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地方団体の復興基金への財源手当

17日に、総務大臣が、東日本大震災に係る「取崩し型復興基金」の創設を発表されました。関係県が基金を作る場合に、特別交付税で支援する内容です。7月29日に決めた「復興の基本方針」の中に、地域が基金を作る際に、国が支援すると明記されていました。
特別交付税での支援なので、使い道は特定されません。自治体の判断で使うことができます。究極の「使い勝手の良い基金」です。もちろん公金ですから、何にでもというわけにはいきません。
阪神淡路大震災や中越地震の際には、運用型基金を支援しました。簡単に言うと、県が銀行からお金を借り、財団法人などに作った基金に無利子で貸し付けます。その運用差額(金利差)を、基金が使えるように仕組みます。しかし現在は低金利なので、金利差が出てきません。よって、今回は、特別交付税によって、現金で支援することになりました。実質的な支援額は、阪神淡路大震災の時より、大きくなっています。
先日解説した「復旧・復興事業の地方負担額への特別な交付税での財源手当」(10月12日の記事)とあわせ、被災地方団体は心配なく、多くの事業ができることになります。

日本広報学会

10月22日に開かれる日本広報学会研究発表大会で、基調講演を仰せつかりました。私は政府広報の担当者でもなく、広報の専門家でもないので、辞退したのですが。「被災者支援の段階から携わっているので、その体験からしゃべれ」とのことで、お引き受けしました。
政府が、被災者や被災地支援のために行った広報や情報提供は、いろんな方法で、かなりの件数に上ります。講演のために資料を整理し、何をしたか何が足りなかったかを、振り返りました。職員にも意見をもらい、考えました。講演は、良い機会ですね。レジュメと資料を用意したのですが、内容が多すぎて、切り捨てるのに困ります。
当日は土曜日なので、お引き受けしたのですが、公務が入りませんように。

事業にとっての適正な企業規模

16日の朝日新聞経済欄、安井孝之編集委員の「波聞風問」は、「ものづくり―はやぶさからエアバスへ」でした。群馬県富岡市にある、重工大手のIHI(かつての石川島播磨重工業)の子会社「IHIエアロスペース」が、小惑星探査機「はやぶさ」を作り、エアバスの部品を作っている話です。
この会社の源流をさかのぼると、戦前は軍用機を作っていた中島飛行機で、戦後に解体され、その後、日産自動車の宇宙事業部門に引き継がれました。日産が経営不振になり、カルロス・ゴーン社長が事業の選択と集中を進め、航空宇宙事業は売りに出され、IHIが2000年に買い取りました。私が興味を持ったのは、次のようなくだりです。
・・担当部長は「航空宇宙事業は、自動車とは時間軸も規模も違う」と言う。今回のエアバス新型機への納入で、今後30年間で1兆5千億円の売上げを見込む。年間500億円の売上高は、IHIの航空宇宙事業の売上高3千億円にとっては大きな柱だが、日産の売上高の1%にも満たない。
それぞれの技術、商品には、それを育む適正な企業規模があるのだろう。大きな組織が、すべての先端技術を育てられるわけではない・・

なるほど、大企業の1%にいるよりも、それより小さな会社で存在感がある方が、うまく行くでしょうね。「企業は大きくなればよい、いろんな事業を抱えるのがよい」とは、言えないのですね。

福島県での意見交換会

今日は、復興大臣のお供をして、福島県南相馬市相馬市新地町を訪問し、意見交換をしました。南相馬市では、先月末に緊急時避難準備区域が解除されました。子どもや高齢者が戻ってくるので、学校や病院の再開の準備をしています。また、これまでこの区域では、仮設住宅を建てることができなかったので、これから建設し、市外に出ておられる方に戻ってもらう準備もします。
医師や看護師が戻っていないこと、十分な数の住民が戻らないと商店が成り立たないことなど、難しい問題もあります。何度もこのページで指摘しているように、道路と住宅を復旧しても、住民の安心と街の賑わいは戻りません。