投稿者アーカイブ:岡本全勝

日の丸半導体のその後

2010年10月12日   岡本全勝

10月10日の日経新聞「検証、ニッポンこの20年、長期停滞から何を学ぶか」は、「半導体王国の慢心。内向き競争、世界は先へ」でした。
1990年の半導体メーカー売上高ランキングをみると、首位はNEC、2位が東芝、日立が4位でした。2009年のランキングでは、東芝が3位に残ってい ますが、NECの名前はなく、日立は三菱電機と統合したルネサステクノロジとして8位です。日本に代わって、首位と4位を占めているのは復活したアメリカ 企業であり、2位は韓国企業です。
・・世界を席巻した日本の半導体は、なぜ大きく後退したのか。東芝の半導体事業の総帥として全盛期に指揮を執った元副社長の川西剛氏は・・「やはり世界を見ないで、国内を向いて競争していた。それが今日の事態を招いた」と指摘する・・

秋の3連休

2010年10月11日   岡本全勝

3連休、皆さんは、どのようにお過ごしですか。全国的に良い天気のようで、秋の休日を屋外で楽しんでおられる方も、多いでしょう。東京は雨で始まりましたが、昨日の午後から晴れ、今日は夏のような暑さでした。
私は、2つの講義の準備、連載とほかに引き受けている原稿の執筆、さらに今週水曜日に自治大学校に3つの課程が入校してくるので、それらの校長講話の準備でした。とほほ・・。
講義の準備は、結構な時間がかかるのです。2年目なら、去年のノートを改訂し、資料も差し替えるだけですむのですが。新しい講義は、骨子をつくるのと話の時間配分を考えるのに、手間がかかります。毎週の講義と毎月の連載は、一つ終えてもまた次があって、終わりがないのです。すると、書斎に積んである全然関係ない本に手を出し、そちらに夢中になって、仕事は進まず。反省。
閉じこもってばかりではしんどいので、今日は美術館と本屋へ。帰りに近所の日本酒専門店に寄って。お向かいのキンモクセイは良い香りを漂わせ、ザクロは赤い実をつけています。サンマを焼いてもらい、栗を茹でてもらって、ささやかな秋を楽しみます。

地方政府の不執行に対するアメリカ州政府の是正

2010年10月11日   岡本全勝

住民基本台帳ネットワークが、2002年から動き出しました。しかし、法律の期待に反して、このシステムに参加しない市町村が出てきました。杉並区は、参加を希望する住民のみを参加させようとして、東京都と国を相手取って訴訟を起こしました。地方分権改革によって、国の関与に関する係争処理手続が導入されましたが、国の側からは利用できなかったのです。そのため、国からの是正要求に対して、地方自治体が応じない場合は、国はどのような手段を取ることができるのか。今回の事例が、それを顕在化させました。
月刊誌『地方自治』2010年10月号(ぎょうせい)に、柴田直子神奈川大学准教授の「アメリカの地方政府による州政府の不執行と州政府による是正」が載っています。分権の国アメリカで、どのように解決しているのか。ご関心のある方は、お読みください。

山本健太郎君の著書・政界再編研究

2010年10月10日   岡本全勝

山本健太郎君の著書『政党間移動と政党システム-日本における「政界再編」の研究』(2010年、木鐸社)が、出版されました。
1993年の自民党分裂と自民党下野から、2009年の政権交代まで、日本では政界再編(政党再編)が頻繁に起こりました。なぜそのようなことが起こったのか、国会議員はどうして政党を移動したのか。最大野党である新進党は3年で解党したのに対し、同じ民主党はなぜ10年にわたって存続し政権についたのか。
「政策を同じくする政治家が集まる集団が政党である」といった、甘いものではないことは、国民は知っています。では、政治家は権力追求のために集まったのか。次の選挙で再選されやすいように、その政党に属したのか。選挙の時にお世話になったので、ボスに付いていくのか。
政治部記者や評論家、そして政治家本人も、それぞれに評論的説明はおっしゃいます。それに対しこの本は、理論的分析とともに、1990年以降の全政党、全衆議院議員について移動を調べ上げデータ分析した力作です。
特に巻末に付いているそのデータは、新聞社も顔負けのものでしょう。何をもって政党とするか(実はこれも難しいのです)、いつをもって離党と判断するか(元の所属政党が直ちに離党届を認めず、しばらくしてから除名する場合もあります)、スキャンダルや首長選挙に出るための離党を除いたりと、これは大変な作業です。

さて、著者が述べているように、自民党は政権追求志向の強い議員が集まっていましたが、民主党に自民党からの移動議員を受け入れるインセンティブは乏しく、移動は困難です。すると、自民党の凝集力は消極的に維持されることになりますが、野党時代が続くと、凝集力は失われます。
一方、これまで政権を目指すために、政策をあいまいにしてきた民主党にとって、政権を獲得したことで政策を選択しなければならなくなります。それは、幅広い政策の議員を抱えている民主党にとって、分裂リスクに直面することになります。著者は、このように、現在の二大政党制は必ずしも安定したものではない、と指摘しています。

山本君は、私が東大大学院で客員教授を勤めた際の院生です。私の授業では、不慣れな講師(私)を助ける、3人の塾頭がいてくれたのですが、その一人です(このぺージに出てきます)。みんなそれぞれ立派になって、うれしいですね。私は何の貢献もしていないのですが、著書のあとがきに名前を載せてもらいました。恐縮です。

島国と大陸国家

2010年10月10日   岡本全勝

朝日新聞10月7日夕刊、関曠野さんの「対中外交、真の戦略的互恵へ。島国と大陸、違い理解を」から。
・・戦後日本は海外領土を失って、純然たる島国になった。そして戦後の繁栄は、外敵の脅威がなく貿易に好都合といった島国の利点をフルに生かした成果だった。安全保障は米国にゆだね経済に専念するというのは、まさに島国の戦略だった。そして皮肉にも、その成功が島国の民であるという国民の意識を希薄にしてきた・・
まず島国と大陸国家の相互理解は容易でない。島国には外敵による侵略や征服の脅威はないが、他方では海上封鎖で兵糧攻めにされる不安がある・・この島国の海洋に関する敏感さを、中国は理解しているだろうか。
だがその一方で、日本は大陸国家の悩みを認識しているだろうか。大陸では国境は政治の産物であり人口は極めて流動的なので、大陸国には島国の安定性、完結性、求心力がなく、国家は社会に作用する遠心力に悩まされる。ゆえに巨大大陸国家は宿命的に不安定で脆弱であり、旧ソ連のあっけない崩壊はその実例である。そこで社会の遠心力に対抗して集権的一元的統治システムを維持することが、大陸国家の至上命令になる。そして大陸国には、統治システムを安定させるために国境を接する周辺諸国を自分のシステムに順応させようとする傾向がある・・
正確には、原文をお読み下さい。