったと考えられる。現代憲法がこのような構造を持つとすれば、日本の憲法の問題点を検証する際も、1階と2階それぞれの課題を区別して論じなければならないはずである。

特に、日本の違憲審査制がこの点で大きな問題を抱えていることは学界の共通認識に属しており、この論点を無視した憲法論議は考えられない。憲法を平屋構造で捉え、この事後的コントロールの問題を十分に顧慮しない改憲論は、現代憲法の基本的な水準に到達していない・・・

納得します。
憲法が作られるときは、新しい政治体制ができて、理想とする政治の仕組みや社会のあり方を宣言します。その後、時代の変化によって条文を修正したり(日本では解釈を変えることで対応してきましたが)、政治体制が変わって憲法そのものを取り替えます。
しかし、林先生が指摘しているように、宣言したあと、次に「書き換える」という過程の前に、「運用を検証する」が必要ですよね。すると、「宣言する。検証する。書き換える」という過程になるのでしょう。

連載「公共を創る」第24回

2019年11月9日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第24回「公私二元論から官共業三元論へ 公私の区分」が、発行されました。

今回から、第2章「暮らしを支える社会の要素」に入ります。
第1章では、東日本大震災を素材に、町を再建するには何が必要かを考え、再チャレンジ政策を素材に、成熟社会日本の課題を考えました。
第2章と第3章では、これらの議論を発展させて、私たちが暮らしやすい社会とは何か、それを誰がどのようにしてつくるかを、議論します。

第24回では、まず社会とは何か、そして社会と行政との関係を考えます。そのために、公私の区分を議論します。
公私の区分には、2つのものがあります。一つは、国家を公とし、市民社会や市場経済を私とする区分です。もう一つは、その市民社会の中で、世間を公とし、家庭を私とする区分です。

参考に、サッチャー元イギリス首相の有名な言葉「社会など存在しません」を紹介しました。うろ覚えだったので、回顧録で見つけようかと思いましたが、インターネットの検索ですぐに出てきました。サッチャー財団のサイトなので、確かです。便利なものです。

短かった秋、2

2019年11月9日   岡本全勝

先日この欄に、「今年は秋が短かった」と書きました。
昨日、NHKニュースを見ていたら、9日土曜日と10日日曜日の天気について「土曜日曜が両日とも晴れるのは、8月以来」と伝えていました。

そうだったのですね。
私たちは、気温や服装とともに、休日の外出で季節を感じます。今年の秋は、行楽日和が少なかった(なかった)のです。
これは、行楽地にとっても、それを楽しみにしている子供や家族にとっても、悲しいことでした。
最近、孫と公園に行っていない理由が分かりました。

給料、悪平等からの脱却

2019年11月8日   岡本全勝

11月5日の日経新聞「迫真 IT人材争奪戦 年収3000万円の衝撃」から。

・・・メーカーから小売りまで様々な企業によるIT人材の奪い合いが、終身雇用や報酬制度まで変えつつある。
「会社は本気で変わろうとしている」。そんな思いを胸に川上雄也(33)は英NTTの関連会社でクラウド開発に打ち込む。NTTコミュニケーションズの技術者だったが、管理職になり現場を離れる将来に幻滅し、3月に退職しようとした。
しかし最先端の現場にいながら厚待遇も権限も得られる人事制度ができると慰留された。今は給与も3割増しの1千万円超だ。高度技術者だと認められれば、年収は最高で3千万円になる。
新卒を大量採用して手厚く育てるNTTグループは、IT人材の供給源だ。NTT社長の澤田純(64)は「研究開発人材は35歳までに3割がGAFAなどに引き抜かれる」と打ち明ける。経済産業省によると米国ではIT人材の平均年収のピークは30代で1200万円超だが、日本では30代は520万円程度だ。

「データが3千万円まで引き上げるらしいぞ」。18年末、NTTデータの新たな人事制度を報じるニュースが流れると、ソニー本社は揺れた。最も大きな危機感を抱いたのは人事部門だった。
新卒に月40万円を払うという中国・華為技術(ファーウェイ)の発表があったばかり。シニアゼネラルマネジャーの宇野木志郎(47)は「まさに『NTTデータショック』。電機各社の賃金に対するモードが変わった」と振り返る。
宇野木は横並びだった初任給を見直し、すぐさま能力主義に変えた。19年度から優れた人工知能(AI)技術を持つ新卒社員には年130万円上乗せし、同期の平均の2割増の730万円となる。「言い方は悪いが、これまでが悪平等だった」と宇野木は吐露する・・・

・・・ただ、急速な変更は社内でのあつれきも生む。
19年3月までの1年間で、NECグループから約3000人が早期退職などに応じて去った。ある50代男性社員は「大量リストラをして若手には優遇か」と憤る・・・

新卒一括採用、年功序列、終身雇用という「日本型雇用慣行」は、崩れつつあります。世界で戦うためには、必要なことです。
もちろん、仕事の成果以上に給料をもらっていた人には、つらい時代になります。しかし、そのような不合理はもはや維持できません。成果を上げているのに、若いが故に給料が低い人から見ると、「ようやく是正されるか」と喜ばしいことでしょう。