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朝日新聞に出ました

2026年3月14日   岡本全勝

今朝3月14日の朝日新聞社説「津波被災地の復興 一人ひとりの歩みをより前へ」に、私の発言が引用されました。
・・・発災直後から復興に向け事務方の陣頭指揮をとった岡本全勝・元復興庁事務次官は振り返る。「人口減少下の復興という課題が顕在化した災害だった。住宅の整備だけではまちは戻らないと痛感した」
被災地に出向き、商店に加え働く場づくりが必要と改めて気づき、これまでの国のルールにとらわれない産業支援策も考えた。一方で、早く安全なまちにと先行した巨大な防潮堤などインフラの復元が、まちの復旧と切り離されてしまったと悔やむ・・・

また、朝日新聞ウェッブ版に、「「仮設住宅ができても暮らせません」 官僚を動かした被災者の言葉」というインタビューが載りました。一部を紹介します。
・・・東日本大震災の発生直後、霞が関に突然、呼び戻された官僚がいた。自民党の麻生政権で秘書官を務めた総務官僚の岡本全勝(まさかつ)氏(71)だ。民主党への政権交代後、自治大学校の校長に就任していたが、震災対応を命じられた。復興に向けて、裏方として陣頭指揮をとった岡本氏に、人口減少が進む日本の災害対応のあるべき姿を聞いた。

―東日本大震災は、政府の復興の考えを大きく変えたと言われています。
「一番の成果は、復興の哲学を『国土の復旧』から『暮らしの再建』へ転換したことです。発災当初は、道路や住宅などインフラを直せば復興は終わると思っていました。しかし、仮設住宅がほぼ完成した半年後、『これで一段落ですね』と地元の人に言ったら、『仮設ができても暮らせません』と言われました」
「避難所では生活物資が無償で提供されますが、仮設住宅に入ると食事も日用品も自分で調達しなければなりません。ところが、商店街は流され、仕事もない。そこで、初めて仮設住宅を作っただけではまちは戻らない、商店と『働く場所』が必要だと痛感しました」

―それまでの災害対応では、なかった考えでした。
「東日本大震災は、人口減少が進む過疎地域で起きた、初めての巨大災害でした。阪神・淡路大震災は都市部で起きましたから、道路と住宅を直せば人は戻った。しかし、あのときはそうはいかなかった。人口減少下の復興という課題が、顕在化した災害だったと言えます」

―一方で、人口や経済規模に比して過大な復旧・復興となった地域があったのではという指摘もあります。
「大きく三つの問題がありました。一つは、防潮堤や堤防などのインフラの復元が、まちの復旧と切り離されて先行したこと。二つ目は、人口減少を前提としたまちづくりが十分にできなかったこと。三つ目は、小さな集落を個別に復旧してしまったことです。漁業を営む住民たちが、漁港の近くの高台に集落を移すケースが少なくありませんでしたが、近くに商店や学校、病院はありません。そういう集落は不便ですし、30年後に住む人がいなくなる可能性があります」・・・

職場飲み会の是非

2026年3月14日   岡本全勝

2月20日の読売新聞に「職場飲み会って必要?」が載っていました。

・・・忘年会に新年会、花見の後は暑気払い……。職場の上司や同僚と良好な関係を築くために行われてきた飲み会が減っています。コロナ禍に加え、働き方や価値観の多様化が背景にありますが、一体感や団結力の向上に役立つとの意見も。「飲みニケーション」は必要と思いますか。

インターネット広告会社「ユニアド」(東京都渋谷区)は創業5年目の2019年、有志での集まりを除いて会社の飲み会行事を全面禁止しました。「仕事に必要ではなく、社員の負担軽減にもなる」。同社の中釜啓太社長(39)は狙いをそう説明します。
中釜さんは20歳代の頃、当時働いていた会社で、上司からの飲み会の誘いを断れなかったり、酒席でのマナーに欠けていないか気をもんだりした経験があります。若い社員に同じ思いをさせたくなくて、禁止を決めたそうです。
ユニアド社では普段から業務での連絡を密に取っており、社員同士のコミュニケーションは良好といいます。中釜さんは「飲み会が苦手な学生も入社を希望してもらえるし、誰もが働きやすい職場づくりができている」と話します。
不動産大手「オープンハウスグループ」(千代田区)も社内ルールで原則「飲み会禁止」を掲げます。広報担当者によると、戸建て住宅やマンションを売るのに日夜多忙な社員にとって「同僚との酒席は愚痴や不満を言い合う場になりがちで、業務の役に立たない」との考えからで、社員からは「時間やお金を自己成長のために使えるので良い」といった声が出ています・・・
・・・東京大の川口大司教授(経済学)のチームは日本、韓国、台湾で働く計3500人の男性会社員らを対象に、酒が飲めるかどうかと、実際の収入や労働時間の関係を調べました。その結果、酒が飲めるからと言って収入が増えるわけではないとの結論に至りました・・・

・・・「管理職は積極的に部下との飲み会を設けるべきだ」。中小企業向けコンサルティング会社「武蔵野」(東京都小金井市)の小山昇社長(77)はそう持論を語ります。
同社では、年間約3000万円を社内懇親会、つまり飲み会の経費に割いています。日程は余裕を持って約1か月前に設定し、参加者には業務として「残業代」を支給。社員同士の絆が強くなり、おかげで中途退職者が減ったといいます。小山さんは「懇親会で上司と部下の心理的な距離が近づけば、職場の問題点も見えてくる」と強調します。
「深い人間関係を築くのが簡単で、得られるものは大きい」。飲み会への積極的な参加を勧めるのは、営業コンサルタントの菊原智明さん(53)です。ハウスメーカーの営業マンだった20~30歳代の頃、飲み会によく出たという菊原さんは、上司にメンタル面の悩みを聞いてもらったほか、普段は接点のない社員とも交流し、仕事のサポートを受けることができたそうです・・・

・・・会社の飲み会と言えば、居酒屋で夜遅くまで上司に付き合うイメージがあるでしょう。今では、こんな「従来型」を敬遠する人も増えているようです。九州大学都市研究センターが20歳以上の会社員7500人を対象に「好ましい飲み会とは何か」を調べたところ、「参加・不参加の自由度が高い」が最も多く、男性は12%、女性は17%がそう回答。また、「開催時間が適切(早い・短いなど)」も3位に入り、男性は10%、女性は12%が挙げました・・・
・・・明治大の堀田秀吾教授(コミュニケーション論)は、飲み会について〈1〉素の自分を見せ、他人との関係が強固になる〈2〉コミュニケーション力が鍛えられる〈3〉職場の雰囲気や作業効率の向上につながる――と利点を挙げます。堀田さんは「飲み会は日本の企業文化では必要な要素で、各企業は存続に知恵を絞ってほしい」と話しています・・・

図表がついています。2019年に忘年会と新年会を実施したのが78%、しないのが22%でした。コロナの時期は実施せず、2025年では実施するが57%、しないが43%です。

連載「公共を創る」第252回

2026年3月13日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第252回「政府の役割の再定義ー求められる将来の日本を考えた政策議論」が発行されました。社会の未来を考え、つくり上げていく主体と方法について議論しています。前回までで、報道機関、非営利団体、研究者、企業、労働者団体への期待を述べてきました。

社会の未来に関して議論するに当たっては、一番の責任者は政治家です。この30年間の社会の停滞は、政治の議論の中での問題の設定を間違っていたことが最大の理由だと考えています。この国の将来像を示すことは、政治家の役割です。目の前にある無駄の撲滅にばかり取り組み、小さな政府を提唱しているだけでは、夢のある未来は想像できません。
政治主導が十分でないのは、「官僚主導」の負の遺産(代償)とも見ることができます。日本の政治は長く「官僚主導」(実際は与党との協働)が続いたこと、政治家が官僚に依存していたことから、その転換は順調ではありません。官僚主導という「この国のかたち」は、簡単には壊れないのです。省庁再編から25年が経つ今でも、官僚主導の時代を引きずっています。

議論の仕方についても、触れておきました。
異なる意見の人たちが考えをぶつけ合うだけでなく、将来の社会に向かって、互いが納得する結論を得ることが必要です。国会や地方の議会は、本来政治の議論の場ですが、決して成功してはいません。国会では、本会議にしろ委員会にしろ、多くの場合は、議員が政府の考え方を問い、その際に自説を述べることが多いのですが、それ以上に議論が深まりません。
そもそも議会や委員会などの場は、公開され現在進行で批判や評価がなされる場です。公開の場では、発言者、特に各種勢力を代表している者は、観客や視聴者、応援してくれている人たちを意識した発言をせざるを得ません。すると、妥協しにくいのです。別途、非公開の場で妥協点を探り、結論を出す必要もあるのでしょう。

尊敬する人は父親より母親

2026年3月13日   岡本全勝

2月21日の日経新聞に「イクメン増えても父の地位低下 尊敬も感情共有も母に軍配」が載っていました。
博報堂の、19~22歳の未婚の男女600人を対象とした調査です。
「尊敬する点が一番多い相手」は、1994年では父親46%、母親28%でしたが、2024年では母親43%、父親34%です。
「自分の価値観や考え方に一番影響を与えている相手」は、1994年では母親22%、父親21%でしたが、2024年では母親41%、父親20%です。

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が2018、21、24年に実施した合同調査では「進路決定に影響した人の意見やアドバイス」は3回連続で「母親」が1位です。「父親」は21年と24年は「高校の先生」「友達や先輩」に次ぐ4番目でした。

・・・30年前よりも育児に関わる父親、イクメンは増えたはずなのに、なぜか。
博報堂生活総合研究所上席研究員の高橋真さんは「女性の進学率や就業率が高まり、『大黒柱』として尊敬されていた父親の役割を女性も担うようになった。現代の母親は学校の対応や家事、仕事をこなすスーパーヒューマン。ロールモデルとして母親の存在感が増している」と見る。

実際、専業主婦世帯は1980年の1114万世帯から24年には508万世帯に減少。共働き世帯は90年代に専業主婦世帯を超え、2024年には1300万世帯と専業主婦世帯の2.5倍に増えた。女性の大学進学率も1974年の11.6%から2025年には56.5%に伸びた。

男性学に詳しい京都大学名誉教授の伊藤公雄さんは「男は『弱みを見せてはいけない』といった価値観の社会で育ち、家庭内でも職場のように結論先行型で感情のないコミュニケーションをとりがち。共感しながら関係を深める意識が大切」と指摘する・・・

NHKスペシャルに出ました

2026年3月12日   岡本全勝

3月11日夜10時からのNHKスペシャル「わたしたちの“復興” 震災15年・当事者たちの告白」に出ました。見逃し配信で見ることができます。
10分過ぎと26分過ぎの2度、登場します。11分過ぎには当時の地元との会議風景も映ります。向かって右隣にいるのは、私を支えてくれた福井仁史君(後の迎賓館館長)です。

東日本大震災から、15年です。津波被災地の復興は、ほぼ終わりました。責任者として当時は精一杯頑張ったのですが、振り返ると、良かった点とそうでなかった点があります。
それまでの災害復旧は、公共施設とインフラをなるべく早く元に戻すという哲学でした。しかし、人口減少の進む過疎地では、インフラなどを元に戻しても、時間がたつと過大な施設になります。また、インフラだけでなく働く場所の再開も重要でした。その哲学の転換期だったのです。
その教訓を、どのように今後の災害に生かすか。私の経験が役に立てばと思い、話しました。収録は結構長く、いろんなことを話したのですが、番組登場は少しでした。番組の構成からは、そうなるのでしょうね。

原発事故についても話したのですが、番組では使われませんでした。原発事故被災地での復興は、まだ道半ばです。私はこの事案に長く携わったのですが、もう現場を離れて時間が経ちました。誰か、長期間にわたって全体を見て、それを語る人が出てきて欲しいものです。

2011年の10年目には、いくつもの取材を受けました。次のページに整理してあります。「復興10年での振り返りなど
15年目の今年も、報道機関が特集を組んでいます。いろんな視点から振り返り、将来への教訓を伝えています。重要なことです。