投稿者アーカイブ:岡本全勝

連載「公共を創る」103回

2021年12月17日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第103回「「通念」を変える─その方策と障害」が、発行されました。

かつて日本の経済発展や社会の安心を支えた日本独特の「通念」「社会の仕組み」が、成熟社会になって、負の機能を生んでいます。それを変えるためには、教育の内容を変えることが重要でしょう。
そして、通念や社会の仕組みは、自然とできていると考えるのではなく、国民や住民がつくるものだという意識に代える必要があります。自然に対する作為です。

近代市民革命や、国民による革命的な政権交代(韓国や台湾)を経ている国は、政府や社会は国民がつくるという経験と意識があります。それに対し日本は、長い歴史とその間変わらなかったと考えられている日本文化と社会があります。
その日本文化と社会は高い評価を得ていたので、変える際には大きな障害となります。

ネット炎上、既存メディアの加担

2021年12月17日   岡本全勝

12月10日の朝日新聞オピニオン欄、山口真一さんの「誹謗中傷問題 ネット炎上、既存メディアの加担自覚を」から。

・・・インターネット上の誹謗中傷問題が連日報道される。しかし、インターネットが注目されるあまり、既存メディアがこのような問題で果たしている負の役割に目が向けられていないことに、筆者は強い危機感を抱いている・・・

・・・ここで起こったのが、既存メディアとインターネットの共振現象だ。インターネット上の批判的な声を踏まえて既存メディアがネガティブな報道をし、既存メディアを見てそれを知った人がまたインターネット上に投稿し――と繰り返すことで相乗効果が起きて、かつてない規模の誹謗中傷や悪意ある噂が広がっていったのである。
帝京大の吉野ヒロ子准教授が、ネット炎上(インターネット上に批判や誹謗中傷が殺到する現象)の認知経路について、興味深い研究を発表している。1118人を対象としたアンケートの結果、ネット炎上を見聞きした媒体として、ツイッターと答えた人が23・2%であったのに対し、テレビのバラエティー番組が58・8%だったのである。ネット炎上とはいうが、それを広げているのは既存メディアなのだ・・・

・・・いずれの例にも共通しているのが、既存メディアが人々の批判的感情を煽(あお)った点である。その背景には、商業主義の広がりがある。中国の北京航空航天大学の研究チームが、中国のツイッターとも言われるウェイボーを分析したところによると、「怒り」の感情を伴う投稿がSNS上で最も拡散しやすいことが分かった。つまり、批判的感情を煽れば、それだけ話題になり、視聴率や発行部数の増加につなげられるのである。
インターネットが登場する前から、既存メディアは批判を煽れば視聴率や購買部数に繋がることを知っていて、商業的な手法として多用してきた・・・

・・・また、インターネットと既存メディアの負の相乗効果を放置することは、商業主義という動機に照らしても得かどうか疑問である。眞子さんと小室さんの件については、テレビや雑誌などの報じ方に失望する声も多く聞こえた。米国のメディアも「メディアの狂乱」「傷つけるような激しいメディアの報道と世間の残酷な意見」などと同情的に報じていた。人々の批判的感情を煽ることで短期的には収益を上げられても、中長期的には信頼を損なって、商業面にも悪影響が出る可能性がある・・・
・・・そしていま一度、メディアには商業主義の追求だけでなく公共性という重要な役割があることを認識し、事実に基づいた正確な報道と個人の人権を守ることを心がけてほしい。それは悲劇を減らすだけでなく、メディアの信頼を取り戻すことにもつながるだろう・・・

連載「公共を創る」執筆状況報告

2021年12月16日   岡本全勝

恒例の、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況報告です。
「2社会と政府(2)政府の社会への介入」の前半を書き上げ、右筆たちに手を入れてもらって、編集長に提出しました。

国民の幸福のため、政府はどのような機能を果たしているか、いないかを検討します。その第一として、市場経済への介入から始めます。
この話は、経済学や財政学、公共経済学の分野です。しかし、私の議論から見ると、教科書が扱っている範囲と角度では狭いのです。そこで今回も、いろんな人にお知恵を借りました。

書き始める前は、1回分くらいの分量と想像していたのですが、3回分にもなりました。この3回は、来年1月の掲載になります。ひとまず、年を越せます。

新型コロナ、若者の政治関心

2021年12月16日   岡本全勝

12月9日の朝日新聞オピニオン欄、ブレイディみかこさんの「「コロナ世代」若者の政治観 頼るのは自分という境地」から。

・・・興味深いのは、複数の若者が、政治に関心を持つようになった、と言っていたことだ。ロンドンに住む17歳の少女は、大学で政治を学ぶことに決めたという。「どんな若い世代にも、政府は自分たちをサポートしなかったなどと感じてほしくないからです」と政治を志す理由を話している。

実は、これを裏付けするような光景を地元でも見たばかりだ。息子が来年9月からカレッジ(日本でいう高校)に通うので、今秋は地域のいくつかの学校を見学しに行った。昨年はロックダウン中だったので、今年は2年ぶりに中学高学年がカレッジを見に行くことを許された。なぜかどこでも政治の教室が盛況だったのが印象的だった。英国のカレッジでは生徒たちが自分で科目を選択するので、見学では各教科の教室に行って教員や現在の学生たちに話を聞く。どこのカレッジに行っても、科学や歴史、経済などに比べ、政治の教室は多くの見学者を集めていたのである。

「政治とは、一言でいえば権力に関することです。誰が権力を持っているか、どう権力を使っているか、どのように分散されているか」
見学者の中学生たちの前で、そう熱弁をふるっていた教員にたずねてみた。
「毎年、こんなに政治は人気があるんですか?」
彼女はきっぱりと答えた。
「こんなのは初めてです。例年は人も来なくて静かなのですが」
「どうしてなんでしょうね」
「コロナ禍だと思います。2年前まではこんなことはありませんでしたから。休校や入試方法の変更など、これほど10代の子どもたちが政治に未来を左右された時期はありません。だから政治について考えるようになったのでしょう」・・・
原文をお読みください。

平均年収の各国推移

2021年12月15日   岡本全勝

この30年間、日本の経済が停滞し、所得も上がりませんでした。最近の新聞に、平均年収の各国の推移が図で出ています。OECDの調査に基づくものとのことなので、専門家にお願いして、作図してもらいました。

これが、1990年から2020年までの30年間の、各国の平均年収の推移です。この図では各国比較をする際に、平均年収、購買力平価を使っています。その方が、生活実態に近いと考えるからです。

アメリカは4万7千ドルから6万9千ドルに、イギリスは3万3千ドルから4万7千ドルと、それぞれ1.5倍近く伸びましたが、日本は3万7千ドルから3万9千ドルと横ばいです。2万2千ドルだった韓国が4万2千ドルと、日本を追い抜きました。

このホームページでは、これまで日本の経済発展を説明するために、1955年以降の各国比較を折れ線グラフにして説明していました。「経済成長外国比較2
その図でも、1995年以降の日本の停滞が読み取れるのですが、新しく載せたこの図は、もっとはっきりと日本の停滞を見せています。