年別アーカイブ:2026年

室田哲男著『危機管理法制の可能性』

2026年8月3日   岡本全勝

室田哲男著『危機管理法制の可能性』(2026年、信山社)を紹介します。著者は、元総務省の官僚、現在は政策研究大学院大学教授です。

東日本大震災以降の災害対応や危機管理の実務経験を踏まえ、その後の危機管理法制研究の成果をまとめたものです。災害、感染症、国民保護などの危機管理法制を横断的に比較・分析し、それぞれの制度の特徴や課題を整理するとともに、危機管理法制全体の実効性向上に向けた方向性を考察しています。

我が国の危機管理は、近年急速に充実してきました。私も英文の『Public Administration in Japan』(2024年、Palgrave Macmillan)で強調しました。ところが、危機と言っても多種多様で、危機管理も異なります。それぞれに書かれたものはあるのですが、それら全体を横断的に見た本は少ないです。また、実務が変化するので、それを追いかける必要があります。研究としても、労力と分析視点が必要なのです。

これらの危機管理の多くは、地方自治体が担います。自治体関係者に有用です。お勧めします。

学童保育の必要性2

2026年8月3日   岡本全勝

7月11日の朝日新聞オピニオン欄に「放課後どこに行けば」が載っていました。学童保育は、共働きが増えた現在では、学校と同様に必須のものとなりました。もっと、重要なものとして位置づけるべきでしょう。「学童保育の必要性

・・・かつて小学生たちは放課後、気ままに過ごしていた。でも今の時代、子どもを放っておくのは心配だし、学童保育は過密状態……。放課後どこに行けばいい? 子どもたちが、のびのび過ごせる場とは・・・

佐藤愛子・全国学童保育連絡協議会事務局次長の発言から。
・・・学童保育(放課後児童クラブ)とそこに通う子どもは年々増えています。私たちの2025年の調査では、約2万5千カ所に児童151万7772人が入所していました。公立小学校に通う1~3年生のうちの約4割が利用している計算です。出産後も働き続ける女性が増え、放課後や長期休みに子どもが通える場所が必要とされています。

学童保育は需要に供給が追いついていません。入所人数に制限をかけず大規模化した施設は、騒々しくて安心して過ごせない空間になっていることも多い。遊びや活動も制限されがちです。子どもが「話を聞いてほしい」と思っていても、指導員側も声や手が届かず葛藤があると思います。
国は14年、学童保育における子どもの人数を支援の単位(1クラス)につき「おおむね40人以下」などと厚生労働省令で基準を定めました。ただ、地域の実情によって変えてもよい基準のため、25年時点で基準を満たしているのは全体の約6割に過ぎませんでした。
「待機児童ゼロ」でも学童保育が充足しているとは限りません。適正規模を超えて子どもをどんどん受け入れたら、「ゼロ」になるわけですから。

4~6年生でも学童保育を必要とする家庭はあるのに申請を諦めているというケースも聞きます。高学年だからこそ、一緒に成長してきた仲間との時間は大切です。災害・事故に遭うリスクを考え、学童保育にいてほしいという保護者もいます。しかし、現状は低学年が優先され、学童保育を必要としている子どもが必要な期間、通い続けられているのか疑問です。
少子化や財政難などを理由に、新たな施設の整備に消極的な自治体は多いですが、必要とするすべての子どもが通え、安心して過ごせる環境にするには、整備はまだ必要だと考えます。将来的に高齢者施設に転用するなど長期的な視点を持てば、方法はあるのではないでしょうか・・・

暑いですね。

2026年8月2日   岡本全勝

このホームページは、季節の便りは期待されていないと考え、あまり取り上げないようにしています。とはいえ、この暑さ・熱さは、書かずにおられませんね。

みなさんは、どのように過ごしておられますか。
屋外で仕事をしている人は、大変です。郵便配達、新聞配達、宅配便の方と話すことがありますが、同情します。送風機付きの上着を着ている人もいます。熱中症にならないようにしてください。熊本地震の避難所も大変でしょう。

東北地方は天候不順のようですが、東京は毎日、カンカン照りです。ゲリラ的な豪雨もあるのですが、我が家の周辺はそれも少ないです。玄関横の椿と夏椿は大丈夫なのですが、鉢植えの椿が葉をたくさん散らしてしまいました。今日は雨が降るだろうと思って、水やりが足らなかったようです。ごめん。

朝の冷たいシャワーが気持ちよいです。私は、主に書斎で原稿執筆です。冷房は嫌いなのですが、そんなことは言ってはおられません。
7月半ばに、アメリカから帰ってきた孫(1歳と0歳)が、保育園は8月からでないと入れてもらえないので、嫁の実家と分担して面倒を見ています。早朝に日陰を選んで、乳母車で散歩に行きます。二人は別々なので、2往復。昼には、区役所がやっている一時預かりも活用。帰ってくると、もう一度シャワーを浴びます。土曜日午前中は、近くに住む別の3歳の孫と公園へ。
夜の冷たいビールもおいしいです。孫の相手で体重も減り、調子はよいのですが。

原稿執筆は、はかどりません。早起きして、あるいは孫たちが寝ている隙間に、執筆しています。右筆の協力を得て、連載「公共を創る」は、9月3日号までゲラになりました。
本を読む余裕はなく、切り抜いた新聞は溜まり、読もうと取ってある資料も片付きません。

川内村、震災復興策効果を検証

2026年8月2日   岡本全勝

7月18日の日経新聞夕刊に「福島県川内村、震災復興策の効果を独自検証 「工業団地は不十分」」が載っていました。
自己検証は、「勇気ある行動」だと思います。誰でもどの組織でも、自らやったことを評価する、しかも「不十分だった」と認めることは、めったにできることではありません。
役所には、企業と違う「制約」「困難さ」があります。企業では、新しい商品やサービスが期待通りに売れないことはしばしばあります。「絶対に売れる」という商品はなく、リスクを冒さないと成功しません。少々の失敗は織り込み済みです。ところが役所では「財源は税金」なので、「失敗は許さない」という風潮があります。「それは絶対成功しますか」と問われれば「はい」と言えるようなことはまずあり得ません。「考えられる対策は取りましたが、絶対成功するとは言えません。しかし、今これに取り組まないと、村は発展せず、住民も困ります」という答えを許してほしいです。特に川内村などは条件不利地域です。挑戦しない限り、衰退します。

・・・福島県川内村は、東日本大震災や東京電力福島第1原子力発電所事故からの復興事業を独自に検証した。補助金など主に国の支援を受け約538億円をかけた取り組みを職員らが振り返った。被災地の街では異例の作業で、工業団地の整備を「期待した効果が上がらなかった」とした。

震災前に3000人強の住民がいたが、原発事故を受けて村全体に避難が求められた。それでも周りの自治体の中では最も早く、1年ほど後の2012年には住民の帰還が始まっている。
「財源のほとんどが税金で、当初に期待した効果が出たのか国民や関係者に伝える責務がある」。2日に記者会見した遠藤雄幸村長は点検の狙いをこう話した。
検証は副村長が委員長となり、課長級の職員ら10人ほどが担った。これまでの約1500の事業を46項目に分類。村独自の除染、公営住宅やワイナリーの建設、医療や教育の施設づくり、高齢者の外出のための乗り合い車両といった大半のプロジェクトを「効果があった」とまとめた。
一方、働き口を得ようと14年から28億円をかけ開発を始めた田ノ入工業団地は芳しい結果が出ていない。7工区のうち進出を決めた4社のうち1社が建設を中止。1社が倒産した。「復興へのスピード感を優先するあまり企業についての情報を得るのに甘さがあった」(遠藤氏)

今回の検証を踏まえ、すでに終わった11事業を除く34の事業はすべて続けると決めた。
一方で事業の経済効果について詳しい計算は資料に乏しい。議論の記録も公表も見送った。「職員個々の考えについても記載がある。自身や先輩が取り組んだ事業を振り返ることに心理的な抵抗もあった」。遠藤氏の説明には最前線で悩んだ職員の胸の内が垣間見える。
「84点」。遠藤氏は会見で復興事業の採点を問われ言葉を探したうえで、避難した住民の帰還率からこう答えた。災害復興の物差しは何か。厳しい経験から15年後の作業が、投げかけているようだ・・・

予定表を眺める

2026年8月1日   岡本全勝

もう8月です。「暑い熱い」と言っている間にも、日は経ち、仕事もそれなりに進んでいきます。「時間の管理と仕事の管理」の続きになります。

1年前に書いた「気がつけば6月も半ば」では、手帳を見て、先週何をしたかを思い出す・確認することを書きました。「予定と振り返り」で「手帳と日記帳はよく似ていますが、手帳は予定を書くもので、日記は終わったことを書きます」と書きました。

私は時々、手帳を見て、先週と先々週に何をしたかを振り返ります。みなさんも、先週あるいは先々週に何をしたか覚えていますか。忙しかっても、閑であっても、覚えていないものです。何を食べたかは忘れてもよいのですが、仕事ややりたかったことは、どこまで進んだかを確認する必要があるでしょう。
毎日の行動を見るより、1週間や1か月を眺めてみると、違ったものが見えてきます。毎日決められたことを繰り返す、そして「忙しい」と言っていることも充実感はあるのですが、中長期で見るとやるべきことができていないことも多いです。

過ぎたことは仕方ないとして、重要なのは未来です。限られた時間を何に使うか。それを考えて時間配分しないと、時間は過ぎていきます。現役時代は、考えなくても仕事が次々と舞い込むでしょう。もっとも、幹部は次に何をするかを考えることが仕事です。
現役時代は、他律的に私の予定が埋まり、自分で自由にできる=使い方を考える時間は少なかったのです。最近は自由になる時間が増えたので、カレンダーと予定の一覧表を眺めては、次の週にすることや、明日の時間配分を考えています。「雇われ人」と「自営業」との違いです。この点では、雇われ人はお気楽ですね。
その際にも、毎日の予定を見るより、1週間や1か月を眺める方が、やるべきことが見えてきます。
毎日忙しいのに、なぜ達成感がないのか「所管のみ、目標なき役所」