月別アーカイブ:2026年9月

福井ひとし氏の公文書徘徊15

2026年9月2日   岡本全勝

『アジア時報』9月号に、福井ひとし氏の連載「一片の冰心、玉壺にありや?―公文書界隈を徘徊する」第15回「発車オーライ!──日本バス史点描」が載りました。

今回は、バスについてです。よくこんな話題を考えますね。鉄道ファンは多いですが、バスは・・・。
路線バスは、戦前は県庁(国の出先機関)の認可なので、多くの資料は県に、あるいは引き継いだ地方運輸局にあるのでしょうか。今回の記事は、国に残っている公文書を基に調べています。
冒頭に出てくる「田舎のバスはおんぼろくるま~」という歌は、私の子どものころに歌いました。覚えていた歌詞は違っていましたが。
9月20日がバスの日とは、知りませんでした。1903年のこの日に、乗り合いバスが初めて走ったのだそうです。京都でです。

集中することと、眺めること

2026年9月1日   岡本全勝

原稿を書いていて、時々立ち止まって、眺めてみます。集中してせっせと文章を続けているのですが、これでよいのか、全体の流れからこれは必要だろうか、この先はどのように展開していけばよいだろうかと考えるのです。

仕事にしろ勉強しろ、集中することは良いことです。そうしないと、よい成果は得られないでしょう。ところが、集中していると、ほかのことが目に入りません。深掘りと周囲確認、蟻の目と鷹の目の違いです。「行政の中を考える、社会の中の行政を考える」
この方向で進んで良いのか、ほかのやり方今やっていることが本当に価値あることか、もっとほかに重要なことがあるのではないか。学生や従業員の場合は、与えられた課題を処理すればよいので、集中するだけですみます。しかし、管理職や幹部になると、鷹の目が必要です。従業員が頑張っていても、方向を間違っていては、成果は上がりません。

政治家や官僚も、自分の関心あることに集中していると、ほかの世界を忘れてしまいます。世界の中で、自分がやっていることを位置づけることが必要です。そして、一つのことに没頭していると満足感があるのです。しかし、それはよいことではありません。
睡眠時間を削って頑張っている政治家が話題になっていますが、一時的には良いとしても、それが続くと褒められたことではありません。他人に任せることができることは任せて、本人しかできないことに力と時間を割くべきです。そして、余裕を持って眺めないと、周囲は見えません。上に立てば立つほど、余裕を持って、全体を眺めなければならないのです。
「深掘りと周囲確認」については何度も書いていますが、再度、書いておきます。

人工知能データセンターは電気の缶詰

2026年9月1日   岡本全勝

8月16日の読売新聞に、大塚隆一・編集委員が「データセンター 重工業化加速」を書いておられました。

・・・人工知能(AI)向けの大規模データセンターが次々と建てられている。産業史上で屈指の巨額投資も相次ぐ。AIデータセンターとはどんな施設なのか。なぜ大量の電気と水が必要なのか。建設ラッシュの先には何があるのか。インフラ(社会・産業基盤)の歴史も踏まえて考えてみた。

数千のラックが並び、その棚には計数十万個もの画像処理半導体(GPU)が収まる。GPUは猛烈な計算で二つの仕事をする。
一つは大量のデータからAIモデルを作る「学習」。もう一つはチャットGPTのような完成したモデルを使い、利用者の質問への回答を生成する「推論」だ。その際にGPUは大量の電気を使い、大量の熱を出す。
米エヌビディアの最新GPUである「B300」の場合、本体は手のひらに収まるほど小さいのに電気ストーブ以上の電力を消費する。この電気エネルギーはほとんどが熱として放出される。
GPU72個が入るラックはどれほど熱くなるのか。ラック内部は衣料品店の試着室を縦に二つに割ったほどの広さ。図の右側の計算が示す通り、その空間に電気ストーブ100台分の熱が発生する。
そのうえ発熱はわずか数平方センチほどのGPUに集中する。エアコンのような「空冷」ではGPUは焼き切れかねない。だから大量の水でがんがん冷やす。この冷却にも大量の電気が使われる。

現時点で最大規模のAIデータセンターは米スペースXがテネシー州に建設した「コロッサス2」だ。最大消費電力はGPUなどのIT関連機器だけで約1ギガ・ワット。これは原発1基分の電力に相当する。
1施設当たりでこれほどの電力を使う産業はほとんどない。「電気の缶詰」とされるアルミニウムの精錬工場に迫る水準だ。

ここまで来ると重厚長大産業や重工業と肩を並べるレベルだ。もはや単なるネット企業ではない。
重厚長大産業は文字通り、鉄鋼や造船など重くて大きいものを作る。一方、IT業界が扱うデータは重さも大きさもゼロだ。個々の計算などに要する電気は微々たるものだが、処理量の激増で電力消費は無視できなくなってきた・・・