原発事故避難からの復興

今回の大震災からの復興には、これまでの地震災害とは違った条件にあり、違った対応が必要です。
阪神淡路大震災では、ガレキを片付ければ、住宅や街並みを復旧できました。今回の津波被災地では、現地で再建することは危険なので、高台に移転したり、土盛りをして、街を作らなければなりません。また、町全体が流されたこと、近隣の市町村も流されているので、商店もないのです。そこで、仮設商店を作ったりもしました。
福島での原発災害も、これまでに無い災害です。(原発事故の収束=廃炉、除染、賠償は前提として)住民に避難してもらった町では、除染をして、放射線量を減らした上で、住民に帰還してもらいます。ここでも、いろいろな公的サービスと商業サービスを再開しないと、住民は戻ることができません。「街を新たに作る」とも言うべき作業です。そのような事業や予算は既存制度ではないので、既存制度を拡充したり、新たな事業をつくって、「街の再開」を支援しています。
それらをまとめたのが、「福島再生加速化交付金」です。見ていただくと、「こんなこともしている」ということが、わかってもらえます。次のような項目から、なっています。
1 生活拠点の整備(賃貸住宅建設、認定こども園の整備など)
2 放射線不安を払拭する環境整備(花壇や側溝に蓋をして、放射線不安を減らす)
3 健康不安対策(個人の線量を計る線量計を配る。放射線についての相談員を置く。高齢者や障害者の介護サービス)
4 社会福祉施設の整備、子育て支援拠点の整備
5 農林水産業再開の支援
6 商工業再開のための支援
被災前は井戸水や沢水を飲んでいた地域で水道を引くとか、下水道が復旧するまでの間、浄化槽を設置するといった支援もあります。
地元の要望を聞きながら作ったので、「なるほど、これも必要だ」と思う事業があります。
また、4月6日には、避難指示が解除になった田村市都路地区に、公設民営の仮設商店を開設しました。ニュースでご覧になった方も、多いでしょう。
平時なら、家庭や事業所が自己負担で行うことですが。これまでにない事故ですので、これまでにない政府の対応をしています。政府の役割を極める、難しいかつ、やりがいのある仕事です。多くの若手職員が、これまでにない苦労をしています。でも、国民の悩みに答えるという、これらのことが、公務員の原点なのですよね。