年別アーカイブ:2026年

世界が認める日本料理

2026年5月28日   岡本全勝

5月17日の日経新聞別刷りに「京都・菊乃井から気鋭の料理人続々 和食国際化が結ぶもう一つの果実」が載っていました。紙面では別の表題です。

・・・欧州の都市に住む日本人ジャーナリストと話をすると、和食の国際的な広がりは我々の想像以上だと痛感する。パリのおにぎり屋の繁盛ぶりは言わずもがな、先日はベルリンみやげにイタリア産の米とベルリンの水道水で仕込んだSAKEを渡された。マドリード在住30年のライターは「日本食は常食化した」と指摘し、浸透度合いを「日本におけるスパゲティ」に喩える。

025年の日本の農林水産物・食品の輸出額は1兆7005億円と、13年連続過去最高を更新した。食品メーカーや飲食チェーンの地道な努力に加え、和食のユネスコ無形文化遺産登録(13年)もひと役買ったに違いない。
「日本料理アカデミー」(日本料理の国際的な発展と認知、世界への普及を目指すNPO法人)の中心として、ユネスコ無形文化遺産への登録をはじめ、外国人料理人受け入れ制度の導入など、和食の国際化に尽力したのが京都「菊乃井」の村田吉弘さんである。海外でセミナーやデモンストレーションを精力的に行い、和食の特質、だしやうまみを知らしめた功績は大きい。

現在、東京・青山で「てのしま」を営む林亮平さんは、その渦中で村田さんの右腕の役目を担った。01〜17年の菊乃井在籍中に、国際会議や首相官邸での晩餐(ばんさん)会、20カ国以上での和食普及イベントを手掛けた。「連日様々な案件が持ち込まれ、厨房は米国、韓国、イタリアなどからの研修生で国際色豊か。伝統や慣習に支配されがちな日本料理界に多様な考え方や価値観が吹き込んだ時期でした」と振り返る。
研修生のために、暗黙の了解を言語化する必要もあった。調理技術はもちろん、献立、歳時記、器や道具、部屋の設(しつら)えの由来や根拠を問い直し、「日本料理とは何かを日々考えていた」と言う・・・

次のような文章があります。
・・・青森県弘前市「陽」の成田陽平さんは東京、南仏、パリで計7年のフランス料理歴を持ちながら、下積みから再スタートを切った転向組。パリのミシュラン三つ星「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」で働いている時、訪れた村田さんに「フランス料理をやっていても、フランス人の上に立てない」と言われたのがきっかけだった。
「日本料理には二十四節気七十二候に基づく献立の考え方があり、コースを構成する皿数も多い。料理を取り巻く要素を理解するにも時間がかかる。でも、料理人人生で必ず役立つ」と身を投じ、9年間の修業を経て、22年に故郷で開業した。
独立にあたり、村田さんから贈られた言葉があるという。「拝顔直下」。足元を見よ、との意だ。今、成田さんが意識するのは「京料理から遠ざかること」。菊乃井で学んだ日本料理の枠組みと技術の上に、いかに郷土性を持たせるかに心を砕く・・・

いいですね。かつて私たちはフランス料理に憧れました。結婚式の披露宴はフランス料理でした。私の年になると、そして世界が、日本料理の素晴らしさが理解するようになりました。
西洋へ憧れから、脱皮したということでしょう。世界が認めると、日本人もその良さに気がついた、自信を持ったということだと思います。日本食とともに、観光地もそうです。

地方分権、人口増と減少下での違い

2026年5月27日   岡本全勝

戦後の日本では地方分権が一つの課題でした。それが1990年代に大きく進み、2000年には分権改革一括法が施行されました(第一次分権改革)。国から地方自治体に権限を下ろす、市町村を地域の行政主体とするのです。これは大きな成果でした。他方でその後は、自治体が担いにくい事務について、国が行うこととする「調整」も行われています。大規模災害時での国の役割、災害復旧での国の代行事業など。

ところが、過疎地域での人口減少で、小規模自治体が行政事務を処理できなくなる恐れが出てきました。職員数の減少、定員が充足しないことも、問題を現実化しています。ゴミ処理や消防、介護保険など、市町村が共同で行うことも進んだのですが。新型コロナウイルス対策では、各省から大量の指示・依頼文書が自治体に向けて発出されましたが、小さな自治体ではすべてを処理することは不可能でした。

昭和の市町村合併では、中学校を持つことができるように8千人を目標としました。平成の市町村合併ではそのような人口規模目標を持たなかったので、大きな政令市ができる一方で、小規模自治体が残りました。私は地域の総合行政主体としては、例えば10万人の規模は欲しいと思います。
市町村合併ができないとなると、小規模自治体が処理できない、処理しにくい業務は、近隣の市に委託するか、県が補完するのが代案だと思います。県が補完する案は、第一次分権改革後に、西尾勝先生が私案として出されたのですが、当時は反対論が多かったようです。しかし、人口減少が進み、検討が始まったようです。

OECD「日本は消費税18%まで引き上げを」

2026年5月27日   岡本全勝

5月14日の日経新聞に「OECD「消費税18%まで段階引き上げを」 高齢化対応促す」が載っていました。このような提言を、日本政府と国会は無視し続けるのでしょうか。後世の人は、どのような評価をするでしょうか。

・・・経済協力開発機構(OECD)は13日公表した対日経済審査報告で消費税率の段階的引き上げを提言した。最大18%とする試算も例示し、少子高齢化に対応する財源の確保を促した。

OECDのコーマン事務総長は13日の日本記者クラブでの記者会見で「引き上げは全体の租税負担を増やさずに可能だ。ターゲットを絞って低所得層を支援し、消費税による歳入を経済成長につなげる必要がある。財政も持続可能になる」と訴えた。
日本は消費税率を19年に10%に上げたまま据え置いている。OECD加盟国でも低水準にとどまる。

対日審査は隔年で、前回24年も消費税の引き上げを提起していた。動きがないことから、改めて対応が必要と訴えた。税率を年1%ずつ上げて18%にした場合、財政収支が国内総生産(GDP)比で3%程度改善する可能性があるとの試算も添えた。
消費税は社会保障を支える財源として有力と位置づけた。世代間で負担を公平に分担できるほか、財源としての安定性も大きい。貯蓄、投資といった経済行動をゆがめにくい利点もある。
税率を上げれば税収が増える。低所得世帯に絞った給付などの再分配策に充てるべきだと提言した。

高市早苗首相は物価高対策で食料品の消費税率を時限的にゼロにする方針を掲げ、超党派の社会保障国民会議で検討を進めている。コーマン氏は「荒っぽい対応だ。高所得者の方が恩恵が大きくなる」と否定的な考えを示した。
日本は債務残高のGDP比が200%を超え、主要先進国で突出して高い。「中期的に財政を持続可能にする難題に直面している」と強調した。

首相は「責任ある積極財政」を看板として、財政規律に目配りする姿勢をアピールする。市場は財政拡張が成長につながらず、債務だけが増大するリスクを懸念する。
足元で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは1997年以来約29年ぶりの高水準で推移している。13日は一時2.6%まで上昇した。高市政権が発足した2025年10月当時の1.6%台から1%近く高くなっている。
金利が上昇すれば借り換えコストが増し、債務の膨張圧力となる。「公的債務を低下軌道に乗せることを最優先課題とすべきだ」と指摘した。消費増税などによる歳入確保や歳出改革に加え、中長期的な財政再建の道筋を描くよう求めた。
財政健全化の指標として基礎的財政収支の早期の黒字化に言及した。補正予算については「大規模な経済ショック時に限定すべきだ」とクギを刺した。生産性を高めたり労働供給を増やしたりする構造改革も必要だと唱えた・・・

愛着と評価

2026年5月26日   岡本全勝

変な表題ですね。「言葉は人をつなぐか、離すか」の続きにもなります。

好きな人や尊敬する人には、愛着を感じます。問題は、その人の欠点を知ったときです。
世の中に完全無欠の人はいませんから、何らかの欠点を持っています。好きになる前や尊敬する前にその欠点を知っていたなら、それを織り込んで好きになっています。しかし、それを知らずに好きになってから、欠点を知ってしまうと難しくなります。
無視して良いような欠点なら問題ないのですが、好きになったり尊敬するようになった理由に関わるものだと、葛藤が生じます。

愛着は主観的なもの、好き嫌いです。他方で、評価は客観的なものです。比較の天秤には乗らないのです。
好きでない人や尊敬しない人なら、問題は生じません。客観的に評価ができます。ところが、好きな人の場合は、「好きだったのに」「尊敬していたのに・・・がっかり」という気持ちが生じます。すると、「好き」から「そうでもない」と心が離れ、さらに「嫌い」にまで下がってしまいます。あわせて、自分がそのような人を好きだったのかと、自分に対する嫌悪感も生じます。
あなたには、そのような経験はありませんか。

コロナ特例貸付、45%が返済免除

2026年5月26日   岡本全勝

5月12日の朝日新聞に「コロナ特例貸付、45%が返済免除 計6千億円超 生活再建進まず」が載っていました。

・・・コロナ禍で収入が減少した世帯が利用した「コロナ特例貸付」で、貸し出された総額1兆4431億円の45%にあたる6540億円余が「返済免除」となったことが厚生労働省への取材でわかった。コロナ禍後の物価上昇によって、利用世帯の多くが依然として生活再建に苦しんでいるためとみられる。

コロナ特例貸付は、都道府県の社会福祉協議会が低所得世帯を主な対象として実施している「生活福祉資金貸付」の特例制度。原資は国の補助金で、コロナ禍で収入が減ったと申告した世帯が最大200万円まで借りられた。2020年3月~22年9月に計382万件の利用があった。
返済の時点で住民税が非課税だったり生活保護を受給したりしていると返済が免除される仕組みで、厚労省によると、25年末時点で返済免除は6540億円、生活が苦しい場合に返済を原則1年遅らせられる「猶予」は301億円、猶予の手続きをしていない「遅滞」は1715億円だった。
返済があったのは1323億円で、残る4552億円は返済時期が到来していないという。

全国社会福祉協議会(全社協)がまとめた報告書によると、利用世帯の月収は中央値が15万~16万円程度。コロナ禍前は6割以上の世帯が月収20万円以上だったが、借入時には9割近い世帯が20万円未満に落ち込んでいたという・・・