月別アーカイブ:2026年9月

仙台放送に出ました、震災15年

2026年9月4日   岡本全勝

9月3日夕方の仙台放送ニュース番組に出ました。ウェブサイトで見ることができます。「被災地で進んだインフラ整備 維持管理費が圧迫する自治体財政」
先日、取材を受けた際には長く丁寧に話したのですが、いつものように採用されたのはごく一部でした。住民に高齢者が多く、この先は人口が減るとわかっていても、公営住宅を造らないわけにはいきません。私たちが工夫したのは、なるべく市街地につくって、空き部屋が出ても次の人が入ることができるようにすることでした。しかし、地域で住民が減ることには、逆らえません。難しいところです。

この番組は、大震災から15年が経ったいま、課題を考えるという企画です。次のように書かれています。
「東日本大震災の発生から15年以上が経ち、インフラ整備はほぼ完了したことから、『復興』は新たな段階に入りました。仙台放送では、巨額の復興予算がどのように使われ、15年以上たった今、被災地にどのような課題があるのかをお伝えする、シリーズ企画、『復興検証42兆円のゆくえ』をお伝えします。」
8月31日 グループ補助金
9月1日 防災集団移転事業
9月2日 被災した方々の心のケア

カスタマーハラスメント対策、企業に義務付け

2026年9月4日   岡本全勝

8月17日の日経新聞に「カスハラ対策に企業奔走 10月の義務化直前、「現場任せ」脱却必要」が載っていました。

・・・顧客による迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の対策が10月から企業に義務付けられる。怠れば法的リスクが発生し、経営にも悪影響を及ぼしかねない。現場の従業員に「丸投げ」せず、企業が方針を定めて周知することが重要だ。

「お客さまおよびスタッフの安全を守るため、警察に通報させていただきます」「今後のご利用をお断りする場合がございます」。東京都内の携帯電話販売店に掲げられたポスターには、暴力や脅迫、従業員の無断撮影などの行為を例示するイラストともに、こんな言葉が並ぶ。
販売代理店の運営企業約400社が加盟する全国携帯電話販売代理店協会のアンケート調査(2025年度)によると、直近1年半でカスハラを経験した従業員は約1万1千人の回答者の約60%に上った。そのうち「暴言を受けた」人が半数弱、「机をたたくなどの威嚇や脅迫を受けた」人は約4割だ。

10月1日施行の改正労働施策総合推進法は、事業主にカスハラ対策に必要な体制の整備や、防止措置を義務付ける・・・

連載「公共を創る」第269回

2026年9月3日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第269回「これまでの議論ー再チャレンジ政策とこれからの行政」が発行されました。
私が「人間らしい生き方への被害」に関心を持つきっかけとなった再チャレンジ政策、その相談窓口の「地域若者サポートステーション」について説明しています。ここで行われている業務は、従来の行政手法とずいぶん違うのです。
その1は、業務の「相手」が、組織でなく個人であることです。従来の行政は業界(企業や団体、あるいはその連合会など)を相手にすることが多く、生活者を直接相手にすることは、苦情対応のような場合を除き多くはありませんでした。
その2は、実現の「形」の違いです。若年無業者の自立支援には大きな施設は不要で、相談を受けて指導できる人が重要です。つまり、人材と技能です。
その3に、「出掛けて行く」ことへの転換です。これまでは、役所は来る人を窓口で待っていました。しかしこの仕事では、こちらから出掛けて
行く必要があります。
その4に、行政以外の担い手が重要かつ必要なことです。若年無業者の自立支援では、行政機関よりも、非営利団体(NPO)が活躍しています。市町村も、それらの組織に仕事を委託しています。
その5に、従来なら家庭に任されていた問題が行政の仕事になるということは、行政が家庭の中に入ることです。

このように、再チャレンジ政策は、行政の在り方を考えることにつながりました。これまでは、行政が社会や企業の先頭に立って、指導や統制をしました。これからは、国民が自由に行動してそれぞれ幸福を求め、企業が自由に競争して社会の利益を高めます。そして行政がその後ろで支える。そのような役割分担が、望ましいでしょう。行政は豊かで平等で自由な社会という目標を達成し、次の役割を模索していたのですが、ここにそれが見えるように思えます。

困った人を救うために、社会保障制度があります。しかし、公的扶助(生活保護)にしろ、社会保険(医療、年金、介護など)にしろ、金銭、現物、サービスの給付が主でした。しかし自立支援は、このような給付だけでは目的を達成することはできず、継続的な相談や助言が必要です。これまでの社会保障制度を超えた、新しい考え方が求められます。これまで行政が前提としていた、近代市民社会像と近代憲法の考え方を変える必要が出てきます。

分権、権限移譲を求めず

2026年9月3日   岡本全勝

8月13日の日経新聞に、谷隆徳・編集委員が「変質する地方分権 自治体の仕事どう減らす」を書いておられました。

・・・地方分権といえば、自治体の権限や自由度を高める改革だった。しかし、今では自治体の仕事をどう減らすのかが課題になっている。人口減やデジタル化が背景だ。「変質する」地方分権について考えてみた。
政府の地方分権改革有識者会議(座長・市川晃住友林業会長)が6月3日に開かれ、2026年に自治体から寄せられた385件に上る提案内容が報告された。医療や福祉分野が多く、関係する省庁別でみると総務省が最多で、厚生労働省や国土交通省が続く。
安倍政権時代の13年にこの有識者会議が設置され、14年から始めたのが「提案募集方式」だ。それまでの分権改革は政府が設けた委員会が包括的な改革案をまとめ、政府が段階的に実施した。新方式は自治体から毎年、改善を求める事務事業を募り、内閣府を窓口に各省庁と折衝し、実現可能なものは法改正する。
同会議は提案を求める際に毎年、「重点募集テーマ」を設けており、今回初めて「事務処理方法の見直し」が盛り込まれた。事務そのものをなくし、処理する主体を変える試みで、自治体から240件の提案があった。
「この3年ほど、行政サービスを持続可能にするための要望が増えてきたので今回、重点テーマに据えた」と内閣府地方分権改革推進室の稲原浩室長は話す。国、都道府県、市町村の役割分担について審議している政府の地方制度調査会の動きも背景にある。
具体例をいくつかみてみよう。ひとつは「都道府県経由事務」の廃止だ・・・

・・・提案募集方式が始まった当時は、権限の移譲を求めたり、国が定めた職員の配置基準などの緩和を要望したりする内容がほとんどだった。後者は今も多いが、前者の権限移譲は今回は2件しかなかった。有識者会議の取り組みは、もはや分権改革とは呼びづらい。
ただし、地方分権は目的ではなく、地方自治を強化する手段だ。人口減やデジタル化を踏まえて、形式的な手続きや実情に合わない事務を見直すことは悪い話ではない。

日本の行政システムは同じ業務を国、都道府県、市町村が協力して実施する「融合型」になっている。自治体の提案に基づいて仕事を減らすことはもちろん重要だ。しかし、国の仕事は企画から実施まで国がすべてを担い、自治体の仕事とはっきりと切り分ける「分離型」に変えないと、状況はなかなか改善しないのかもしれない・・・

「欧米に学べ」「アジアに遅れるな」

2026年9月2日   岡本全勝

明治以来日本は、多くの面で「欧米に学び、追いつけ追い越せ」を国是としてきました。国民の努力によって、特に高度経済成長で経済的に追いつき追い抜き、産業、教育、行政などでも追いついたと思いました。もちろん「輸入し揃えた」のは制度などで、運用は異なっていることも多かったです。

ところが、バブル経済崩壊後の長期停滞で経済が停滞し、他方でアジア各国の追い上げによって、追いつかれ追い抜かれました。すると、次の標語は「アジアに遅れるな」でしょうか。
「輸出額、韓国と台湾に抜かれる」「電柱王国日本」「ビッグマック指数」