投稿者アーカイブ:岡本全勝

子への性暴力防止、教えない大学

2026年3月24日   岡本全勝

文科省調査で、子への性暴力防止、教えない大学が14%あることがわかりました。各紙が伝えています。例えば、3月17日の朝日新聞「子への性暴力防止、教えない大学14% 文科省調査」 。

・・・教員免許取得を目指す人が学ぶ「教職課程」がある大学のうち、子どもへの性暴力防止の理解を深める授業などをしていない大学が14%あった。文部科学省の調査で16日、明らかになった。
教職課程がある大学では性暴力防止の理解を深める措置をするように、「教員による性暴力防止法」で定められている。文科省は調査結果を「非常に重く受け止めている」とし、厳しく対応する構えだ。
調査は昨年11月~今年2月に実施。教職課程がある819校すべてから回答を得た。防止法の内容などを、教職課程の授業で扱っている619校(75%)、教職課程外で扱っている89校(11%)、扱っていない111校(14%)だった。このうち、扱っていない23校は「1年以内に扱う予定がない」とも答えた。担当できる教員がいないという理由が多かった・・・
・・・性犯罪や性暴力などで懲戒処分とされた公立学校教員は、昨年度は281人。このうち子どもへの行為は134人だった。内訳は性交38人、盗撮やのぞき34人、体に触る31人、キス18人など。昨年は、教員グループがSNSで女児の盗撮画像を共有したなどとして起訴される事件も起きた・・・

教員による性暴力防止法は、2022年に施行されたとのこと。
この教職課程での教育だけでなく、現役教員への研修なども必要です。教員だけでなく、公務員や会社員にも、新しい知識やしてはいけないことが増えています。
私が気がついたのは、管理職に求められる知識に、かつてはなかったものが増えていることです。セクハラ、パワハラ、カスタマーハラスメント、個人情報保護、コンプライアンス(法令順守)、サイバーセキュリティ、職員のメンタルヘルス対応・・・・。市町村職員中央研修所では、管理職の必須知識という講座を作りました。社会はどんどん変化しています。

行政の中を考える、社会の中の行政を考える

2026年3月23日   岡本全勝

会社の中の私、私の中の会社」の続きになります。行政、そして各省や自治体の中だけを見ていては、役割や課題が見えてきません。社会の中での行政を見ると違った景色が見えてきます。連載「公共を創る」では、「内包と外延」という言葉を使いました。

「会社の中の私、私の中の会社」の考え方と図は、行政の役割を考える際にも応用できます。これまでは、行政の中の各省や自治体を深掘りしていました。しかし、私たちの暮らしを支えてくれる公共空間という観点から見ると、行政・役所はその一部でしかありません。

日本人は沈黙に強い?

2026年3月23日   岡本全勝

3月7日の日経新聞に「日本人は沈黙に強い? 気まずさ感じるまで7.8秒、世界平均より長く」が載っていました。

・・・上司や初デートの相手などと話している時に会話が途切れ、気まずい思いをした経験がある人も少なくないだろう。だが、日本人は世界的に見ると沈黙に強い方なのだという。どんな背景があるのだろうか。
オンライン語学学習サービスを手掛ける米プレプリーは2024年、世界21カ国・地域の約3万人を対象に「予期せぬ沈黙から気まずさを感じるまでの時間」を調査した。日本人の回答の平均は7.8秒で、世界平均より1秒長かった。調査対象のうち最も沈黙に強いのはタイ(8.1秒)で、最も弱いのはブラジル(5.5秒)だった・・・

その理由として、日本では沈黙時間が何も起きていない時間ではなく、意味がやりとりされている時間と見なされるからだという説が紹介されています。
欧米人との1対1の会話の際に、沈黙はよいものとは受け止められないことも、指摘されています。無言で黙り込むのではなく、「考える時間をください」と一言伝えてから間を取るのが良いそうです。
また、講演でも一方的に話すだけでなく、参加者に質問を投げかけた後、3~5秒の間を置いて考えるための沈黙を作ると、共感が生まれるとも指摘されています。

私は会話時の沈黙が怖いので、すぐにしゃべってしまいます。だから、大勢の前で話すより、1対1の方が疲れます。ただし、講義講演の際には、話の転換の際に、一呼吸置くことを心がけています。

先進国は「投資国家」へ

2026年3月23日   岡本全勝

3月4日の日経新聞経済教室、諸富徹・京都大学教授の「高市政権の「責任ある積極財政」、財源は不透明」から。表題とは異なる部分を紹介します。

・・・首相が演説で最も力を入れたのが危機管理・成長投資による強い経済の実現だ。人工知能(AI)・半導体、造船、資源・エネルギー安全保障・グリーントランスフォーメーション(GX)など17の戦略分野に財政資源を集中投下する。17分野が経済安全保障と密接に結びつきつつ、新たな産業政策として構想されている点に高市財政の本質があると筆者は考える。
これは、近年の産業政策の世界的な潮流と軌を一にする。その国の経済にとって死活的に重要な産業分野を指定し、政府が率先してリスクを取って長期投資することで予見可能性を高め、民間投資を促す。

半導体製造能力の強化を狙って米国のバイデン政権が22年に成立させたCHIPS・科学法、脱炭素投資の推進を狙った同年のインフレ抑制法(IRA)などが代表例だ。トランプ政権はこれらを換骨奪胎しながら、ますます戦略的な産業投資を強化している。
欧州連合(EU)もグリーンおよびデジタル分野の産業育成を目指す多年度の政府投資スキーム「次世代EU」を20年に創設した。日本では政府がGX経済移行債で調達した20兆円を先行投資し、民間のGX投資を促す仕組みが該当する。
地政学的リスクが高まるなか、どの国にとってもエネルギーや重要鉱物、半導体など戦略分野の製造能力とサプライチェーン(供給網)を確保する重要性が高まっている事情がある。

これは政府の役割の大転換を意味する。これまでは産業振興のため規制緩和や法人減税をし、産業立地の条件整備を行うことが政府の役割だった。だが近年は戦略分野の産業に対し、自国内で製造能力を増強する引き換えに政府が公的資金で長期投資するという手法に切り替わった。国家は「投資国家」としての相貌を帯びるようになったのだ。
もちろん財政は拡張的になる。だが、投資国家は収支を長期で合わせる。政府はリスクを取って投資する代わりに将来、成長の果実として税収増を獲得する。税収増が投資コストを上回れば、帳尻は合う・・・

3月21日の日経新聞オピニオン欄、小竹洋之・コメンテーターの「政府の「失敗」か「不作為」か 高市首相の戦略投資はやり方次第」は、産業政策の目的を、市場の失敗の修正に限らず、市場の創造や形成にも見いだす考えがあることを紹介しています。マリアナ・マッツカート、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン教授によると、社会的な課題の解決を目指す「ミッション志向」の積極的な政府介入を正当化し、「最後の貸し手」にとどまらず「最初の投資家」としての役割を求めるのです。

参考首相官邸ホームページ「日本成長戦略会議

会社の中の私、私の中の会社

2026年3月22日   岡本全勝

個人の再登場」の続きになります。
「会社人間」は、個人の生活が会社に取り込まれてしまいます。図にすると、会社という大きな円の中に、小さな円である私が入ります。下の図の左。個人が主役になると、私という大きな円の中に、小さな円である会社が入り、ほかに家族や趣味という小さな円も含まれています。下の図の右。
左の図では私が会社を飛び出すのは困難ですが、右の図なら会社を取り替えることも容易です。

また、組織の中の歯車という表現もされます。それを表したのが、下の図です。