月別アーカイブ:2026年9月

非公開の与党事前審査

2026年9月9日   岡本全勝

「総理のSNS投稿は行政文書か2」の続きにもなります。
役所の意思決定にかかる文書は、保存され、情報公開の対象となります。
法律や予算については、政府決定の前に、与党審査が必要です。各省の意向だけでは決められず、与党の承認が必要です。そして、しばしばその過程で原案に修正が加えられます。

ところが、その与党審査はほぼ非公開で、記録も残されません(ですよね)。
与党審査に提出した各省の文書は、保存対象の行政文書に該当するでしょうが、それらがどの程度保存されているのか。また、与党による修正過程が残されているのか。
日本の政治を分析する際に、重要な要素だと思うのですが。

官民転職増加、技能の見える化へ

2026年9月9日   岡本全勝

8月25日の日経新聞に「脱ブラック霞が関へ」「給与減っても官僚にカムバック キャリア形成を多様化、魅力に気づき」が載っていました。

・・・2026年の人事院勧告は中央省庁の人材戦略の転換点を映した。公務員離れの打開策を、給与水準や勤務時間の改善から開放的なキャリア形成の提示にまで広げた。「選ばれる公務職場」をめざし、新人から幹部をめざす単線型の職歴の積み方を見直す。

「民間企業に出て国家公務員は国民生活に直結する仕事ができるのが魅力だと再認識した。私のように官民を行き来する人がより増えるといい」。キャリア官僚から民間に転出して出身省庁に戻り、課長級の役職に就いた浅野彰人さん(仮名)は語る。
浅野さんが民間への転出を決意したのは入省15年目だった。異業種で政策立案とは別のスキルを身につけたいと思った。新天地として選んだのは都市開発やスタジアム運営を手がける大手企業だ。開発や経理の部門などを担当した。
カフェでの会議など働き方の自由さに当初はカルチャーショックを受けた。しかし、6年ほど働いたころ、国家公務員のやりがいに気づき、戻ることを決めた。会社の役員には億単位の年収を得る人もいたが、幸せそうに見えなかった。官僚に戻って給料は3分の2に減った。不満はない。民間で培った経営の視点もいかせる。

民間から霞が関へのカムバックを考えるのは浅野さんだけではない。
公務員の経験がある人を含む民間からの志望者を対象に選考する経験者採用の数字に傾向を見てとれる。25年度の申込者数は2360人と、前年度に比べて74.7%増加した。25年度の申込者に対する倍率は4.1倍だった。
人材が霞が関の内外を行き来する開放的な制度が必要だ。事務次官や局長など幹部に就くことが成功とされる単線型のキャリア形成が多様な働き方を狭めてきた・・・

・・・さらに26年の人事院勧告は「成長できる職場の整備」をうたった。目玉の一つは官僚として得られるスキル(技能)の見える化だ。
人事院は6月、中央省庁で身につけられる57種のスキルを一覧にした。①業務②対人③課題解決の3つに分類したのが特徴だ。①は資料作成力や法令・制度への理解、②はプレゼンテーション力やリーダーシップ、③は国際的視野や課題発見力などを求める。
人事院では秋ごろから始める人事異動の希望調査で一覧の活用を始める。現時点のスキルを自覚し、どの場所であれば自分が成長できるかを判断する一助にする。一覧は一般にも公開しており、民間から官僚をめざす人も参考になる。
明治大の出雲明子教授(行政学)は「スキルを定義することにより、民間からの転職希望者が就きたいポストに求められる能力を把握しやすくなる」と話した。

海外に目を向けると、官民を行き来したキャリア形成や省内外での公募制度が定着する。米国では各省庁の上層幹部は政治任用で決まる。民間企業や法律事務所などからの指名は珍しくない。
新卒で採用して人材を育てていく日本の人事制度に近い英国や韓国でも幹部職員にはポストごとの公募制度がある。24〜25年の英国政府の調査によると、部長級以上の任用候補者の13%は直前のポストが民間だった。
韓国も組織内外から幹部ポストを公募するものの、現役官僚で合格者が占められることが多い。職務内容が特殊なため、民間志望者の職歴をどう考慮すればいいか判断が難しいからだ。人事院のスキル一覧はこうした課題の克服につなげる狙いもある。
官民交流には行政という特殊な経験を担った人材を確保できる点で民間にも利点がある。企業側にとっても受け入れ環境の整備が急務だ・・・

写真は嘘をつく

2026年9月8日   岡本全勝

インターネットで、天気予報や野球の結果を見ると、画面の上や横などに宣伝が出ます。気を引こうといろいろ工夫していますね。
時に「え~」と思う写真があって、よく見ると「これは作り物やな」とわかります。危ないので、クリックはしません。
「証拠写真」という言葉がありましたが、現在では使えませんね。簡単に加工できるのですから。

文章なら読む苦労があって、そう簡単には引っかかりませんが、写真は一目で理解するので、危ないのでしょう。世の中には、悪い奴がたくさんいます。

中古品販売店が海外出店拡大

2026年9月8日   岡本全勝

8月24日の日経新聞に「日本の「リユース」世界へ」が載っていました。

・・・中古品などを販売するリユース各社が海外出店を積極化している。人工知能(AI)を活用した査定の精度向上や現地人材の教育など「日本流」の浸透で市場を開拓する。国内小売業界では人員確保が大きな課題だが、海外では効率化を追求して旺盛な需要を取り込む。

5月上旬、タイのトレジャー・ファクトリーの新店舗「ザ・モール バンケー店」のオープン初日。開店前から100人以上の人が列に並んだ。同店はタイで6店舗目だ。
同社は7月に海外進出から10年を迎えた。タイを皮切りに台湾3店舗を展開する。近く米国にも進出する。タイ進出当初は現地在住の日本人から買い取った商品を販売していたが、現在は商品の9割を現地で買い取っている。残りは日本で買い取った商品を目玉商品として販売する。
「手応えを感じている。海外店もようやく地に足が着いてきた」(トレファクの野坂英吾社長)。タイは所得格差が大きく、富裕層が高頻度でブランド品を買い替えるため日本より高単価な商品が集まる。足元では日本よりも収益性が高い。
台湾でも総合リユース店から衣料品中心へと品ぞろえを見直し、収益改善を進めている。今後は出店拡大フェーズと位置付け、両地域で年間2〜3店舗の出店を計画する。
他のリユース各社も海外展開を積極的に進めている。セカンドストリートを運営するゲオホールディングス(HD)は6月時点で、米国や台湾を中心に6カ国・地域で158店舗を展開する。同社は36年3月期までに海外1000店舗体制の実現が目標だ。

円安やブランド品の相次ぐ値上げを受け、国内のリユース品は海外からの注目度も高い。品質の高い査定や良好な保存状態の中古品は「Used in Japan」として人気を集めており、訪日客から得た認知度を海外展開にも生かす。
各社の海外展開を支えるのは正規品とにせ物の見分けや査定の精度だ。
トレファクは7月からルイ・ヴィトンの商品を対象に、AI査定機能を試験導入した。商品を撮影すると、品名やAIが算出した推奨買い取り価格が自動登録される。次に体系化されていなかった社内の真贋判定資料の中から該当資料を抽出し、画像と照合して簡易的な判定までする。
ルイ・ヴィトンは型番が多くブランド側も偽造対策として仕様を変更するため、1つの商品につき20カ所以上を確認する必要がある。型番ごとに適切な資料を探し出すだけでも時間を要していた。最終的な真贋判断は社員がするが、査定時間は従来比で7〜8割削減できる見込みだ。
3月には査定DX・真贋室を新設した。高額商品や特殊商材の遠隔査定をする窓口が商材ごとに分かれていたが相談先を統一した。「1日で終わらなかった査定や買い取り作業も数時間に短縮できた」(野坂社長)。経験やノウハウが必要な真贋判定では日本の担当者と画像や動画でやりとりする「二審制」を採用、査定の精度向上や時間短縮を進める。
ゲオHDも独自の査定システムを開発した。年間1億点超の買い取り実績データと最新の市場相場をデータベース化し、商品のカテゴリーやブランド名などの必要項目を入力すると参考となる適正価格を自動で算出する・・・

総理のSNS投稿は行政文書か3

2026年9月7日   岡本全勝

「総理のSNS投稿は行政文書か2」の続きです。総理の発言などの保存についてです。

3 総理のその他(行政の長として以外)の発言
与党総裁としての発言など。これは、現在の行政文書の定義には含まれないでしょう。しかし、総裁として公約を掲げ、それを総理として実行するなら、これも行政にとって重要な資料です。高市総理のSNSの一部も、これに含まれるでしょう。
総理や大臣に関して、法律を作るか閣議了解などで、これら政務に関する資料を保存するようにしてはどうでしょうか。国立公文書館や国会図書館憲政資料室で保管し、一定年限後に公開するとよいでしょう。

4 総理の個人的記録
総理の日記などです。これも、3と共に重要な資料です。アメリカの大統領博物館などでは、保存・展示されています。総理が歴史に名を残すために、これらも保存・展示する仕組みをつくりたいものです。

理想は官邸内に担当官がいて、総理のところに入った資料、総理や秘書官のメモ、SNS原稿などをまとめて、任期終了後に公文書館に送るなどすると、内閣のよい記録になるでしょう。アメリカのケネディ大統領は記録に残すために、若き政治学者のアーサー・シュレジンジャー・ジュニアをホワイトハウスに補佐官として入れ、情報に接する権限を与えました。その記録を基に書かれたのが『ケネディ――栄光と苦悩の一千日(上・下)』(河出書房、1966年)です。