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震災の検証、津波災害と原発事故

2014年4月12日   岡本全勝

3月26日の参議院復興特別委員会で、平野達男議員(前復興大臣)が、震災の検証について検証し、質問をしておられます。詳しくは議事録(平野議員の質問は最後です)を読んでもらうとして、要点は次のようなものです。
・東日本大震災について、地震と津波災害については、中央防災会議の中に検証委員会を作って、検証した。何が起きたのか、なぜ予想できなかったか、被災地ではどのようなことが起きたかを、検証した。
・他方、原発事故については、政府事故調、国会事故調、民間事故調、東電による調査会の4つが検証をしたが、原発の爆発とメルトダウンを主な対象としている。住民の避難については、実態調査も国の対応の検証も行われていない。
これに対して、内閣府副大臣が、現在、原発事故に伴う避難実態のアンケート調査をしている旨を答えています。

発災当時、私は地震津波避難者の支援に当たっていました。原発から30キロ圏内は立入禁止になったので、状態はわかりませんでした。そこから逃げてこられた避難者は、私たち被災者生活支援本部でお世話することにしました。避難してこられた方が、津波被災者なのか原発避難者なのかわからないからです。また、逃げてこられた方に、「あなたは、原発事故ですから別です」とは言えません。
原発事故がどうなっているかも、新聞報道でしか知りませんでした。原発事故対応は官邸で、総理、官房長官、官房副長官(参議院)によって行われ、私の被災者生活支援本部は道を隔てた内閣府の建物で、防災大臣、官房副長官(衆議院)、平野内閣府副大臣らで対応していました(当時の分担図)。
少し落ち着いたとき、私が官邸で原発事故対応に当たったら、何をしなければならなかったかを、考えてみました。危機管理の思考訓練です。もちろん、現場におらず、専門知識も無い、情報も持っていないので、一官僚としての思考訓練でしかありません。
まず、課題は何か。津波と違い、事故が続いています。すると、事故を終わらせること、すなわち原発を冷温停止させること、爆発をさせないことです。もう一つは、周辺の危険な区域から、住民を避難させることです。工場の爆発事故を想定してください。工場長と消防や警察がしなければならないことは、消火と次の爆発の防止、そして周辺住民の避難です。工場内で事故の収束させることと、工場外での安全の確保です。これは、今回の原発事故にも当てはまります。
すると、私なら、次のようなことをしたでしょう。まず、全体の責任者に、次のように進言します。「原発内の事故収束責任者と、原発外の安全確保責任者を、それぞれ1人ずつ決めて、権限と責任を持たせてください」と。そして、危機管理センターの壁には、2つの地図を貼ります。一つは、原発敷地内の簡単な配置図で、それぞれの炉がどのような状態にあるかなどがわかる図面です。もう一つは、東北地方の地図で、住民をどのように避難誘導するか、どこが安全かの地図です。この2つは、それぞれに重要ですが、必要な知識も違えば、対象とする範囲も違うのです。
もちろん、この2つのチームの下には、それぞれに課題に応じて対策チームがいくつも作られるでしょう。系統樹のようになります。課題ごとや地域ごとの縦割りの専門班と、それらをつなぐ横串班、全体を仕切る参謀班も構成されます。事故や災害の種類によって、対応すべきこと、専門家も異なります。しかし、しなければならない「動作の基本」は同じです。
大きな事故や災害は起きて欲しくありませんが、起きた場合の思考訓練をしておくことは意味があると思っています。

企業や団体向けの災害支援の手引き

2014年4月12日   岡本全勝

NPOの「民間防災および被災地支援ネットワーク」が、『災害支援の手引き』を発行しました。インターネットでは見ることができたのですが、このたび冊子ができあがりました。
この冊子は、企業や団体が、災害時にどのような支援をしたらよいか、そのノウハウをまとめたものです。
東日本大震災では、多くの企業が、さまざまな支援をしてくださいました。この経験を今後の災害時に役立てようと、民間企業のCSR(企業の社会的責任)担当者、現場で支援を行うNPO、その調整に当った中間支援団体などが集まり、この冊子を作りました。
冊子には、「ヒト、モノ、カネ、情報」の分野で、災害支援を実行するに当たっての社内調整の裏話、苦労や工夫した点の具体事例や、実務上のノウハウが掲載されています。編集者の命により、私もメッセージを書きました(p5)。
いつも指摘していますが、今回の大震災で、企業の社会的貢献が新しい段階に入りました。お金とモノを寄付するだけでなく、人やノウハウの提供、本業を活かした支援が行われました。お金も、義援金だけでなく、さまざまな目的に対して(事業内容や相手を決めて)、手法も工夫した支援が目立ちました。しかし、単にお金を寄付するだけない支援は、知恵と工夫が必要なのです。どこにどのような支援をしたらよいかです。そのためのノウハウを蓄積しようという試みです。
4月24日に、この冊子の発行を記念して、講演会が開かれます。私も出席して、冒頭の講演をします。ご関心ある方は、参加ください。この項、続く。

歳歳年年花不同

2014年4月12日   岡本全勝

東京は、春の日が続いています。ソメイヨシノは終わりましたが、八重桜が真っ盛りです。我が家の鉢植えの桜も、ささやかな花をつけています。去年咲いた鉢植えのチューリップが、今年も花を咲かせています。通常は、翌年は病気の花しか咲かせないのに、今年は結構立派な花をつけています。
ご近所の花海棠のピンクとヒメリンゴの白い花も真っ盛り、モッコウバラもいくつも黄色い花を開き始めています。
去年まで少ししか花をつけなかった椿が、今年は手入れが良く(といっても、お向かいのおじさんに、してもらったのですが)、びっくりするほどの花を咲かせました。それに引き替え、進歩のない我が身を振り返ると、あの有名な漢詩を少し変えてみたくなります。
年年歳歳人相似 歳歳年年花不同。
本歌はもちろん、「年年歳歳花相似 歳歳年年人不同」。劉廷芝「代悲白頭翁」。訳はこちらが、わかりやすいようです。

原発事故避難からの復興

2014年4月11日   岡本全勝

今回の大震災からの復興には、これまでの地震災害とは違った条件にあり、違った対応が必要です。
阪神淡路大震災では、ガレキを片付ければ、住宅や街並みを復旧できました。今回の津波被災地では、現地で再建することは危険なので、高台に移転したり、土盛りをして、街を作らなければなりません。また、町全体が流されたこと、近隣の市町村も流されているので、商店もないのです。そこで、仮設商店を作ったりもしました。
福島での原発災害も、これまでに無い災害です。(原発事故の収束=廃炉、除染、賠償は前提として)住民に避難してもらった町では、除染をして、放射線量を減らした上で、住民に帰還してもらいます。ここでも、いろいろな公的サービスと商業サービスを再開しないと、住民は戻ることができません。「街を新たに作る」とも言うべき作業です。そのような事業や予算は既存制度ではないので、既存制度を拡充したり、新たな事業をつくって、「街の再開」を支援しています。
それらをまとめたのが、「福島再生加速化交付金」です。見ていただくと、「こんなこともしている」ということが、わかってもらえます。次のような項目から、なっています。
1 生活拠点の整備(賃貸住宅建設、認定こども園の整備など)
2 放射線不安を払拭する環境整備(花壇や側溝に蓋をして、放射線不安を減らす)
3 健康不安対策(個人の線量を計る線量計を配る。放射線についての相談員を置く。高齢者や障害者の介護サービス)
4 社会福祉施設の整備、子育て支援拠点の整備
5 農林水産業再開の支援
6 商工業再開のための支援
被災前は井戸水や沢水を飲んでいた地域で水道を引くとか、下水道が復旧するまでの間、浄化槽を設置するといった支援もあります。
地元の要望を聞きながら作ったので、「なるほど、これも必要だ」と思う事業があります。
また、4月6日には、避難指示が解除になった田村市都路地区に、公設民営の仮設商店を開設しました。ニュースでご覧になった方も、多いでしょう。
平時なら、家庭や事業所が自己負担で行うことですが。これまでにない事故ですので、これまでにない政府の対応をしています。政府の役割を極める、難しいかつ、やりがいのある仕事です。多くの若手職員が、これまでにない苦労をしています。でも、国民の悩みに答えるという、これらのことが、公務員の原点なのですよね。

数字で見える都市の活力

2014年4月11日   岡本全勝

3月31日の日経新聞特集「グローバルデータマップ」に、世界各都市の空港について、国際線の利用状況比較が載っていました。国際線が飛んでいる先の都市の数、国際旅客者数、総発着回数です。その都市のビジネスや観光の活発さがわかる指標です。
ロンドンは、351都市と結ばれ、年間1億2千万人が利用し、発着回数は110万回です。パリが、255都市、7,100万人、75万回。ニューヨークが、132都市、3,600万人、118万回(ロンドンと発着回数は変わらないのに、なぜか利用者は3分の1以下です)。
それに対し、東京は88都市、3,300万人、56万回です。香港が、138都市、5,300万人、34万回。ソウルが、143都市、3,800万人、37万回。シンガポールが、134都市、4,700万人、31万回です。
もちろん、地理的条件などの要素もあって(ヨーロッパは近くに外国が多い)、それだけで単純に「都市の活発さ」にはなりませんが。東京がアジアのより小さな都市に負けているのは、気になります。
人の動きが、都市の活力や豊かさの指標とは言い切れませんが、重要な指標の一つであることは、間違いありません。国内で言えば、新幹線の通っているところが、経済的豊かさとほぼ重なります。もっとも、新幹線ができたから経済が活性化したという、ニワトリと卵の議論はあります。
しかし、地元の大金持ちが1人や2人いて大散財するのと、域外から観光客やビジネスマンが来て、一晩に2~3万円(宿泊費と飲食費。このほかにお土産)を使ってくれるとしたら、100万人来ることの効果ははるかに大きいです。
そして、もう一つ。域外からの人が来ることは、都市に変化をもたらします。地域が活力を持ち続けるには、カネを生み出すこと、カネを呼び込むことといった経済力と、発展を続けるという革新性、更新力が必要です。