年別アーカイブ:2026年

紙おむつがゴミの1割に

2026年7月26日   岡本全勝

7月6日の日経新聞に「少子化でも増える紙おむつゴミ 高齢化で2050年に一般廃棄物の1割超」が載っていました。記事を読んで、東日本大震災を思い出しました。避難所に支援物資を送ったのですが、「おむつが足らない」と要請が来ました。「たくさん送っているじゃないか」と言ったら、「子ども用でなく大人用です」と叱られました。

・・・紙おむつごみが増え続けている。子供の数が減る一方、高齢化で大人用の需要が急増しているためだ。2050年には一般ごみに占める割合が現在の倍以上の1割超になる。焼却や埋め立てに頼る処理に限界が近づくなか、資源として循環させる仕組みづくりが急務になっている。

紙おむつ市場の主役は子供から高齢者に移っている。日本衛生材料工業連合会によると、子供用の生産量は17年の159億枚をピークに減少し、25年には71億枚となった。一方で大人用は78億枚から105億枚へ増えた。23年に大人用が逆転した。
大人用紙おむつは子供用よりサイズが大きく重い。一般的な高齢者の排せつ物量で計算すると1日当たりの使用後重量は計1キログラムを超え、子供用の2.5倍以上に膨らむ。
環境省によると、使用済み紙おむつの廃棄量は23年度に216万トンと一般廃棄物全体の5.5%を占めた。50年度には最大で12.7%にあたる277万トンまで膨らむ見通しだ。

自治体は紙おむつの処理に頭を抱える。素材に高吸水性樹脂(SAP)を使うため燃えにくく、焼却時に炉内温度を不安定にする。排せつ物に含まれる塩分などが設備の劣化を招く要因にもなり、焼却炉の維持管理費や更新費用の増加につながりやすい。
焼却後の灰は最終処分場に埋め立てられるが、その容量にも限りがある。住民の理解を得るのが難しく、新たな処分場の整備は容易ではない。
解決策として期待されるのがリサイクルだ。大崎町と隣の志布志市は紙おむつ国内最大手のユニ・チャームと連携し、紙おむつごみを新品の原料として再利用する「水平リサイクル」に取り組んでいる。
大崎町のリサイクルセンターに運ばれた家庭の紙おむつごみは破砕・洗浄機で細かく砕かれ、汚れが取り除かれた後にパルプ、プラスチック、SAPに分離される。さらにパルプはオゾン処理設備で殺菌、漂白、脱臭を同時に施す。茶色がかった繊維は数時間で細菌が検出できないレベルまで除去された白い再生パルプへと生まれ変わる。現在は回収量に応じて週2回ペースで再生を繰り返している。
再生したパルプなどは再び紙おむつ工場へ出荷される。

ただ、全国では依然として焼却処分が主流だ。環境省の23年調査では、回答した自治体の約9割が紙おむつを分別回収していなかった。環境省は施設整備への補助などで後押しし、30年度までに150自治体でリサイクルの導入・検討を進める目標を掲げる。23年度の実施自治体は21にとどまる・・・

「高市首相のXへの投稿は行政文書に当たらず」

2026年7月25日   岡本全勝

7月23日の時事ドットコムニュースが「高市首相のX、行政文書に当たらず 政府」を伝えていました。
・・・木原稔官房長官は23日の記者会見で、高市早苗首相のX(旧ツイッター)への投稿について、公文書管理法上の「行政文書」に当たらないとの認識を示した。「個人のアカウントによる投稿だ。内閣官房が運用しているわけではないので行政文書ではない」と述べた。
同法は行政文書を公文書と位置付け、整理や保存のルールを定めている。首相は「国民の情報収集手段としての重要性が高まっている」としてXを多用・・・

他方で、官房長官は「広報官のアカウントについては、彼は内閣官房の職員であり、その広報官が運用するものは、公文書、公のものである」と説明しているようです。

職員の発言は行政文書であり(保存され)、首相の発言は行政文書ではない(保存しない)という扱いでよいのでしょうか。行政文書の範囲をどのように決めるのかという問題ですが、何のために行政文書と位置づけるのでしょうか。「上司より部下の文書の方が重要」ではないですよね。

政治家が、自らの考えを発信することはよいことです。政府に入っている政治家、特に総理の考えは、国民が知りたいものです。総理も、それを承知で発信しておられるでしょう。「歴史に名を残す」「歴史の審判を受ける」ためにも、行政文書として保存すべきだと思うのですが。将来、伝記や自伝を書かれる際にも、重要な資料となるでしょう。

国家公務員に必要な57の技能

2026年7月25日   岡本全勝

7月7日の読売新聞に「国家公務員に必要な57のスキル一覧、人事院が初めて作成…27のマインドセットも明記」が載っていました。「人事院の発表資料」。私の関心ある事項なのですが、まずは、事実のみを載せておきます。

・・・人事院は、国家公務員に必要な能力や技能を整理した「国家公務員スキル一覧」を初めて作成した。読解力や交渉力、論理的思考力など57のスキルを挙げ、「学び続ける姿勢」など27のマインドセット(考え方)も明記した。職員の自発的な学びを支援するほか、業務で身につけた能力を理解することでやりがいを高めてもらう狙いがある。

57のスキルでは、有事対応力や対外発信力、将来予測力なども挙げた。各省庁が、業務や役職に応じてスキルをさらに具体化することを想定している。
内閣人事局の調査では、数年以内に離職する意向を示した国家公務員の37%が「能力・スキルを蓄積できている実感がない」と回答した。職員から「どのような能力が身につくかわかりにくい」との不満の声もあり、職員へのアンケートや有識者の意見を踏まえて作成した・・・

マッセ大阪で講義

2026年7月24日   岡本全勝

今日7月24日は、マッセ大阪での研修講師に行ってきました。大阪府内の市町村職員の広域的な研修研究機関です。

関西大学との共催で、「行政職員が知っておくべき自治体の “お金” の話」です。私が1日目を、林宏昭先生が2日目を担当します。
対象者は、財政経験のない職員です。どのような構成にしようかと、悩みました。私がかつて本を書いたり講義をしたのは、地方財政論や地方財政の仕組みであって、学生や実務者を対象としていました。財政経験のない人に、短時間で地方財政を知ってもらうには、どのような内容にするのがよいのか。いくつか本を見ましたが、意外とないですね。

そこで3つの角度から、説明することにしました。
その1は、各地方自治体の仕事とそれを支える財政がどうなっているか、現場の地方行財政です。
その2は、日本の地方行財政の仕組みです。日本の地方自治体の税財政制度は、法律によって枠組みが決まっていること、そして国による誘導と地方団体間の調整が行われていることに特徴があります。これが、全国で均一な行政サービスを提供できる理由です。
その3は、現在の地方行政と地方自治体が抱えている課題と、それに対しどのように取り組まれているかです。
とはいえ短時間なので、「見方」をお教えして、あとは各自の関心に応じて、勉強してもらうことにしました。事前に関心事項を調査してくださったので、それも参考になりました。

また、私の話を聞くだけではつまらないので、班別討議を組み込みました。皆さん、熱心に話を聞いてくださり、討議も活発で、目的を達したようです。対面の講義は反応がよくわかって、やっていてやりがいがあります。

孤立しやすくなり、カウンセリングが必要とされるように

2026年7月24日   岡本全勝

7月5日の読売新聞「あすへの考」、東畑開人・臨床心理士の「カウンセリング 心のケア、人生の山越えるまで…」「人々が孤立しやすくなった結果、社会的に必要とされるように」から。
・・・様々な悩みであふれ、ストレスの多い現代社会。人生の苦難に直面するなかで、ある日突然、自身のメンタルが崩れてしまったり、身近な人が心の不調を抱えたりすることがあるかもしれない。
こうした「心の非常事態」に向き合うのが臨床心理士や公認心理師だ。どちらの資格も持ち、2026年の新書大賞を受賞した「カウンセリングとは何か 変化するということ」の著者でもある東畑開人さんは、約20年にわたり人々が抱える様々な悩みや葛藤に耳を傾けてきた。主宰する東京のカウンセリングルームを訪ね、現代を生き抜くヒントを聞いた・・・

夜眠れず、会社に出勤できない。ある日、子どもが学校に行けなくなる。この先どうしたらいいのだろうか――。
悩みを抱え、生活が危機に陥ったり、人生に行き詰まったりした時、人はカウンセリングを訪れます。病院や学校、役所など、様々な現場で働く心理士の同僚と話すと「ケアする体制が整うほど利用者が増える」などの現実を耳にします。近年、心のケアを必要とする場は増えていると感じます。
背景には、日本社会の構造変化があります。昔は地域や近所などコミュニティーの圧力が強く、いわゆる「おせっかい」が多い時代でした。自分のことは自分で決めたいのに、周囲の人が介入してくる。どう抜け出すかが人々の悩みの中心でした。
しかし、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が発生した1995年以降、社会から次第に余裕が失われていきました。人々のつながりが希薄になり、個人主義が強まった結果、「周りの人のことがよくわからない」のが今の社会です。他者に立ち入ることが難しくなり、自己責任の風潮も強まり、人々が孤立しやすくなった結果、心のケアが社会的に必要とされるようになったと認識しています。

僕はこれまで、学校のスクールカウンセラーや、精神科クリニックの心理士として働き、約10年前からは東京でカウンセリングルームを開業しています。子どもから高齢者までやって来ますが、悩みのメインはやはり「孤独」です。家族がいて仕事もあり、周りに人はたくさんいる。うまく生きているように見えるけれど、実は孤独を抱えている人たちがそれなりに多いと感じます。

心のケアには2種類あります。一つは国が福祉として対応するケアで、基本的に「いかに生き延びるか」という問題です。食事や住まい、当座のお金の確保に始まり、心に必要な手当てを行い、人権を保障し、生活を立て直すための支援が広く行われています。実際、行政には子育てや介護など様々な相談窓口があります。
一方で、「いかに生きるか」というとてもプライベートな苦悩については、僕のような民間のカウンセラーが向き合う仕事になるように思います。

心のケアは基本的に、普段の生活や人間関係のなかでなされているものです。子どもを駅まで送ってあげる、疲れている相手においしいものを作る、落ち込んでいる同僚に声をかける。これらも立派な心のケアです。カウンセリングのプロでなくとも、できることはたくさんあります。
ただ、時々それがうまくいかなくなる時があります。例えば、子どもに今までうまく接することができていたのに、ある日突然「うるせえ!」と拒否されてしまう。何かおかしなことが起きているけど、なぜかわからない。スマートフォンが原因かと思って取り上げると、余計に関係は悪化する。
こういう時、子どもの心はいつもと違っています。僕はこれを「雨の日」と呼んでいて、心理学的に対処するのが心理士の仕事です。アブノーマルな心の状態になった時、心がどう動くかといった心理学の知識を活用し、プロとしての専門性を発揮するのです。