月別アーカイブ:2026年9月

病児保育、増える利用、苦しい現場

2026年9月7日   岡本全勝

8月21日の朝日新聞に「病児保育、増える利用、苦しい現場」が載っていました。

・・・少子化が進むなかでも、利用者が増加傾向にある病児保育。「予約がとれない」という切実な声も少なくありません。背景には、コロナ禍を経て感染症への向き合い方が変化したこともあるといいます。現状や課題について、全国病児保育協議会の杉野茂人会長(70)に聞きました。

―病児保育の利用者が増加傾向なのはなぜですか。

一つは、社会構造の変化です。共働き家庭がさらに増え、核家族化も進みました。
もう一つは、コロナ禍を経て感染症への考え方が変わったことです。以前は多少の風邪症状があっても保育園などで預かってもらえることもありました。しかし現在は、熱がなくても、感染防止の観点から「念のため」と受診やお迎えを求められるケースが増えています。
単なる「かぜ」ではなく、アデノウイルスや溶連菌などの診断がつくと、保育園では一定期間預かれません。そうした時に、病児保育が必要とされる場面が増えています。

―こども家庭庁の調査では、病児保育が「足りている」「余裕がある」とする自治体が8割にのぼります。それなのに「予約が取りにくい」のはなぜですか。

利用者数と定員数を比べると足りているように見えます。しかし、病児保育が足りているかどうかは、充足率だけでは判断できません。
病児保育で預かる子どもの多くは、急性期の感染症です。施設内で感染が広がらないようにしなければなりません。発熱などの原因が分からない子どももいます。この子とこの子は別の部屋で預かろう、担当する保育士も分けよう、といった、病児保育特有の判断が必要になります。
定員に達していなくても「今日はこれ以上、受け入れない方がいい」と判断することもあります。単に充足率で見るのではなく、一人ひとりが必要な時に、安心して使えたかが大切です。

―同じ調査で、赤字の施設は6割を超えます。運営面の課題は。

まず、季節によってニーズに波があることです。夏や冬の感染症流行期には予約が集中しますが、そうでない時期は1週間以上利用者がゼロということもあります。一方で、人員は確保しておかなければなりません。
さらに、当日キャンセルが相次ぐという問題があります。子どもの体調が回復したのならいいのですが、保護者のなかには「どうしても仕事を休めない。どこかには預けたい」と、複数の施設を予約する人もいます。
病児保育では人数だけでなく、利用する子どもの病状なども踏まえて受け入れを調整します。そのため、利用の可否が決まるのは当日朝になることも少なくありません。キャンセルが出た時点でほかの利用希望者に空きを案内しても、すでに仕事を休んでいるなど、利用につながらないことがあります。一方、施設側は人員を確保しているため、人件費は発生します。
全国調査でも、キャンセル率は5割近くにのぼり、施設運営の面で大きな課題です・・・

総理のSNS投稿は行政文書か2

2026年9月6日   岡本全勝

「総理のSNS投稿は行政文書か」の続きです。
世間では「公文書」と言いますが、現在はその用語は使わず、定義を変えて「行政文書」と言っています。「政府に「公文書等」はあるが「公文書」はない」

「高市首相のXへの投稿は行政文書に当たらず」では、「「歴史に名を残す」「歴史の審判を受ける」ためにも、行政文書として保存すべきだと思うのですが。将来、伝記や自伝を書かれる際にも、重要な資料となるでしょう」と書いたのですが、識者の意見も聞いて考えました。一律に行政文書として扱うのは(総理の発言などを含めて)、実務上も合理的ではないと思います。次のように分類してはどうでしょうか。

1 かつての公文書に当たるもの
定型化された意思形成過程についての文書。各省協議、法制局、審議会、閣議請議など、かつての「決裁書のついた公文書」。これは、役所としては残さなければならないものです。公文書管理法で、役所に作成と保存の義務がかかっています。いずれ公文書館に移管され、公開されるのでしょう。

2 それ以外の行政文書
現在「行政文書」としているもののうち、1を除いたもの。行政文書の定義は、①職員が職務として作って、②組織的に共用し、③今現在役所が持っていることです。これらは残すかどうか判断されますが、多くの場合、短期間で廃棄されているようです。私は、組織にとって都合の悪いやりとりや記録でも、後世に伝えるために、あるいは「保身」のためにも、残すべきだと思うのですが。「都合が悪いから廃棄する」ようでは、公務員への信頼は落ちるばかりでしょう。

それはそれとして、総理の発言も、職員が書き取って、組織的に共用し、持っているものなら、これに当たります。職員が総理に説明した資料や、総理の行動記録などもここに入ると思います。その中には政策の基礎となった総理指示などもあり、行政文書の中でも重要ですから、1に準じた扱いをすべきでしょう。なお、この場合は行政文書ですから、総理自身も持ち帰ったり、後で直したり廃棄したりすることはできません。総理も「自らの発言は記録として残る」と自覚して、発言するべきです。
この項続く

アフリカ大陸を正確な大きさに

2026年9月6日   岡本全勝

9月5日の時事通信ウェブニュースが「アフリカ大陸、正確な大きさに 地図移行促す決議採択―国連総会」を伝えていました。

・・・国連総会(193カ国)は4日、各国の実際の面積を正確に反映する世界地図の利用を促す決議を、164カ国の賛成多数で採択した。決議案は西アフリカのトーゴが主導して提出し、アフリカ大陸の大きさを正しく表示することを求めてきた。
決議は各大陸の面積をより忠実に表現する「イコールアース図法」への移行を加盟国や国際機関に促す。米国だけが反対し、ウクライナなど6カ国が棄権した。
16世紀に考案され、世界で主に使われている「メルカトル図法」では、赤道から離れるほど陸地が大きくなり、相対的に北米や欧州が大きく、アフリカ大陸や南米などが小さく描かれてきた。アフリカ大陸は、デンマーク自治領グリーンランドと同等の大きさで表示されるが、実際は約14倍の面積を持つ・・・

メルカトル図法は面積を正しく表さないとは知っていましたが、アフリカ大陸がグリーンランドの14倍もあるとは知りませんでした。球面を平面に写そうとするには、無理があります。イコールアース図法は、メルカトル図法に慣れた私たちにも受け入れやすいです。

「欧米に学べ」「アジアに遅れるな」2

2026年9月5日   岡本全勝

「「欧米に学べ」「アジアに遅れるな」」の続きです。
櫻井泰典・前自治体国際化協会シンガポール事務局長が、月刊『地方財務』に「シンガポールの公共政策」を連載しています。8月号で17回になります。小さな国家であり、建国から半世紀あまりの国ですが、1人当たり所得では日本よりはるかに高い国です。
条件に恵まれない国が、どのように豊かな国になったか。日本が学ぶことも多いようです。ところが、日本では欧米には大きな関心を持って、事例を紹介するのですが、アジア各国についてはそうでないようです。

最近の連載では、多文化共生政策(2026年5月号)と、製造業振興(6月号)が勉強になります。
多民族で多宗教、多言語。建国時にはその対立で暴動も起きています。人種対立や宗教をあおる行為が法律で禁止され、選挙や住宅などで調和を進める政策が取られています。
小さな都市国家で面積も人口も限られているのに、製造業が強いのです。生産物の内容は、時代とともに変化しています。それに成功したのです。

人工知能を使って気軽に文学賞に応募

2026年9月5日   岡本全勝

8月17日の日経新聞に「AI小説が文学賞に殺到 増える選考コスト、公募新人賞は存続できるか」が載っていました。
・・・今年に入って、どこの文学賞も応募が急増している――。出版関係者らがそんなささやきを交わしている。人工知能(AI)を使って気軽に大量の小説を出力できるようになった結果、公募新人文学賞の存続が危うくなりかねない事態を招いている。

「いくらなんでも多すぎる」。早川書房編集本部シニアエディターの塩澤快浩氏は目を見張った。今年3月末に応募を締め切った「第14回ハヤカワSFコンテスト」の応募点数は1012点。例年400点前後で推移していたが、突然、倍増した・・・

応募が増えることはありがたいことですが、選考にかかる負担が増えること、作家を発掘することが難しくなるなど困ったこともあるようです。人工知能が書いたのかどうか、選考委員も試されます。