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行政指針

23日の日経新聞は「法務インサイド」で「このガイドライン必要?規制緩和の一方で行政指針続々」を書いていました。経産・法務両省が昨年5月に発表した「買収防衛策に関する指針」、各省が所管分野に作った「個人情報保護ガイドライン」、経産省が改訂した「営業秘密管理指針」が取り上げられていました。
このほかに有名なのは、金融庁の「金融検査マニュアル」、2001年に全国銀行協会や経団連が組織した研究会によって作られた「私的整理に関するガイドライン」(これは行政が定めたものではありません)もあります。
ガイドラインには、行政が民間に対し権限行使をする際の基準をしめすもの、民間同士の問題に関するものの、2種類があるようです。しかし、「法律による行政」という大原則、また争いは司法で裁くという原則からは、変なものです。
法令でないこのような指針は、行政学・行政法学では、また司法からはどのように位置づけ、評価したらいいのでしょうか。これらも、日本の行政を考える際の課題だと思います。

札幌での諮問会議

今日は、札幌で地方経済財政諮問会議を開催しました。今回で第3回目です。この時期の札幌ですので、天候を心配しましたが、飛行機は大丈夫でした。しかし、千歳空港は晴れていたのですが、札幌市内は雪で、道路は大変な渋滞でした。
今回も、魚からコラーゲンをつくっている水産業の社長、ホテルの経営を立て直した社長、建設業から農業へ多角経営をしておられる経営者、川崎から北海道へ移転して成功しておられる金型製造の方など、現場の声を聞くことができました。抽象論でなく、説得力がありますね。設営に協力いただいた北海道庁をはじめ、関係者の方に感謝します。帰りの千歳空港は、マイナス11度でした。

何をしなかったか

23日の日経新聞月曜経済観測は、赤羽隆夫元経企庁次官の「長命景気の原動力は、自然治癒力が復活」でした。
「もうひとつは、景気対策はやらないと公言した小泉経済政策の不作為が寄与した。1990年代の歴代政権の景気対策は日本経済に備わっている自然治癒力を傷めた。不景気増幅策と言ってもいい・・・」
同感です。私は、小泉内閣の大きな成果の一つは、ケインズ政策をやめたことだと考えています。確かに何かをしたのではなく、何もしなかったという意味では、不作為かもしれません。が、これまでの内閣・行政からは、不況期に公共事業の追加をしない、さらには削減することは、考えられないことでした。
「やめる」ということは、非常に困難なことです。後生の人は、何を作ったかを評価し、何をやめたかは評価しません。「創立何周年記念」といって宣伝してくれる人もいませんしね。そして、何を作らなかったかも、評価されません。(1月23日)
(民が行う官の機能)
官でない行政機能(行政学的なもの)に、関心を持っています。漠然としていてまだ整理できていないのですが、例えば民間が行う検査です。自動車の車検は代表例です。最近ではマンションの耐震強度に関して、民間の建築確認検査機関が問題になりました。また、粉飾決算に絡んで、監査法人もしばしばニュースに登場します。
これらは民でありつつ、官の仕事をしています。どこかに、このような機能を調べた論文や一覧表はありませんかね。今後の行政のあり方を論じる際には、不可欠の要素だと思います。

2008.01.25

小西砂千夫関西学院大学教授が、「自治体財政のツボー自治体経営と財政診断のノウハウ」(関西学院大学出版会)を出版されました。宣伝せよとのご指示ですので、ご紹介します。
先生の言葉によれば、売りは「住民の目線で自治体財政を解説するのがねらいです。初めて話し言葉で書いてみました」とのことです。住んでいる市町村の財政を勉強するには、もってこいの本です。市町村議会議員や職員、市役所の財政に関心のある方にお勧めします。

項目別評価

20日に総理の施政方針演説があり、各紙が解説や評価をしていました。その中で、朝日新聞(21日)の「施政方針演説に見る施策目標達成度」の表は、わかりやすかったです。構造改革と郵政は前進、デフレと社会保障は横ばい、格差是正と日中関係は後退との評価です。ただし、このような項目立てが良いのかは、議論があるでしょう。
毎日新聞(21日)は、「今回の施政方針演説で消えた主な項目」を表にしていました。なかなか鋭い分析ですね。何を重要視しているかということとともに、何にふれたくないかという分析もあるでしょう。ちなみに、そこで取り上げられていた項目は、デフレ克服、政治倫理、学習指導要領見直し、国連安保理常任理事国入り、普天間飛行場の返還です。
このような、項目別の分析が、次への発展につながるのだと思います。全体についての評価は、立場によって異なるのでしょうし、それだけではあまり前進はないですよね。