投稿者アーカイブ:岡本全勝

お詫びだけでない、失敗したときの対処

2014年9月18日   岡本全勝

部下や組織が失敗した場合の、お詫びの仕方は「仕事の仕方」に書いたとおりです。しかし、責任者は、お詫びの前後に、次のようなことを行う必要があります。
1 事実の確定
これは、ひとまず、詳細まで確定する必要はありません。おおむねの事実が判明したら、公表やお詫びなどの行為を行う必要があるためです。遅れると、批判を招きます。
2 関係者へのお詫びと、公表
傷つけた相手方や損害を与えた相手方へのお詫び、必要な場合は損害賠償を行います。 また、社会的問題なら、記者会見などで事実を公表し、お詫びする必要があります。
3 関係者の処分
事実関係を明らかにして、失敗をした行為者やその責任者を、処分する必要があります。
4 再発防止策
事実関係が明らかになったら、今後同じことが起こらないように、再発防止策をとる必要があります。これも、関係者や社会は、関心を持って見守っています。
お詫びだけでは、処理は終わりません。それより重要なのは、けじめをつけ、再発を防止することです。
ところで、私の属する官庁では、部内各組織の権限と責任が文書によって明確に定められています。よって、上記3の「関係者の処分」の範囲(責任の所在)は、比較的簡単です。「量刑」は難しいです。
これに対して、記事についての責任は、どのようになっているのでしょうか。門外漢ですみません。今回の朝日新聞の例では、編集担当取締役の職を解き、社長は改革の道筋を付けた上で進退を決めるとのことです。記事を書いた記者や、それを載せると判断した上司の責任はどうなるのでしょうか。記事の責任がどのようになっているのか、今回の事件の処分で見えてくると思います。それはまた、今後の再発防止策にもつながります。
もちろん、他者の評論をするだけでなく、私たち官庁や官僚も、自らの行為の評価と反省を、常に注意しておく必要があります。その際に難しいのは、やったことの失敗とともに、やらなかったことの失敗(不作為の責任)です。行政には、その責任があります。

サービス産業時代の成長戦略

2014年9月17日   岡本全勝

9月9日朝日新聞オピニオン欄、冨山和彦さんの「成長戦略の勘違い」から
「円安で自動車や電機メーカーの業績が好転し、ようやく景気が回復してきたように見えますが」という問に対して。
・・確かに、ものづくりのグローバル企業がしっかり稼ぐことは日本経済にとってプラスです。国際収支の上でも必要です。しかし、そのことが日本経済の全体を浮揚させるわけではありません。
先進国に共通する皮肉な現象ですが、グローバル化が進むほど国内経済におけるグローバル企業の比重は下がります。かつて加工貿易で高度成長をしていた時代は、頂点に製造業の大企業があり、中堅・中小企業が連なって、ざっと日本人の半分はこのピラミッドの中で働いていました。頂点が潤えば、水がしたたるように幅広く恩恵が広がる「トリクルダウン」が起きた。ところがグローバル化で大手メーカーが生産拠点を相次いで海外に移し、この構図は縮小してしまいました。
いまや雇用者数でも付加価値額でも、日本経済の7~8割はサービス産業です。ここは基本的に地域密着型の労働集約的な産業。グローバル競争の世界とは、ルールも経済原理も違う。つまり日本経済の中にグローバル経済圏(G)とローカル経済圏(L)のふたつがあると考えたほうがいい。GとLの連関性はどんどん希薄になり、現実にトリクルダウンはほとんど起きなくなっています・・
「とすれば経済政策も……」という問に対しては。
・・GとLで別々の処方箋が必要ですね。特にLの世界で労働生産性と賃金を上げていかないと、持続的成長など無理です・・
「これまで成長戦略というと、もっぱらグローバル化への対応が柱になってきました」との問に対しては。
・・加工貿易時代の成功体験が強烈だからでしょう。Gが拡大することで高度成長を実現したので。しかも政府が政策を立案する際は、主に大手製造業の経営者が加わるため、どうしてもGばかりに目が行く・・

官邸で、復興推進会議を開催

2014年9月16日   岡本全勝

今日9月16日、官邸で、復興推進会議を開きました。この会議は、全大臣出席の会合です。発災以来3年半が経ち、内閣改造後初めての会議です。
復興大臣から進捗状況と課題を報告し、7大臣から協力の発言がありました。総理からは、「東北の復興なくして、日本の再生はなし。新閣僚においても、全員が復興大臣であるとの意識を共有し、東北を新しい日本創生のフロントランナーにしていく気持ちで全力を尽くすよう」にとの指示がありました。
ところで、総理の時間を確保し、官邸で全閣僚出席の会合を開催するのは、結構大変な「プロジェクト」です。会議の内容(業界用語でサブといいます)とともに、段取り(同じくロジといいます)も大変です。それを復興庁の職員は、いとも簡単にやってくれます。職員たちに感謝します。
資料は、復興庁のホームページに載せてあります。わかりやすく簡単な資料を作りました。復興に向けた道のりと見通し」も、9月版に更新しました。

国家の崩壊ということ

2014年9月16日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、9月は、ジャンクロード・トリシェ前欧州中央銀行総裁です。1985年に、パリクラブ(途上国にお金を貸した債権国の代表による非公式グループ)の議長に就任します。借りた金を返せない国とどのような交渉をしたか、それは本文を読んでいただくとして。 1991年12月、ソ連崩壊直前に、ゴルバチョフ大統領と交渉します(9月12日掲載分)。
・・交渉の冒頭、パリクラブの議長の私は「ソ連はもう約束を守っていません。ソ連の債務返済への保証が必要です」と話した。
ゴルバチョフ氏は「良い交渉になるよう希望しています。どこかの共和国で問題があれば電話をください。私から首相に電話して手助けします」と支配者のようだ。だが直後に交渉官は「ソ連はもうないのだ。ロシアと交渉し、ウクライナと照合して、結果を他の共和国に示してくれ」とささやいた。存在しないと宣言したソ連に債務返済を迫るのは現実離れしていた・・
ベルリンの壁崩壊や、ソ連の崩壊は、私にとって、それこそ「想定外」でした。生きている間に、こんなことが起きるのだとは。歴史は過去のものであって、同時代のものではないと思っていました。若い人には、この衝撃は理解してもらえないでしょうね。
それ以来、「想定外はない」、「ないのは想像力だ」と気づきました(参照、ヨーロッパで考えたこと。2004年9月13日

新大臣のスタートダッシュ

2014年9月15日   岡本全勝

竹下大臣には、9月3日に就任以来、10日間を駆け抜けてもらいました。なんと、翌4日朝には福島県、5日は閣議と初の幹部会議の後に岩手県へ。翌週の8日には石巻市の被災地と宮城県。9日は閣議と挨拶回り。10日も挨拶回り。11日は早朝に経団連会長との意見交換、その後福島県被災地視察。12日は閣議、報道各社のインタビュー・・。この間を縫って、打ち合わせや所管事項説明を、こなしてもらっています。
スピーディに仕事が回っていることはうれしいのですが、そのいくつかにお供をしている私の方も、疲れています(ある職員曰く「仕事を作っているのは、岡本統括官じゃないですか」。その通りです。苦笑)。大臣にも、申し訳ないです。これだけの行事や出張を準備してくれる職員に、感謝しなければなりません。
明日16日は官邸で、全大臣出席の復興推進会議を予定しています。また大臣には、17日以降も、被災地に入ってもらう予定です。