年別アーカイブ:2026年

広島県・市町幹部研修講師

2026年8月20日   岡本全勝

今日8月20日は、広島県自治総合研修センターでの県と市町の幹部研修のため、広島市に行ってきました。集合研修参加者は17人、オンライン参加者が50人あまりで、合計約70人です。

これまでこの研修は講師による講話・オンライン受講が主だったようですが、主催者にお願いして、集合研修・班別討議を組み合わせることにしてもらいました。全員が集合するのは困難なので、オンライン受講との併用です。
班別討議は、4班に分かれ、短時間のうちに課題の答えを考える必要があります。課題は、事務局と相談して、参加者に適した問を考えました。
さらに、それを発表し、ほかの班から「突っ込みの質問」があり、それに答えなければなりません。しかも、初めて会った人もいる共同作業です。皆さん、なれない作業ですが、そこは県と市町の幹部です。適確な答えと、質疑がありました。

私は、オンライン講義が嫌いです。参加者の反応が十分にわからないのです。「この人はこの話題はわかっているな。あの人はどうかな」と反応を見ながら話します。また、一方的な講義、特にオンライン研修は効果が低いと思っています。オンライン受講は、画面をつけたまま、内職ができますよね。研修は、職場から隔離された部屋でカンヅメにされる方が効果があります。そして、聞くだけでなく、参加型の負荷がかかるのがよいです。「会社員のeラーニング受講完了4割、ながら受講は8割」

追記
講義で紹介したこのホームページの「明るい課長講座」
「明るい公務員講座」3部作

消費者庁、フードバンクに認証

2026年8月20日   岡本全勝

8月3日の日経新聞に「フードバンク4団体に初認証、消費者庁 2030年度に寄付倍増へ」が載っていました。

・・・企業などから余った食品を引き取り、生活困窮者らの支援団体に無償で提供する「フードバンク」の認証制度を巡り、消費者庁は28日、4団体を初めて認証した。食品を適切に管理する団体を認証し、安心して寄付できる環境を整える。
政府は2030年度までに食品の寄付を倍増させる目標を掲げており、受け入れる団体側の体制整備も課題になる・・・

賞味期限前に廃棄される食品は、1年で24万トンに上ります。全国に300団体あるフードバンクの取扱量は1.5万トンです。企業は、寄付した食品の横流しや、適切に管理されず食中毒などの事故が起きることを懸念しています。そこで、政府がフードバンクの審査をして、お墨付きを与えるのです。

時代は進む2

2026年8月19日   岡本全勝

「時代は進む」の続きです。
時間がたつと、社会が変わってしまう事例のもう一つは、講演です。国際協力機構(JICA)の依頼で、アジアやアフリカの後発国政府幹部に、「日本の発展を支えた行政機構」をしばしば講義しています。明治以来の日本の発展を写真や数字で示し、その要因のうち行政の役割と国民意識を説明しています。
明治維新から敗戦までを第1期(近代国家への転換)、敗戦から現在までを第2期(驚異的経済成長)と説明していたのです。しかし、「経済成長外国比較」の図が年とともに伸びていくと、長期停滞を説明しなければならなくなりました。質問が出るのです。そこで、1991年のバブル経済崩壊から現在までを、第3期(成熟社会での模索)と位置づけ、説明しています。次が、その講義骨子(目次、部分)です。

Ⅰ 近代日本の発展の歴史
小さな貧しい農業国が、100年で、世界の強国に発展
第1期 1867年~1945年 近代国家への転換
(1)明治維新(1867年~) 西欧国家を手本として、近代国家建設へ
(2)世界の強国に
(3)第二次世界大戦での敗北
第2期 1946年~1991年 経済大国へ
(1)廃墟からの復興と驚異的な経済成長
(2)住みよさの向上
(3)国全体で努力
第3期 1991年~現在 成熟社会での模索
(1)社会は安定、経済は停滞
(2)政治と行政の改革=官僚主導から政治主導へ、地方分権改革
(3)社会の仕組みの改革=男女共同参画、働き方改革など

Ⅱ 日本の成功の要因
1 社会の安定と発展の基礎
2 行政機構の役割
3 問題もあった
Ⅲ 信頼と倫理の育成

実年齢より若く感じる高齢者

2026年8月19日   岡本全勝

8月1日の日経新聞に「シニアの「気の若さ」マイナス7〜8歳 加齢に前向きで4年長生き」が載っていました。

・・・自分は実年齢より若いと感じる傾向を「若年視」と呼ぶ。60代以上では実年齢との差が7〜8歳に広がるという調査がある。気の若さが健康に与えるプラスの影響も分かってきた。

自分をどの程度若い、あるいは老いたと感じるかを主観年齢という。早稲田大学文学学術院心理学コース助手の澤田奈々実さんらは、東京都在住の4500人を対象に、主観年齢の世代変化を調べた。
20代では主観年齢が実年齢を0.2〜1.7歳上回った。30代以降は逆転し、30代で約2歳、40代で約4歳、50代では5〜6歳若く認識。60代以降ではマイナス幅が7〜8歳近くまで広がった。

なぜ年を重ねるごとに、若い方向にギャップが広がるのか。澤田さんによると、背景には心の防衛戦略がある。老いは喪失や衰退など負のイメージと結びつけられやすい。「自分は違う」と心理的に距離を置き、それが実年齢より若い主観年齢として表れるのだという。
男性は50代から60代以降にかけて若年視がマイナス5.1歳から同7.8歳へと一気に進み、その変化幅は女性より大きい。澤田さんは「働き方の違いが影響している可能性がある」と分析する。「50代以降は定年退職が視野に入り老いを意識する。『自分はまだ現役で能力もある』と考え、アイデンティティーを保つのではないか」

こうした心理は以前から知られており、実年齢と主観年齢の差は先行研究と大きく変わらないという。一方で、現在の高齢者は昔より若返っているという指摘もある。
日本老年学会と日本老年医学会は2017年、現在は65歳以上を高齢者としている区分について、加齢による身体機能の低下が10〜20年前よりも5〜10年程度遅くなっていると指摘。65〜74歳を「准高齢者」、75〜89歳を「高齢者」、90歳以上を「超高齢者」とする新たな区分を提言した。国立長寿医療研究センターの研究によれば、認知機能が良好な高齢者も増えている。

意識も変化してきた。「『老人』『お年寄り』は何歳から?」。博報堂生活総合研究所は1986年から10年おきに60〜74歳に同質問を尋ねてきた。86年時点で「老人」は71.5歳からだったが、2026年には75.9歳に上昇。「お年寄り」も72.8歳から75.8歳まで高まった。
上席研究員の高橋真さんは「今の60〜74歳は、自分たちは老人でもお年寄りでもないと思っている」と解説する・・・

私の子どものころは、60歳を超えると老人でした。平均寿命は男性64歳、女性68歳(1955年)でしたから。71歳は、かなりの老人でした。でも、今の私は、孫から「じっちゃん」と呼ばれても、自分のことを老人とは思っていません。若いときのように、動けず体力はありませんが。

時代は進む

2026年8月18日   岡本全勝

連載「公共を創る」は、本文はひとまず書き終え、まとめに入るために、これまでの議論の振り返りに入っています。そこで、これまでの執筆を再度眺めて、考えています。すると、時代は進み、社会は変わってきたと実感します。
連載「公共を創る」は2019年から書き始めましたが、その出発点となる文章は富山県総務部長時代(1994~1998年)に始まっています。小冊子「地方自治50年 私たちの得たもの忘れてきたもの」(1997年、富山県職員研修所)に、当時の考えをまとめたのです。

交付税課長補佐時代に『地方交付税・仕組みと機能-地域格差の是正と個性差の支援』を書いて交付税の機能と成果を考え、戦後日本社会の発展と地域の発展を評価しました。ちょうど戦後50年でした。富山県に赴任し、地域の実情も確認できたので、それをも含めて考えを整理しました。「公共を創る」第41回の図表2「富山県の変化」はその時、県職員の協力を得て作ったものです。豊かな社会、全国で一律の行政サービスを達成し、次は何をするべきかを考えていたのです。

「経済成長外国比較」の図も、その時から使っています。元は経済企画庁の資料です。まさに鯉の滝登りのように、右肩上がりで成長し、アメリカに追いつき追い抜きました。1991年にバブル経済が崩壊したのですが、この図では1995年まで成長しています。円ドル相場の影響もあります。当時は、「経済成長を遂げた日本」という誇りと「この経済成長が続くとして、次に何をするのか」かが、私の問題意識でした。

その後、長期停滞に入り、「経済成長外国比較」の図では1995年から横ばいになります。「経済成長の軌跡2024」も、作りました。戦後の経済成長を「高度経済成長期」「安定成長期」の2期に分けて説明し、第3期はいずれまた復活するのだろうと思っていました。ところが「失われた10年」は「失われた20年」になりました。
第1期、第2期とも偶然18年間だったので、第3期も18年の2009年が区切りがよいと思ったのですが、そうはなりませんでした。それどころか2008年はリーマンショックが起きて、さらに悪くなりました。「経済成長の軌跡2024」では、経済専門家の意見を聞いて、2012年を仮の区切りとしています。

さて、最初の議論に戻ると、「戦後日本社会の発展と地域の発展」は、最初は「素晴らしい成功を収めた日本」として書き始めたのですが、現在となっては「その後は長期停滞し、国際的にも中位の国になった」と書かざるを得ません。成長した第1期と第2期を会わせて36年です。その後の長期停滞は2026年で35年になり、ほぼ同じ期間なのです。いつの間にか、経済成長は遠い昔になりました。35年前は、若い人にとって大昔でしょう。「経済成長の軌跡2024」では4期に分けていますが、今作るなら、1991年を境に前期と後期の2つに分ける方がわかりやすいでしょう。
「公共を創る」も、書き続けているうちに、内容や主張に変化を加えなければならなくなりました。今、これまでの議論を振り返り要約しているのですが、構成なども変える必要があるなあと考えています。あらためて「時代は進む」と思います。
この項続く